はじめに
この業界でそれなりに働いて後輩を持つようになると、「この人性格いいし、育てたいんだけど、何やってるかわからない。いつまでも大事なことは任せられない」という人が一定数出てきます。悲しい
正直本人の方が悲しいと思いますが、この状態が続くとお互い不幸になるので、どうするといいのかを言語化してみます
昔コミュニケーションをキーワードにこんな記事を書いたんですが、言いたいことの根っこはこれと同じです
よくあるこんなこと
何かを頑張っているらしいんだけど、やりたい目的に結びついてこない
頑張って仕事してくれようとしてる姿勢はあるんだが、一向に本来やるべきことまでたどり着かない
打ち合わせを開いて交通整備をし、タスクを洗い出してやること可視化したとしても、想定外のことがあったらそこから脱線する。場合によっては逆走しだす
しまいには(表にあがってこない)目の前のことに必死になって、本当にやらなければいけないことを見失って致命的な遅延を呼ぶ
よくありますよね、うーん難しい

誰かに聞けばいいことを自分でやろうとし続ける
自分の中で解決できるならいいんですよ。好きにできると思います。しかし、影響の大きい物事は大抵自分だけでは解決できないことが多いです。誰かに聞かないと進まないことが多いです
そんな物事を人に聞かず、もしくは聞き方が端的で、本当にやりたいことが相手にちゃんと伝わらずヘルプをもらえない
詰んだ後に相談しに行って、「聞けばいいのに」「もっと早く聞いてよ」って言われる人は、その傾向があるかもと考えた方がいいかもですね
うまく行かなかった!そんな時の報告が足りず、もうどうしようもない時期になって発覚
目の前のことでいっぱいいっぱいになったのか、何を連絡相談すればいいのか判別できず、致命的になる事象の報告が遅れ・漏れ、スケジュール遅延を引き起こす

なんてこと、身の回りにありませんか?
なんでこうなるんだろう?を探ってみる
上記を例にとり、原因は何かを探ってみたいと思います
- 何かを頑張っているらしいんだけど、やりたい目的に結びついてこない⇒目的が見えてない
ここの大きな原因として感じるのは、その作業の目的、解決したいことが見えてないことがあるかなと思います。要は目的が見えてなくて目の前の作業に集中してしまう。
ハマりそうになったら一歩引くのは大事です
- 誰かに聞けばいいことを自分でやろうとし続ける⇒自分で作業することが目的と思っている
目的が明確になれば、今自分がやっている作業は全体の中の一部であることに気付くと思います
最終ゴールはあなたが作業を完遂することではなく、目的を達成することだと思います。それを解決する為には別にあなただけで完遂する必要はないんです
- うまく行かなかった!そんな時の報告が足りず、もうどうしようもない時期になって発覚⇒報告も手段だと気づいていない
失敗を人に伝えるの、怖いと思います。ただ、正直何か起こるかもしれないってのはみんな想定してますし、早く状況が把握できれば大抵のことはどうとでもなります
ほんとにヤバいことを早々出来ない人には任せないと思います
希望的観測も入っちゃいましたが、本当に解決したいことを考えると適切に起こったことを把握・報告し、その上でどう進めるかを考えていくしかないですね
結局「どうやって前に進めるか?」の観点が足りないのでは?
ざっとまとめてみましたが、目的意識の部分が足りないのかなって印象が強いです。
もっと言うと、この辺のどう目的を達成する為に作業するか、どう問題を解決するか?の前提にあるのが「どうやって前に進めるか?」なんですよね。
うまく作業できない人を見ると、一番は前に進めるための考え方、力が足りないのかなと思ってきました
前に進めるとは
私たちは一生懸命沢山働くために働いてるんじゃなく、何かしらの目的を達成する為に仕事をしています。どんなに頑張って一生懸命何かを実施しても、それが目的に向かっていないと意味が無いのです。
まずはこれが大前提です。作業は端的に言うと、物事を前に進めるための手段だと思っています
ここを読み違えてしまうと、作業する側は「こんなに頑張ってるのになんで報われないんだ!辛い!」と思うばかりなのに、お願いする側は「なんでいつまで経っても関係ないことをやってるんだろう。。もう期限のある仕事は任せられないな。。」なんてことにもなってくるかもしれません。
じゃあ前に進めるために何をすればいいのか?をまとめていきます。
1. 目的を合わせる
抽象的な内容でなく、明確に合わせた方がいいです。作業者レベルであれば1週間とか出来るだけ短いスパンで
- この一週間でやるべきことはなんなのか?
- そのやるべきことは何のためにやるものなのか?
- それが出来るとどんないいことがあるのか?出来ないとどんな悪いことが起こるのか?
- 期限はいつなのか?
- 担当者は誰なのか?
- 関連する人は誰なのか?
この辺りの認識を合わせるのが最初だと思います。
まずはこういった情報が可視化できるような手段を定義し提示すること。
そしてその内容を定期的にアップデートすること
例えばアジャイルのスプリントであれば、作業をチケット化し、Backlog groomingで内容のレビューをするという感じです
大きな流れと担当を可視化して毎週認識合わせましょう!って話ですね
定期的に実施することが大事なので、週単位等で見直すタイミングを作るといいでしょう
2. 目的を達成する為の作業を明確にする
目的を合わせました。じゃあ後よろしく!で事が回ればいいですが、それが一人で出来るのであれば「前を進める」ということに対して課題は出てこないです。
個人の作業をどう進めていくか、また必要に応じてどうそのレビューをしていくか?が大事になっていくのかなと思います
目的を合わせる、の項で抜き出したやるべきことに対して
- 実際にその目的を達成する為に必要な細かい作業はなんなのか?
- 期限はいつなのか?
- 担当者は誰なのか?
- 関連する人は誰なのか?
- 誰がいつどんな順番でやるのか?
- その作業を実現する為にはどんな情報が必要なのか?
- 誰の助けがいつまでに必要なのか?
- 終わらなかったらどうなるのか?
辺りを整理していくといいのかな
特に物事を前に進めるのが苦手な人は、誰の助けがいつまでに必要なのか?と終わらなかったらどうなるのか?をきちんと把握してないケースが多い印象があります。
出来ない人ほど自分がやりますって抱えてしまう印象
自分の中で解決できるならいいんですよ。好きにできると思います。しかし、影響の大きい物事は大抵自分だけでは解決できないことが多いです。誰かに聞かないと進まないことが多い。
前に進める意識の低い人は、作業をすることにしか意識がいかず誰かに聞いてでも進めようという行動が少ないことが多いように思います
質問をすることのハードルを感じるのかもしれませんが、大事なのは前に進めること。それをしないと前に進まないのであれば、聞くしかないし誰かを頼るしかないのです
3. 作業がうまく行かなかった際のリカバリー
ここも大事だと思うんですが、もし作業がうまく行かなかった場合にどうするのか?のリカバリーをどうするか?についてがあります。
リカバリー≠作業が終わるように何とかする、リカバリー=うまく行かなかったことを踏まえて前に進めるだと思います。
作業がそのままうまく行けば、分割した作業はそのままで進めるので前に進めるのに効率がいいというだけです。
しかし変わった状況を踏まえてより効率的な手段があるならそれでいいんです。
- 正しく今の状況を共有すること
- その上でやるべき作業の意識を関係者と合わせ、必要であれば作業の見直しを行うこと
この二つを問題が起こるたびに繰り返すことだと思います。
正しく今の状況を共有することの注意
目的を見失いがちな人だと、割と
- 自分の確認したこと(事実)
- そこから自分で予想したこと(推測)
- やりたかったこと(期待)
辺りが混ざった話し方をしてしまうことがあります。
A「画面の開発をしようとしてたんですが応答は正しいはずなのに画面が正しく出ないんです!この応答が返ってくるはずなのでこの値で分岐をするように作っていて」
B「なるほどね。じゃあ応答は確認してて、値の分岐処理がうまく動いてないのね」
A「いや、応答の確認はしてないです。でもCさんが正しくxx作業をしてるって言ってたので」
B「じゃあ応答は確認してないのね?」
A「でもCさんが正しくやったって言ってて、それがうまく動いていれば正しく応答が返るはずなんですよ...」
みたいな
A「画面の開発をしようとしてたんですが画面が正しく出ないです。この応答を見てこの値で分岐をするように作っています。そのテスト中です。こういう応答が返ってくることを想定しています。応答はまだ確認してません。」⇒これは事実
A「ただ、担当のCさんがxx作業をしているので、その結果で正しい応答が返ってくるはずです」⇒確認してないので推測と期待
なので、推測の部分に対して
B「じゃあ応答の確認が最初だね」
と事実にしていくことが調査の最初になったりします。
なのでこの辺りの伝え方には神経使いましょう。
前に進める=この作業の繰り返し
上記で書いた1-3を繰り返すのが、前に進めるための作業に繋がっていくと思います。銀の弾丸はなく、愚直にやるべきことを繰り返す
特に3。物事うまく行かないのは当たり前なので、それを如何に解決するか?が大事です。
また、解決するのは誰でもいい。あなたがやることが大事ではなく、物事が前に進むことが大事なんです。だからコミュニケーションが大事なんです!
前に進められないのは、個人だけではなくチームの課題でもある
また、ここまでは比較的個人を焦点に当てて話してきましたが、ここまでの話は決して個人が変われば全てが変わるというものではありません
- どうチームとして目的を可視化していくか?
- どうやってコミュニケーションがとりやすい環境にしていくか?
- どうスムーズにリカバリーできるようにするか?
等、前に進めるための環境やルール作りも進めていく必要があると思います
個人に求めるだけでもそれはそれで前に進まないかもしれない。チームでベターな方法を探っていきたいものです
最後に
超絶当たり前なことを延々と書きました。自分では・うちのチームは出来てると思っても、作業の中で見失ってしまうことは多々あるので、今一度自分の周りの作業を振り返ってみたいと思います
意識が変わるだけでも大分楽になるかな