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海外と日本のエンジニアの様々な比較2 - 海外だから経験できたであろうこと

Last updated at Posted at 2020-11-19

少し前に、海外と日本のエンジニアの様々な比較という記事を書いたら、大変多くの人に読んでいただきました。自分としてはこれまでで経験したことを書いてみたのですが、多くの方から関心を持っていただき感謝しております。

それを受けて今回はもう少し細かなことで、海外で仕事をしたからこそ経験できたであろうことをご紹介していきます。
前回同様、所感は個人的な経験によるもので一般的にと言うわけではないので、参考程度にとらえてください。

アメリカにて

英語について

日本で勤めている時も外国人の同僚や海外とのやりとりで英語を使っていたのですが、それと日常生活すべてが英語になるのとではかなり環境が変わります。エンジニアの仕事はプログラミングなど英語に関連することが多く、仕事上の英語は取り組みやすいですが、日常生活すべてが英語になると全く使ったことのない語彙が絶え間なく出てきてすごく勉強になります。
前回も確定申告の事を書きましたが、そこに使われるような専門用語は普段の仕事や会話ではあまり出てこない言葉だらけです。これは日本で確定申告をされる方も同じだと思いますが、色々と言葉の意味を調べるところから始めなければなりません。
自分が行った年は、ちょうど大統領選挙の年でニュースで連日報道されていて、選挙で使われる用語や政治の専門用語をたくさん調べたのを覚えています。

スタンフォード大学

勤めていた会社がスタンフォード大学のキャンパス内にあったので、プロジェクトの調べものをする時に大学の図書館を利用することができました。そのころはセキュリティーもあまりきつくなかったので同僚が、在学生のような感覚で図書館に入っていったので後ろをついていきました。

.comバブル

自分がアメリカへ引っ越したのは.comバブルが始まるぐらいのころで、シリコンバレー近辺の物価もそれほど高くなる前でした。それでも、世界中から多くのITエンジニアが来ていたのは、住んでいて実感できるぐらいです。
最も印象に残っているのは、インド系の人が物凄くたくさんいたこと。今でもインドはIT業界はすごく発展していますが、その当時から国外に人が出てくらい人材が沢山いたのだと思います。
それでも物価がほかの地域と比べると高く、公立の学校の先生のお給料では生活するのが難しく先生不足になっているところがあるといったことを聞いたことがあります。

シリコンバレー

シリコンバレーはそのころから交通渋滞が激しく、朝夕の通勤ラッシュは相当ひどいものでした。その当時は在宅勤務という概念もほとんどないので、近辺に勤めている人ほぼ全員が車通勤で、通勤時は普段の30分以上普通に時間がかかりました。
また、シリコンバレーには多くのITの会社があり、Google, Apple, Oracle, Adobeなど世界的に有名な企業や、いまではないですがSunなどの横を通りながら通勤していました。
高速道路がそれらの会社のすぐ横を通っているところもあり、一階部すべてのフロアーをジムにしているところとかもありすごく印象に残っています。
先ほども書きましたが、シリコンバレー周辺はアメリカ国内では物価が高く普通は他の地域から異動してくると、自分の会社の場合は給料の調整があるみたいです。大概の人はそれで上がるらしいのですが、自分の場合は東京からの移動で物価的にも変わらないので調整はないと言われました。

人種

日本と決定的に違うことの一つが、人種の多さです。前述のインド系のエンジニアから、中華系、ヒスパニック系などほんとにありとあらゆる人種の人と出会う機会があり、それぞれの文化を学べることもできます。前回も書きましたが、特に移民してきた人たちはそれぞれの人がある程度のアクセントのある英語を話すので、こちらがきれいな英語かどうかなどは気にすることなく話せました。
また、あまりにも移民だらけなので地元の人たちにも、全く珍しがられることもなく現地の人と同様に接しられました。人によったらそもそも外国から引っ越してきた感覚はなく、ここで生まれ育った感じで対応されたのを覚えています。先ほども書いたようにちょうど選挙の年だったので、行った散髪屋さんで”選挙はいったのか?”など聞かれたりしました。”外国人だから投票権はないですよ”と言うと驚かれていました。

アメリカ国内転勤

日本国内では経験がないのですが、アメリカでカリフォルニアからニューヨークへ転勤となり、大陸を西海岸から東海岸へ引っ越ししました。大きな国でスケールも違い飛行機の移動だけで5時間ほどかかります。
アメリカは連邦制ですので、週によって法律も違い税制も異なります。よって、異動した最初の年は前の勤めていたカリフォルニア、新しく勤めだしたニューヨーク、居住地のニュージャージーと連邦政府向けの4種類の確定申告をしなければならく、書類だけで本ができるほどの厚さの申告書を提出しました。
ちなみに、その当時はニュージャージーは消費税が安く確定申告も州政府だけに必要でしたが、もし居住地をニューヨーク市内にしていれば消費税は高いうえに確定申告を市政府にも出す必要がありました。
また、自動車の免許証も州によって違うので、また取り直しとなります。ニュージャージーの免許の取得は結構簡単で、20問ぐらいの選択肢問題のような感じでその場ですぐとれました。州によって筆記だけでなく、実技試験が必要なところもあるようです。ただニュージャージー州は、車の保険がなぜかものすごく高くカリフォルニアのころより相当保険代があがりました。

アメリカ国内出張

アメリアでは大きなITのイベントが行われていますが、ラスベガスやフロリダなど気候の温暖なところで開催されることが多いようです。マーケティングの同僚によると、気候が温暖で安定しているので天候不順でスケジュールの変更とか起こりにくいのと、世界的な観光地でホテルが多く確保しやすいなどの理由があるみたいです。
これらのイベントに参加するには、やっぱり4-5時間の飛行機での移動が必要です。会社で予算を削減されると、直行ではなく乗り継ぎとかになるので移動だけで丸1日かかったりします。

ドイツにて

ドイツ語について

自分にとってドイツ語は、英語よりはるかに難しく、未だに日常会話のレベルを出ていません。仕事がら国外の同僚と仕事をするので、基本的には普段は英語でドイツ語を使う機会はありません。これが、ドイツ語がうまくならない理由の一つと自覚はしているのですが、普段の仕事をしながらというのはなかなか難しいものです。自分と同様、外国出身の同僚の中には英語もドイツ語も流暢に使い分けて仕事をしている人も多くいて本当に感心します。

アメリカと比較して

明らかに違うのは、休暇に関することです。自分の勤めている会社だけかもしれませんが、まず有給休暇の日数が多く中途で入社してきても数年のうちに30日以上取得できます。また、周りを見ていてもほぼ皆さん毎年使い切っている感じで、自分もこちらに来てから毎年数回は2週間以上の休暇をとることもできます。会社的にも奨励していて、最低でも年に一回は2週間以上の休暇を取るようにとメールできます。
また、キャリアに対する考え方も違うようで、アメリカでは多くの人が転職を通してキャリアアップを図るのを見てきましたが、ドイツではそれはあまり見られない感じです。自分が住んでいるところが田舎だからかもしれませんが、多くの人が一つの会社で長く仕事をされている印象があります。自分の周りでも、他のIT企業に転職していった同僚とはほとんど見たことなく長年同じ顔合わせで仕事をしている感じです。これは、会社的には新しアイデアが生まれにくくなるかもしれないとも感じられます。

日帰り外国出張

多くのヨーロッパは地続きで、シェンゲン協定に加盟している国では国境の検査などはほとんどないようなものです。場所によったら注意深く見ていないと、いつ国境を越えたかわからないようなところもあります。現在の勤め先はドイツ南西部にあるので、フランスとスイスの国境から数時間ぐらいのところにあります。これにより、東京から神奈川とか埼玉に行く感覚で、日帰り外国出張のようなこともあります。
以前、スイスのバーゼルにある会社を日帰りで訪問したこと後あります。朝はいつもよりちょっと早めの出勤になりますが、同僚がドイツのアウトバーンを時速200Kmぐらいで飛ばすので、数時間後にはバーゼルの訪問先に到着。1日ミーティングなどをして、夕方にはドイツに帰ってきました。
スイスとは貨幣も違うので、現金をつかうとなると日帰り出張ですが両替などちょっとややこしくなります。ただ、国境沿いの町はお互いの貨幣を取り扱っているお店なども多いようです。

ヨーロッパ内出張

ヨーロッパでもITのイベントが各地で行われます。ドイツからですと、周辺国へは飛行機でも2時間程度あれば大体のところに行けるので、アメリカのように1日がかりの移動ということもありません。ヨーロッパはそれぞれ違う言葉を話すのですが、このようなイベントは開催国がどこであっても基本的には英語で行われるみたいです。自分もいくつか参加したことがありますが、すべて英語で行われていました。
アメリカとは違って移動距離は短いですが、それでも国が違うので出張の間でも異なる文化を十分に体験できますし、イベント外では現地の様子もうかがえるのでそれは良い経験になります。

GDPR

数年前に導入されたEUの個人情報の保護法なのですが、これが導入されたときは社内で一年がかりであらゆるシステムの点検が行われました。そもそも、会社がEU内にあるので個人情報を扱っているシステムすべてがGDPRの対象となるような感じで、社内のプロセスの見直しから担当者の教育などいろいろと行われていました。
自分が担当していたシステムも対象だったのですが、例えば休暇とかで日本に帰省するとEU外に出るので、対象のシステムにアクセスをすることができなくなったりとか、かなり細かくルールが作られました。
これがきっかけかどうかわかりませんが、このころからシステムの認証はIdPと連携して一元管理され個別のシステムで個人情報を持たない流れになったような気がします。GDPR対象になっていしまうとテスト環境を作るところからかなり面倒になり、データの匿名化などいろいろとルールが決められるので皆さんできるだけ避けようとしていたみたいです。

その他もろもろ

これは、海外にいたからできたというよりは、勤めている会社が世界中で展開しているおかげで携わることができたことなどをご紹介したいと思います。

海外出張

会社が世界中で展開していると、会議とかワークショップなどの集まりもいろいろな国や地域で行われます。出張もかなり多く経験しましたが、日本で仕事をしていた時もヨーロッパやアメリカに行ったりしました。
一か所に世界中の担当者を集めると、国によってはほぼ1日がかりで移動してこなければいけない人もいます。例えば、アメリカの東海岸で集まった時は、東南アジアの人は当時あったシンガポールからニューヨークへの18時間の直行便で来ていました。これはやはり相当疲れるようで、フライトは快適でもかなり退屈したみたいです。
ただ、今回のコロナの件でこのあたりの働き方も変わるのではと思っています。オンラインでかなりのことができることが分かってしまったので、多くの経費を使って出張というのはこれからは減るのではと思っています。

グローバルサイトの仕事

世界中のユーザを対象にしているサイトを運用すると、色々なことが学べます。たとえば、サイトに使える写真など、その国の宗教・思想などを考慮して作らなければなりません。また基本的には多くの国では左から右に文章は書かれますが、逆の国もあります。
今ではあまりなくなりましたが、少し前までは日本語などの2バイト言語はいろいろなところで文字化けをしてその度に使用してるシステムや言語での対処方法を探らなければならないこともありました。
また、国によってはインターネットの環境があまり整っていないところや、政府の規制などである程度制限のかかるところもありそれらを考慮してシステムを作り上げる必要があります。実際システムがあるところから距離のある国のユーザが、どうやってストレスなくアクセスできるか、など多くのこと学ぶこともできます。それに関して少し技術的なところを別の記事で紹介していますので、機会があれば合わせてごらんください。(地域密着型サイトからグローバルサイトへの移行

一時帰国

自分の会社は働き方に関しては柔軟な方で、個人的な理由でしばらく日本に帰国する必要があったのですがその間も日本からリモートで仕事をすることができます。長いときは数か月ドイツを離れて、日本の時間帯で仕事をしていました。
それでも、やはり8時間の時差があるので週に何度かは深夜の会議に出席したりします。
以前に日本で仕事をしていた時も同じだったので慣れてはいるのですが、長くなるとやはり外国の時間に合わせて仕事をするのはな体力的には影響のあるものです。

最後に

いかがでしたでしょうか。前回との記事よりも、もう少し細かなことや個人的に経験したことなどをご紹介してみました。
すこしエンジニアの仕事とは離れた内容ですが、このような経験ができたのも違う国で働くことができたからだと考えています。自分はドイツとアメリカが主ですが、他の国に滞在されている方々はこれとは全く違ったことを経験されるのだろうと思われます。
また何か違った視点のものがあれば、ご紹介したいと思います。

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