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Chefの全体像が掴めた気になれる用語集

Last updated at Posted at 2016-11-13

1. はじめに

ChefのチュートリアルをやってみたけどイマイチChefのなんたるかが掴めなかったので、公式ドキュメントのSite Mapを見ながら理解を深めるためにいろいろ書き出してみた。

2. Chefとは

あちこちのサイトで説明されているので省略

3. 構成

3.1. 超簡易概略図

  • よくある構成

    Chef_Basic_Structure
        自マシン           中央管理鯖       デプロイ対象
                                          +------+
                                          | Node |
                                          +------+
    +-------------+    +-------------+    +------+
    | Workstation | -> | Chef server | -> | Node |
    +-------------+    +-------------+    +------+
                                          +------+
                                          | Node |
                                          +------+
    
  • Chef Soloを用いた構成

    Chef_Solo_Structure
    +------------------------------------+
    | Workstation                        |
    |      |                             |
    |      v                             |
    | +-----------+                      |
    | | Chef Solo | -> Node(Workstation) |
    | +-----------+                      |
    +------------------------------------+
    

3.2. Workstation

自分の作業PCのこと。後述するChef Development Kit(Chef DK)をインストールする。
Chefをかじったことがある人なら聞いたこのあるRecipeCookbookの作成はココ。Chef serverに対しknifeと呼ばれるコマンドラインツールを用いて、作成したCookbookRecipeのアップロードをするのもココ。
https://docs.chef.io/workstation.html

3.3. Chef server

Cookbookの管理、後述するNodeに対してどのようなRecipe(正確に言うとRun-list)を適用させるかなどの設定管理を行う中央サーバー。knifeを利用するために必要な秘密鍵の取得はココから取ってくる。
https://docs.chef.io/server_components.html

3.4. Node

デプロイ対象のサーバー、サーバーインスタンス、ネットワーク機器などさまざまなマシンのこと。これらのNodeに対してChefはCookbookを適用してマシンの構成管理を行う。Nodeには事前にchef-clientをインストールする必要がある。
またNodeにはRun-listと呼ばれる構成情報リストを指定する必要がある。
https://docs.chef.io/nodes.html

4. ツール類

4.1. Chef Development Kit (Chef DK)

Chefを利用するのに必要なツールが1つになった開発キット。とりあえずWorkstationに入れておけば問題なし。
https://downloads.chef.io/chef-dk/

4.2. chefコマンド

CookbookRecipeのひな形、Cookbookの開発に必要なgemの管理などを行う便利コマンド。
https://docs.chef.io/ctl_chef.html

4.3. knifeコマンド

Workstationにあるchef-repoChef server間で通信を行うためのコマンドラインツール。Nodeの設定やCookbookのアップロード、Role設定などなど、Chefの動作に必要な設定情報をこのツールを利用してChef serverとやりとりする。
https://docs.chef.io/knife.html

4.4. Berkshelf

Cookbookの依存関係を管理するツール。Cookbookが格納されたディレクトリのBerksfileがこのツールの設定ファイルとなる。
https://docs.chef.io/berkshelf.html
http://berkshelf.com/

4.5. chef-client

Chef serverからCookbookをダウンロードして同期したり、実際にNodeに対して構成情報の反映を行うエージェントツール。Nodeにインストールして利用する。
https://docs.chef.io/chef_client.html

4.6. Test Kitchen, ChefSpec, Foodcritic

インテグレーションテストツール、コードの整形(lint)ツールなどなど。
あると便利なツールたちで、必要に応じて利用する。

5. 利用者が作成するもの

5.1. chef-repo

Cookbook本体やRoleEnvironment毎の情報を管理するレポジトリ。いわゆる作業ディレクトリのこと。これをGitなどのVCSを利用して管理する。

chef-repoの内容はknifeコマンドを利用してChef serverとの同期を行う。内容がアップロードされれば、Chef serverに登録されたNode上のchef-clientchef-repo内のCookbookRoleそしてEnvironmentなどが利用可能となる。
https://docs.chef.io/chef_repo.html

5.1.1. 管理するもの

以下がchef-repoで管理すべき項目。5.2.から各項目について説明していく。

  • Policy
    • Role
    • Environment
    • Data bag
    • Cookbook
      • Recipe
      • Attribute
      • etc...

5.1.2. 構成ディレクトリ

構成ディレクトリ 構成ファイル
.chef/ Chef serverから取得した秘密鍵とknife.rbなど
cookbooks/ Cookbookのディレクトリ
databags/ Data bagが記されたRubyもしくはjsonファイル
environments/ Environmentが記されたRubyもしくはjsonファイル
roles/ Roleが記されたRubyもしくはjsonファイル

5.2. Policy

Policyとは「Chef serverに保持されるNodeのプロビジョニングのために必要な設定やオブジェクトの総称」のこと。意味は5.1.1.で紹介したchef-repoで管理する項目と同義。いわばchef-repoPolicyを管理していると言っても良い気がする。
https://docs.chef.io/policy.html

5.2.1. Role

Nodeに紐づく 役割(Role) 毎に、プロビジョニングに利用するCookbookRecipeや後述するAttributeを設定する。
Roleは、たとえばWebサーバーであったり、DBサーバーであったりとNodeごとに機能が分かれているサーバーの役割毎に作成することが多い。
https://docs.chef.io/roles.html

Roleのjsonファイル例

roles/web.json
{
  "name": "web",
  "chef_type": "role",
  "json_class": "Chef::Role",
  "default_attributes": {
    "apache": {
      "listen": [ "*:80", "*:443" ]
    }
  },
  "description": "HTTP Server",
  "run_list": [
    "recipe[apache2]",
    "recipe[apache2::mod_ssl]"
  ]
}

5.2.2. Enviornment

Nodeに紐づく 環境(Environment) 毎に、プロビジョニングに利用するCookbookRecipeや後述するAttributeを設定する。
Environmentは、たとえば開発に利用する「開発環境」であったり、本番デプロイ前に利用する「ステージング環境」、本番用の「本番環境」といった環境毎に作成することが多い。
https://docs.chef.io/environments.html

Environmentのjsonファイル例

environments/prod.json
{
  "name": "prod",
  "default_attributes": {
    "apache": {
      "timeout": 500,
      "contact": "admin@example.com",
      "serversignature": "Off"
    }
  },
  "json_class": "Chef::Environment",
  "description": "Procudtion environment",
  "chef_type": "environment"
}

5.2.3. Data Bag

上記のRoleにもEnvironmentにも関連しない、「chef-repo全体で共有しておくべきデータを扱いたい場合」はData bagを利用する。
たとえば、各Role、各Environmentで共通したアプリケーション実行ユーザーアカウントを利用したいと考えた場合、アカウントデータをData bagに登録しておき、そのデータをRecipe内で利用してユーザーをNode上に作成する、といった使い方ができる。

また、サーバー間連携で利用するための秘密鍵や、DBに接続するためのパスワードなどのセキュアな情報を格納することも可能。それらのデータの暗号化、複合化機能もChefが提供してくれる。
https://docs.chef.io/data_bags.html

5.2.4. Run-list

Run-listは「NodeもしくはRole」を構成するのに必要な「RoleもしくはRecipe」を列挙したリストのこと。NodeにはRoleの情報を、RoleにはRecipeの情報を指定する、といった使い方がキレイにまとまりそう。
https://docs.chef.io/run_lists.html

Run-listの書式は以下のとおり。

  • webというRoleを指定する

    'role[web]'
    
  • Cookbook名がhoge、Recipe名がhugaのRecipeを指定する

    'recipe[hoge::huga]'
    

5.3. Cookbook

Cookbookは「Recipeの管理」や、「Cookbook内のRecipeおよびNodeで利用する属性値を定義するAttributeの管理」を行う。Recipeと並ぶChefの根幹を成す概念。
https://docs.chef.io/cookbooks.html

Cookbookを構成する代表的なディレクトリやファイルは以下のとおり。

5.3.1. 代表的な構成ディレクトリ

ディレクトリ名 概要
attributes/ Attributeを定義するRubyコードを格納するディレクトリ
files/ cookbook_file resourceなどのファイルを操作するresourceで利用するファイルが格納される
https://docs.chef.io/files.html
libraries/ 任意のRubyのコードを格納するディレクトリ
https://docs.chef.io/libraries.html
recipes/ Recipeを格納するディレクトリ
resources/ Cookbook独自のResource(Custom Resource)を定義するために利用するディレクトリ
https://docs.chef.io/custom_resources.html
spec/ ChefSpecなどで利用するテストファイルを格納するディレクトリ
https://docs.chef.io/chefspec.html
templates/ eRubyを利用しテンプレート化した設定ファイルを格納するディレクトリ
https://docs.chef.io/templates.html

5.3.2. 代表的な構成ファイル

ファイル名 概要
.kitchen.yml Test Kitchenで利用する設定ファイル
Berksfile Berkshelfの設定ファイル
metadata.rb Cookbookの名前や作者などのメタデータの設定ファイル
https://docs.chef.io/cookbook_repo.html#about-cookbook-metadata
chefignore Chef serverへのアップロード時に除外するファイルの設定ファイル
https://docs.chef.io/chef_repo.html#chefignore-files

5.3.3. Recipe

Chef独自のDSLで記述されたRubyファイルのこと。「特定のパッケージがインストールされている」、「このパスに特定のファイルが配置されている」などNodeを構成する設定情報が記述されている。Cookbookの構成要素の1つ。
https://docs.chef.io/recipes.html

5.3.4. Recipeの例

recipe.rb
file '/tmp/motd' do
  content 'hello chef!'
end

apt_update 'Update the apt cache daily' do
  frequency 86_400
  action :periodic
end

package 'tar'

上記のRecipeNodeが以下の3つの状態になっていることを表している。

  • /tmp/motdにはファイルが存在していて、そのファイルの内容はhello chef!と書かれている
  • 86,400秒ごとにapt-get updateが実行される
  • tarパッケージがインストールされている

fileapt_updateResourceと呼ばれ、このResourceRecipe内に記述していくことで構成情報を定義していく。
https://docs.chef.io/resource.html

5.3.5. Attribute

Nodeに設定された属性情報のこと。Ohaiと呼ばれるNode内の情報を収集するツールが自動で設定するAttributeもあれば、CookbookRecipeで定義されるAttributeも存在する。このAttributeRecipe内で利用することもできる。
https://docs.chef.io/attributes.html

5.3.5.1. Ohaiで設定されるAttribute例

Attribute名 説明
node['platform'] Nodeのプラットフォーム情報
(ex. ubuntu, centos...)
node['ipaddress'] NodeのIPアドレス

5.3.5.2. Attributeファイル

Cookbookattributes/ディレクトリにはAttributeファイルを設置することができる。このAttributeファイルはそのCookbookで利用するAttributeのデフォルト値を定義し、それをNodeAttributeとして利用することができる。

たとえばApache2のCookbookを作成しようと考え、以下のようなAttributeファイルを定義しデフォルト値を設定することができる。

attributes/default.rb
default['apache']['dir'] = '/etc/apache2'
default['apache']['listen'] = [ '*:80' ]

これらの値をRecipeや設定ファイルのテンプレートで利用することができる。各ファイルでAttributeを参照するときの書き方は以下の通り。

  • Recipe

    recipe.rb
    node['apache']['dir']    # /etc/apache2
    node['apache']['listen'] # [ '*:80' ]
    
  • 設定ファイルのテンプレート

    apache2.conf.erb
    …
    ServerRoot "<%= node['apache']['dir'] %>"
    …
    <% node['apache']['listen'].each do |l| %>
    Listen <%= l %>
    <% end %>
    …
    

5.3.5.3. Attributeの上書き

AttributeファイルはCookbook内で利用する属性のデフォルト値を設定するが、Nodeの動作環境によってはその値を変えたい時がある。そういう時はRoleEnvironmentの設定ファイルでAttributeの値を上書きしNodeへ反映させることができる。

たとえばApache2のDocumentRootをEnvironmentによって変化させたい時は以下のようにEnvironmentのjsonファイルを作成する。ここでは開発環境のDocumentRootを変更したいと考える。

environments/dev.json
{
  "name": "dev",
  "default_attributes": {
    "apache": {
      "dir": "/tmp/etc/apache2/"
    }
  },
  "json_class": "Chef::Environment",
  "description": "Development environment",
  "chef_type": "environment"
}

このように環境によって属性値を変更することが可能。同じようにRoleでも似たような書き方をすれば属性値の上書きができる。

属性値の種類や上書きの優先順位はChefによって定義されているので、詳しくは公式ドキュメントを参照。

参考

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