はじめに
みなさんは、ユーザーヒアリングしていますか?
ユーザーヒアリングには、準備や計画が必要で、時間もかかります。そして、その過程で本当に課題が見つかるのか、不安に感じることもあるでしょう。
私自身、ここ2年ほどQiitaのプロダクトマネージャー(PdM)として働いてきました。
その中で、リリーススピードを最優先にするあまり、ユーザーヒアリングの重要性を深く考えることができていませんでした。振り返れば、ユーザーヒアリングを軽視していたと言えるかもしれません。
しかし、ある出来事をきっかけにユーザーヒアリング重要性を痛感しました。
そのため、この記事では、この経験を通じて気づいたことを、この記事にまとめたいと思います。
以前の私
以前の私は、ユーザーヒアリングに対してあまり前向きではありませんでした。
その理由はシンプルで、私自身がプロダクトを誰よりも使い込んでいる自信があったからです。いわゆる「ドッグフーディング」を通じて、ユーザーの視点や課題を十分に理解していると思っていました。
そのため、ユーザーの声を直接聞かなくても、ユーザーの課題や事業の課題を加味した的確な判断ができると思っていました。
また、ユーザーヒアリングには多くの時間と労力が必要です。
ユーザーにインタビューをしたり、アンケートを取ったりするには準備や調整が必要で、場合によってはリリースが1か月以上遅れることもあります。
「せっかく良いアイデアがあるのに、そんなに時間をかけていたらプロダクトの成長スピードが落ちてしまうのでは?」と考え、ユーザーヒアリングをやらずに進めることが多かったです。
そんな中で、私は自分のやり方に強い自信を持っていました。
「ドッグフーディングで得た気づきこそが、ユーザーにとって一番価値のある改善案だ」と思い込んでいたのです。
振り返ってみると、それは自己満足の範囲でしかなく、ユーザーの本当の声に耳を傾ける機会を逃していたのかもしれません。
ユーザーヒアリングの重要性について気づいたきっかけ
いつも通り、ドッグフーディングを通じてユーザー目線で改善点を見つけ出し、「これならユーザーも喜ぶし、プロダクトの数値にも良い影響を与えられる」と確信したアイデアをもとに、新しいプロジェクトを立ち上げました。
デザイナーと二人三脚でUIやUXを詰め、エンジニアに共有したときのことです。
その場でエンジニアからこんなフィードバックが返ってきました
- ユーザーからこの機能が欲しいという声が上がっているのは理解できる
- 理想通りに進めばプロダクトの数値が良くなる可能性があるのもわかる
- でも、感覚として「使われるイメージ」が湧かない
その言葉を聞いて、私は思わず「ん???どういうこと???」と頭の中が混乱しました。
「機能を求めている人がいるなら、使われるんじゃないの?」
「理想通りに進むようにこれから試行錯誤するんじゃないの?」
「こういう人が、こういうふうに使うって共有したじゃん。それがイメージできないってどういうこと?」
こんな疑問が次々と浮かびました。
もやもやしたままでは、何も進めないので、一度ユーザーにアンケートを取って、ユーザーが私の考えたシナリオ通りに行動するかどうかを確認することにしました。
その結果、ユーザーの行動は私の想定に近いものでした。
しかし、この経験を通じて、私は大きな気づきを得ました。それは、チームで知見を共有することの大切さです。ドッグフーディングだけでは、私個人にしか知見がたまりません。そして、私が得た知見は主観的で定性的なものなので、それを共有しても一般化しづらいのです。
一方で、アンケートやインタビューを行うと、複数のユーザーの声をもとにした客観的で定量的な知見を得ることができます。それをチーム全体で共有することで、意思決定がより確実で説得力のあるものになると実感しました。このプロセスは、単にプロダクトを改善するだけでなく、チーム全体の連携や理解を深める上でも非常に有効です。
チームで仕事を進めるためにユーザーヒアリングが重要な理由
私が経験を通じて感じたのは、ユーザーヒアリングが単にプロダクトを改善するためだけのものではなく、チーム全体で目標を共有し、一体感を持って進むために不可欠なプロセスだということです。
ユーザーヒアリングの最大の強みは、主観を超えて客観的なデータやインサイトをチームで共有できることです。ドッグフーディングで得られる知見は貴重ですが、それはあくまで「私」という一個人の視点に基づいたものであり、主観的で一般化しにくいものです。
一方、ユーザーヒアリングによって収集されたデータは、複数のユーザーの声に裏付けられており、客観性と信頼性を持っています。
これにより、以下のような効果が得られると思います。
- 共通認識の形成
- 議論の質の向上
- チームの信頼関係の強化
- リスクの軽減
まとめ
ユーザーヒアリングは確かに手間がかかります。
しかし、それはチームの方向性を正しく定め、全員が同じ目標に向かって進むための投資なのかもしれません。
これからも私は、ドッグフーディングを続けながら、ユーザーヒアリングを活用してチームで仕事を進めていきたいと思います。そしてプロダクトが、ユーザーにとって本当に価値のあるものになることを願っています。
最後まで読んでくださってありがとうございます!
普段はデザインやフロントエンドを中心にQiitaで記事を投稿しているので、ぜひQiitaのフォローとX(Twitter)のフォローをお願いします。