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【2023年8月時点】KotlinでAtCoderのコンテストに参加するための環境構築(最低限)

Last updated at Posted at 2023-08-12

概要

KotlinでAtCoderのコンテストに参加するための最低限の環境構築メモです。

環境

  • Windows 11
  • IntelliJ IDEA Community Edition 2023.2
  • AtCoder 2023/1 Language Updateの取り込み後の内容
    • Kotlin 1.8.20
    • JVM 19

方針

  • 手元でKotlinコードを書いて実行やデバッグをするための最低限の環境を構築する
    • 非公式の便利な機能はとりあえずは使わない
    • なので考えてみたらAtCoderとかあんまり関係ないかも… でも面倒なのでこのまま書く
  • WSLはとりあえず使わず、ホスト(Windows)側で構築する

登場するツールとそれらの雑な説明

  • Kotlin
    • プログラミング言語。かわいい
  • IntelliJ IDEA
    • 統合開発環境(IDE)
    • JavaでおなじみのIDEだったが、Kotlinでも使える
      • というかIntelliJ IDEAの開発元が作った言語がKotlin
    • 有償のUltimate Editionと無償のCommunity Editionがあるが、少なくとも今回の用途だとCommunity Editionで十分
  • Java仮想マシン(JVM)
    • 基本的にはKotlinのコード(をコンパイルしたバイナリ)はこいつの上で動くので必要
  • Gradle
    • ビルドツール。Kotlinのコードのコンパイル、実行を担当
      • 依存ライブラリの管理などの重要な役割が他にもあるけど、今回はあまり関係ない
    • 独立したツールだが、IntelliJ IDEAに統合されて使える

内容

IntelliJ IDEAの導入

Kotlinの処理系、JVM、Gradleなどは一通りIntelliJ IDEAを経由して導入できるため、とにかくまずIntelliJ IDEAを導入する。

導入方法は大きく分けるとIntelliJ IDEAを直接インストールする方法、JetBrains Toolboxを使ってインストールする方法の2つがある。JetBrains Toolboxをインストールして、その画面からIntelliJ IDEA Community Editionを選ぶのが簡単。

プロジェクトの作成

IntelliJ IDEAがインストールできたら、「New Project」を押してプロジェクト作成を開始する。

プロジェクト作成のモーダルが表示されるので、以下のように設定する。

image.png

  • Name
    • 自分がわかりやすい名前なら何でもOK
  • Location
    • なんでもいいけど、基本デフォルトのままでよいと思う
  • Create Git repository
    • Gitで管理したければチェックを入れる
    • よくわかんなければチェックしなくていい
  • Language
    • Kotlinを選択
  • Build system
    • 今回はGradleにする
  • JDK
    • バージョン19を選ぶ
    • インストールされていない場合、プルダウンを選んで「Add SDK」 -> 「Download JDK...」 を押してIntelliJ IDEAにダウンロードさせるとよい
      • Versionは19
      • VendorはAmazon Corretto、Azul Zulu、Eclipse temurinなどいくつかあるが、どれでもよい
  • Gradle DSL
    • どっちでもいいけど今回はKotlinにする
  • Add sample code
    • どっちでもいいけどとりあえずチェックが入ったままにする

上記の設定で「Create」を押下でプロジェクトの作成が開始される。画面が切り替わった後に自動ダウンロードやビルドなどの処理が実行されていくのでしばらく待つ。

画面の下にこんな感じのインジケータが表示されているうちはまだ実行中なので、これが完全に消えるまで待つ。
image.png

build.gradle.ktsを編集

動作が落ち着いたら、画面の左から「build.gradle.kts」を開く。

このファイルを以下のように書き換える。

build.gradle.kts
import org.jetbrains.kotlin.gradle.tasks.KotlinCompile

plugins {
    kotlin("jvm") version "1.8.20"
    idea
}

group = "org.example"
version = "1.0-SNAPSHOT"

repositories {
    mavenCentral()
}

dependencies {
    testImplementation(kotlin("test"))
}

tasks.test {
    useJUnitPlatform()
}

tasks.withType<KotlinCompile> {
    kotlinOptions.jvmTarget = "19"
}

あまり関係ない記述もあるが、特に重要なのは以下の記述。

build.gradle.kts
plugins {
    kotlin("jvm") version "1.8.20"  // 執筆時点でAtCoderで使えるKotlinのバージョンを指定
    idea
}
build.gradle.kts
tasks.withType<KotlinCompile> {
    kotlinOptions.jvmTarget = "19"  // 執筆時点でAtCoderでKotlinを実行する際に指定している -jvm-target 
}

ファイルを編集したら、反映させるための操作を行う。

image.png

右端の縦書きの「🐘 Gradle」みたいなところを押すと上記の画面が出るので、この左上の🔄みたいなやつを押す。
すると内容を反映させるためにGradleがあれこれ処理するので、終わるまで待つ。

ここまでやればソースを書いて実行できるようになっているはず。

上記の設定で「Add sample code」にチェックを入れていた場合は「Main.kt」というファイルが表示されているはずなので、これをそのまま実行してみる。
右クリックして「Run 'Mainkt'」を押すか、もしくは「Ctrl + Shift + F10」を押すかすると実行できる。

image.png

image.png

このような表示が出ればちゃんと環境構築できている。(画面下に出る)

動作確認

とりあえず簡単な問題を解いてみる。
https://atcoder.jp/contests/language-test-202301/tasks/practice_1

fun main() {
    val a = readln().toInt()
    val (b, c) = readln().split(" ").map { it.toInt() }
    val s = readln()

    println("${a + b + c} $s")
}

今回は動作確認やテストを支援するツールを何もインストールしていないので、動作確認も提出もコピペで行う。

実行すると画面下で入力待ちのコンソールが出るので、そこにペーストして動作確認する。

コピペで提出なので、Main.ktを毎回書き換えてもいいし、別途ファイルを作っていくのでもよい。(ファイル名は適当でもいい)
ただ、別途ファイルをつくる場合、main以外のpublicな関数名がバッティングするとコンパイルエラーになるとか、他のファイルにあるpublicな関数に依存してしまって手元だとコンパイルエラーにならないが、提出するとCEになるとかのトラブルがあり得るので要注意。

その他

Live template(いわゆるスニペット)

val (b, c) = readln().split(" ").map { it.toInt() } とかをいちいち手動で入力するのは面倒なので、Live templateを使って自動補完させるようにしておくと少し楽になる。

Live templateは、略語を入力すると本来必要なコードを自動で補完してくれる機能。
たとえば main と入力してEnterで

fun main() {
    
}

が入力補完されるLive templateなどが最初から定義されている。
Live templateは自分で登録することもでき、上記の val (b, c) = readln().split(" ").map { it.toInt() } を自動補完させるためのLive templateを登録するといい。

Live templateの登録方法はこちら。
https://pleiades.io/help/idea/creating-and-editing-live-templates.html

私はとりあえず入力周りだけ以下のような感じでLive templateを登録している。本当はもっと充実させたい…

image.png

初回実行の遅さについて

今回の手順の通り環境構築した場合、実行はGradleによって行われる。初回実行時はGradleがあれこれ初期化処理を実行するらしく、かなり起動が遅いので注意。一度起動すると高速化のためにGradleのプロセスが常駐し、2回目以降の実行はけっこう速い。なのでコンテスト前に一度適当に何か実行しておくとよい。

また、原因は別かもしれないがLive templateによる補完も初回は遅いことがあるので、これもコンテスト前に適当に入力して補完させておくとよい。

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