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ハイアウトプットマネジメントを読んだメモ

Last updated at Posted at 2023-02-01

この本について

ハイアウトプットマネジメントは1984年にインテル社のCEOであるアンドリュー・グローブが著した伝説的なマネジメント本。オライリーから出ている「エンジニアリングマネージャのしごと」や「エンジニアのためのマネジメントキャリアパス」からも参照されている。

マネージャの行動・アウトプット

マネージャの行動

マネージャの行動は下記に分類されるとしている。これはエンジニアリングマネージャのしごとの中でも紹介されている。

  • 情報収集: ミーティングやメールなどを通して情報を収集する
  • 情報提供: ミーティングやメールなどを通して情報を提供する
  • 意思決定: 決定を行う
  • ナッジング: 直接の配下や隣接する組織に対して意見を伝える
  • 役割モデル: 他の人にして欲しい動きを率先して行い規範となる

マネージャのアウトプット

「マネジャーのアウトプットとは、その直後の監督下にあったり、または影響下にある組織体のアウトプットである」

直接の監督下にない、"影響下にある組織体"のアウトプットもマネージャーのアウトプットであると述べている。これは明確に意識できていないことが多い観点だと思う。
つまり、エンジニアから見たとき、機能別組織においては企画やデザイナーのような協働する(隣接する)組織への提言なども職責のうちだということ。

品質について

〝価値が最低の段階〟で在庫を維持するのがよい。また、価値が低ければ低いほど、一定の在庫コストに対して、生産面での柔軟性がそれだけ多く保てることになる。

ソフトウェア開発に置き換えるなら、なるべく作業を先送りすることに近いかもしれない。
ソフトウェア開発プロセスにおいては、要求分析、要件定義、設計、実装、テストのプロセスを経て付加価値が付く(工数がかかる)ので、必要だと確定するまで可能な限りやらない姿勢が大事ということになる。

製造業者が守るべき大原則は、顧客が満足するような品質レベルの製品を、できるだけ低いコストで顧客に引き渡すことである。

最低のコストで受容できる品質を得るには、欠陥材料をその蓄積価値が最も低い段階で拒否することが絶対に重要である。

要求分析、要件定義、設計、実装、テストの早い段階で問題を取り除ける仕組みが重要と言い換えることができる。

このあたりはソフトウェア開発でも当たり前のことではあるが、「早くリジェクトする」は生産の基本原理なのだなと思った。

マネージャーのしごとについて

テコ作用

マネジャーは多くのボールを同時に空中に上げておき、自分の部門のアウトプットを最高に上げると思われる活動に自分のエネルギーと注意を注がなければならない。いいかえれば、自分の〝テコ作用〟が最大となりそうな点に移るべきなのである。

書籍内で "テコ作用" という言葉はさまざまな場所で大量に使われている。マネージャーは常にテコ作用を意識すべきだとアンドリューは考えているのだと思う。テコ作用については、知識の伝達、訓練、権限委譲などを例として何度も取り上げている。

権限委譲について

人は自分が精通している活動と、あまりよく知らない活動とのどちらを委任するかと言われたら、どちらを選ぶだろうか。
(中略)
よく精通していることのモニタリングのほうが容易だから、どちらかの選択をする場合は、一番よく知っている活動を委譲すべきである。

フォローしない権限委譲は職務放棄であり、モニタリングし仕事の完了に責任を持たなければならないと述べている。
プレイング・マネージャだと適材適所で作業分担したくなるだろうから胃の痛くなる話。

ミーティングについて

私の活動、つまり、情報収集、情報提供、意思決定、ナッジング、役割モデルのうち、ミーティング以外でできるものはいったいどれだろうかと。答えは実際問題として、なし、なのである。ミーティングこそマネジャーとして活動する機会を提供しているのである。

ピーター・ドラッカーは時間の25パーセント以上を会議で過ごすようなら、それは組織不全の兆候だと言っている。私ならこう言いたい──組織不全の真の兆候は、人が25パーセント以上の時間を、臨時に開かれる使命中心ミーティングで過ごすときに現われる、と。

アンドリューはミーティングについてとても肯定的で、会議の定例化を推奨している。定例化することで問題解決をバッチ処理できるようになり、会議外での割り込みを減らすことができるといったメリットをあげている。
定例ミーティングが多いとげんなりするけど、確かにバッチ化できるっていうメリットは大きそう。

組織について

ミドル・マネジャーがこの高いテコ作用を有する仕事に成功するには、2つのことが必要である。まず、会社活動に従事するつもりならば、ハイブリッド組織が不可避なものであることを認めなければならない。第二に、ハイブリッド組織を運営していくのに必要な実際上のやり方を開発し体得していかなければならない。これが次章の主題となる〝二重所属〟制度である。

適切な意思決定や効率性のバランスを考えると、どうしてもここに行き着くとアンドリューは述べている。ハイブリッド組織とは機能別組織と使命中心の組織(事業やプロダクト別の組織)を組み合わせた組織のこと。マトリクス組織とは別の概念だが、書籍内ではそれに近い話も出てくる。
完全な機能別組織と指名中心の組織、そしてマトリクス組織も経験しているけど、混乱はあれどもマトリクス組織のようなハイブリッドな方が良いと感じる。1984年に既にこういった知見がインテル社のCEOによってパブリックなものになってたとは。

まとめ

古い本ではあるが、今でも通用する考え方で色褪せない内容。とはいえ「エンジニアリングマネージャのしごと」や「エンジニアのためのマネジメントキャリアパス」の方がエンジニアスペシフィックで具体的なので、エンジニア的には「エンジニアリングマネージャのしごと」や「エンジニアのためのマネジメントキャリアパス」の副読本くらいお気持ちでいいかも。

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