概要
等比数列の和の公式の証明を2つ与える.後者の方がスマートである.
詳細
初項 $a$,公比 $r$ の等比数列の第 $n$ 項までの和は
\sum_{k=1}^nar^{k-1}=\frac{a(r^n-1)}{r-1}
である.ただし $r\neq1$ とする.
証明1
上記の等式を(A)とする.
$a=0$ のとき(A)の両辺はともに $0$ となり,成り立つ.
$a\neq0$ のとき,(A)の両辺を $a$ で割ると
\sum_{k=1}^nr^{k-1}=\frac{r^n-1}{r-1}
である.以下,この等式(B)が成り立つことを数学的帰納法を用いて示す.
[1] $n=1$ のとき(B)の両辺はともに $1$ となり,成り立つ.
[2] $n=m$ のとき(B)が成り立つと仮定する.このとき
\begin{align}
\sum_{k=1}^{m+1}r^{k-1}
&=\sum_{k=1}^mr^{k-1}+r^m \\
&=\frac{r^m-1}{r-1}+r^m \\
&=\frac{(r^m-1)+r^m(r-1)}{r-1} \\
&=\frac{r^m\{1+(r-1)\}-1}{r-1} \\
&=\frac{r^{m+1}-1}{r-1} \\
\end{align}
となり,$n=m+1$ のときも(B)が成り立つ.
[1],[2]より,すべての $n=1,2,\cdots$ に対して(B)は成り立つ.従って,(A)も成り立つ.
証明2
上記の等式を(A)とする.
$a=0$ のとき(A)の両辺はともに $0$ となり,成り立つ.
$a\neq0$ のとき,(A)の両辺を $a$ で割ると
\sum_{k=1}^nr^{k-1}=\frac{r^n-1}{r-1}
である.この等式が成り立つことを示せばよいが,
(r-1)\sum_{k=1}^nr^{k-1}=\sum_{k=1}^n(r^k-r^{k-1})=r^n-1
であるから,$r\neq1$ より従う.