はじめに
この記事は、2023/11/29に開催された pmconf2023に参加レポートです。
この記事では、私が視聴した以下のセッションについてのレポートをまとめようと思います。
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プロダクトマネージャーの「覚悟」を分解する
- 及川 卓也さん, 吉羽 龍太郎さん
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シリコンバレーのプロダクトマネージャー達に見る、 覚悟を決めたPMは何が違うのか?
- 曽根原 春樹 さん
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「わからなさ」をエネルギーに変え、競争力を高めるプロダクトマネジメント
- 高石 一樹 さん
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社長=プロダクトオーナーから、意思決定の権限をPdMが獲得する方法
- 吉川 徹 さん
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その意思決定、説明できますか?
- 森口 貴之 さん
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Purposeを実現するプロダクトマネジメント ~安易な成長に逃げない~
- 久保 拓也 さん
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プロダクトの成長を促すPMのコミュニケーションのあり方
- 根津 陽 さん
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”リビルド”プロダクトマネジメントの極意
- 田中 達規 さん
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多角的な事業に取り組むプロダクトマネージャーたちを支える横断組織のリアル
- 佐々木 佳祐 さん
セッション レポート
⚪︎ プロダクトマネージャーの「覚悟」を分解する
- 及川 卓也 さん
- Tably株式会社 / Global Hands-On VC / Adobe / クライス&カンパニー代表取締役 / Founding Partner / Executive Fellow / 顧問
- 吉羽 龍太郎 さん
- 株式会社アトラクタ 取締役CTO / アジャイルコーチ
このセッションでは、 プロダクトマネージャーの「覚悟」 について、及川さんと吉羽さんが、以下の6つのテーマでトークするセッションでした。
1. カネを利用する覚悟
このテーマでは、自分のお金を使ってもプロダクトを成長・グロースさせるくらいの覚悟が必要である という話しが印象的でした。
個人的に、この覚悟は「あります! 」と自信を持って言えるほどは持っていなかったと感じました。
PM的な動きをはじめて、1年未満ですが、何を開発するのか、どこにお金を使うのかは、
2. ヒトを巻き込む
このテーマでは、PMは人の人生を狂わせるくらいの覚悟で、周りの人を巻き込む必要がある という話しが印象的でした。
特に、「自分達がどこに目指しているのか」を説明しまくるほど、説明が足りていないように感じました。
ところどころでは話していますが、適度に1on1とかで目指している方向を共有していこうと思います。
3. Noという覚悟
このテーマでは、disagree and commit の話しが印象的でした。
PMは、相手が誰であれ、意見に同意できない場合は、敬意を持ってNOと言わないといけない。
ただ、いざやることが決定したならば、戦力でコミットして取り組む
この姿勢は大切だと感じました。
4. ユーザーを巻き込む
このテーマでは、自分のプロダクトを使い込んだ方がいい(ドックフーディング)という話しが印象的でした。
これは、ユーザーと顧客が必ずしも一緒であることはなく、自分のプロダクトの魅力を説明でき、ユーザーを巻き込み、売り込めるようにならないと、PMとしての評価(利益を上げること)につながらない。
自分のプロダクトの魅力を理解、説明できるようにするためにも、自分のプロダクトを使い込んだ方がいいということでした。
5. 未完成なプロダクトを使ってもらう
このテーマでは、実際使ってもらって、評価してもらわないといけない という話が印象的でした。
これは、バーニングニーズを見つけるためにも、仮説のままでも、ドックフーディングをやりまくる体勢を作るのが大切。その上で、できるだけ早く、ユーザーに使ってもらって、評価(利益を上げること)に繋げないといけないということでした。
6. プロダクト・機能を終了する
このテーマでは、何か足したら、何か消すのがいいという話した印象的でした。
これは、注力しなくなったプロダクトや機能をやめると決断するのもPMの仕事。
注力しなくなったプロダクトや機能は、ユーザーが健全な状態で使ってなく、収益が上がってない状態になっていることが原因になっている。
そのため、そういう機能やプロダクトがのこっていると開発速度も落ち、ユーザーの課題を適切に解決できていない状態であり、何か足したら、何か消すとスタンスであるのがいいということでした。
disagree and commit の姿勢とても大切だと感じました。ただ、気に入らないことにNOというだけではなく、論理的に根拠を持ってONといい、さらに代案があるとなおいいかなと思います。
⚪︎ シリコンバレーのプロダクトマネージャー達に見る、 覚悟を決めたPMは何が違うのか?
- 曽根原 春樹 さん
- LinkedIn Senior Product Manager
このセッションでは、曽根原さんが、シリコンバレーの覚悟のあるPMの6つの特徴 を紹介するセッションでした。
1. 視点→視野→視座
覚悟のあるPMは、時間的連なりの中でプロダクトを見るそうです。
その中でも特に優秀なPMは、Step Change を見ているそうです。
Step Changeは、段階的な成長です。
Instagramのstories機能やYoutubeのshot機能などのリリースすることで、プロダクトが大きく縦に成長させることを目指しているそうです。
2. Over Communicate
覚悟のあるPMは、理解を揃える(alignする)ために 何度もコミュニケーションをとっているようです。
認識や理解が揃えられてないところは、相手が勝手に埋めていき、それが齟齬(under communicate)になるそうです。
内容によっては、どのチャンネルで何をどのように伝えていくか考えないといけないが、いいこと・悪いこと含めて、Over Communicateしているそうです。
3. Over indexingを避ける
Over indexingは、得意技に依存して、身につけないといけないことを隠してしまうことです。
PMは、出自がエンジニア、デザイナー、マーケ、営業など、人によって異なり、それがその人の特技になります。
しかし、そんな特技、強みを押しすぎたり、強みに依存したりすると、PMとしてのスキルセットが傾いてしまいます。なので、自ら、必要なスキルを獲得していかないと成長しないということです。
「NOT GIVEN. Earn.」
PMというロールになったから、スキルが身につくのではない
スキルが身についたから、PMになる。
この言葉は、心に刻みたい。
4. 経営者感覚
覚悟のあるPMは、経営者感覚に優れているそうです。
PMの仕事は、ユーザーにプロダクトの価値を届けることです。
しかし、収益性のない、インパクトない価値は、意味がないです。
狩野モデルの「当たり前品質」ばかりやっていては、収益性、インパクトに影響はありません。
「魅力的品質」をやっていくことが、収益性、インパクトに影響するのです。
そのため、覚悟のあるPMは、「魅力的品質」を、最小、最短でやることを心がけているようです。
5. 時間の使い方
覚悟のあるPMは、時間の使い方が違うようです。
PMの仕事を、LNOフレームワークに当てはめると、それぞれの比率が違うようです。
leverage | プロダクトビジョンや戦略を作る・新しいプロダクトや機能の構想を練る |
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Neutral | スライドを綺麗にする・アジェンダのないMTG, 情報共有のMTGに参加する |
Overhead | メールやチャットでの議論をissueにする・プロジェクトマネジメント系のissue |
覚悟のあるPMは、leverageにかける時間が多いようです。
6. ロジカルシンキングとクリティカルシンキング
覚悟のあるPMは、クリティカルシンキングまでやっているようです。
ロジカルシンキングは、命題に対してMECEで考えていく方法。
クリティカルシンキングは、MECEで考えた中で、 なぜ? どうして?だからと問いかけて、思考を深めていく方法。
クリティカルシンキングまで行うことで、前提を疑い、現状維持を崩し、芯のある仮説を導いているようです。
PMとしての覚悟・姿勢がメインの話でしたが、僕は、まだどれもできていないように感じました。とりあえず、leverage, Neutral, Overhead それぞれにどのくらい時間をかけているか測定しつつ、leverageに時間をかけることで、PMとして求められていることをどんどんやっていきたいと感じた。
⚪︎ 「わからなさ」をエネルギーに変え、競争力を高めるプロダクトマネジメント
- 高石 一樹 さん
- 株式会社タイミー Product Manager
PC, スマホの充電が切れたので、メモ取れず記憶だけでコメントしていきます... 🙏
→ 去年の続きのような発表でした。
タイミーでは、不明確なゴールに付き物な「わからない」に向き合うために、
チーム内でのアプローチ、外からアプローチを行っているようです。
ユーザーインタビューを毎日?週に2~3回行って、
誰でもインタビューに参加できるように定期予定にしているようです。(←すごい)
後から聞いた話だと、タイミー内にユーザーインタビューのバイト作ってリクルーティングしているみたいです。
⚪︎ 社長=プロダクトオーナーから、意思決定の権限をPdMが獲得する方法
- 吉川 徹 さん
- 株式会社マイベスト 代表取締役社長CEO
PC, スマホの充電が切れ、コンセント探していたら、前半聞き逃しました.... 🙏
社長がどう考えているかをsyncすることが重要だそうです。
そのため、社長=プロダクトオーナーとの対話することが大切です。
そんな社長=プロダクトオーナーとの会話で気をつけていることは、
1. 質 x 量
コミュニケーションの心理的ハードルを下げるために、質と量を上げる
心理的ハードルを下げることで、ネガティブなフィードバックをしやすい関係を作る
2. 早いレスポンスを心がける
レスポンスのスピードは、社長とPdMの対話の心理的ハードルを下げる重要なポイント。
社長は、毎日いろんなことを考えているので、1時間後は、別のことを考えている。
そのため、思い出すコストを下げるためにも即レスを意識するのがいいそうです。
3. 社長の孤独を理解する
社長は、同じ視点で物事を考えてくる人がいない唯一のポジションなため、会社で孤独だそうです。
そのため、孤独であることを理解し、社長の良き理解者になり、そして、社長を承認してあげるのいいそうです。
4. 朝令暮改に適応する
社長は、情報のアップデート速度も早い
そのため、今、目の前の情報の中で最善策を選択しているだけなので、
今日、昨日で考えていることが違うのは当たり前。
5. 失敗したら、やめる覚悟 ではなく、やめない覚悟を見せる
社長からしたら、失敗したら辞めるくらいの覚悟では、信頼できないみたい。
社長は、辞めたくても、辞められないから、 どんな失敗をしても、成功するまでやり続ける覚悟じゃないと信頼できないようです。
⚪︎ その意思決定、説明できますか?
- 森口 貴之 さん
- 株式会社スマートバンク プロダクトマネージャー
PMは、コミュニケーションのハブ的な立ち位置になることが多く、コンフリクトが発生しやすい状況に身を置いています。
そのため、その場しのぎの意思決定をやってしまうと、説明し切れない状況になってしまいます。
コンフリクトを回避するためには、遠くのゴールを共有し、プロダクトビジョンを示すこと・考えることが大切です。
プロダクトビジョンに組織の考え方を反映して、そこから逆算的に考えるトップダウン思考を判断軸とすることで、ブレない意思決定をおこなえるようになるそうです。
⚪︎ Purposeを実現するプロダクトマネジメント ~安易な成長に逃げない~
- 久保 拓也 さん
- 株式会社estie VP of Products
estieでは、「産業の真価を、さらに拓く。」というPurposeを掲げており、Purposeを実現するにあたって、シングルプロダクトでのPurposeの達成は難しいと判断し、創業初期からマルチプロダクトへ挑戦することに決めたそうです。
そんなマルチプロダクトへの挑戦は、アンチパターンの連続で、どんな意思決定でも不安があったそうです。
その度に、Why are you here -お前はどうしたいの?- と問いかけ、会社のPurpose, 自分のPurposeに立ち返り、最速でPurposeに至るための方法を選択していったそうです。
⚪︎ プロダクトの成長を促すPMのコミュニケーションのあり方
- 根津 陽 さん
- 株式会社マネーフォワード クラウドERP本部 プロダクト戦略部 部長
PMは多くのステークホルダーとコミュニケーションを取るため、板挟みになること多いそうです。
それぞれのステークホルダーごとに、同じプロダクトでも理解度や認識が異なるため、PMじゃ、プロダクトを中心となって、ドライブさせる必要があるそうです。
具体的には、
- 相対する人のロール、理解度に合わせたスタンスを取る
- PMが使うワードを使わない
- プロダクト以外でもアウトカム志向である
- キーマンを抑えてレポートラインを明確化する
- 全ての人に丁寧なコミュニケーションは不可能
- キーマンを抑えて、合意形成をスムーズにする
- 話す以外のコミュニケーションを適切に利用する
- 話す以外の資料やドキュメントもコミュニケーションの一種
まとめると、ステークホルダーの板挟みになるPMはコミュニケーションの重要度が非常に高く、コミュニケーションへの適切なマインド、スタンスが、プロダクトの意思決定をスムーズにし、成長を促すということです。
⚪︎ ”リビルド”プロダクトマネジメントの極意
- 田中 達規 さん
- 株式会社エス・エム・エス プロダクト開発部 プロダクトマネジメントグループ プロダクトマネージャー
リビルドプロダクトマネジメントとは、
顧客課題と価値を自分の言葉で再定義し、
あるべきプロダクト全体像やUX・UI・アプリ・業務を一から見直す。
そして、リニューアル等の推進する。
この一連のプロセスのこと。
新人PMは、背景や課題に気づけるので、リビルドプロダクトマネジメントに挑戦しやすい。
そのためには、
- ファクトを収集し、把握する
- ドキュメントを漁る
- ユーザーの思考や業務を理解する
- 業務やオペレーションを観察する
- PdMとしての覚悟を示す
- 落ちそーなボールを取りに行く
- 開発以外でも前に進められることを示す
- 正しいをシンプルに実行する
- 思い切ってやる。必要なことに集中する
- シンプルな「素うどん」を見定める
をやっていくのが良い。
⚪︎ 多角的な事業に取り組むプロダクトマネージャーたちを支える横断組織のリアル
- 佐々木 佳祐 さん
- ピクシブ株式会社 コミック事業部 事業部長
PMの事業横断組織「PMギルド」についての紹介でした。
ピクシブのPMギルドの運営には、成長組織と採用チームがあるそうです。
それぞれのチームでは以下のようなことをやっているそうです。
- 成長組織
- 1on1の開催
- 社内勉強会
- 他社交流会
- 採用チーム
- APM採用
- 中途PM採用記事, note
PMギルドを運営するに当たって
- PMのスキル、スタンスを定義
- PMガイドブック
- PMの定義、スキル、スタンス、キャリア例、サポート体制が載っているドキュメント
- PM入社時にオンボーディングとして使っている
- PMギルドのミッションを決める
- 「みんなが、ピクシブらしいプロダクトをピクシブらしいやり方で作れるようにする」
- ギルド面談体制の構築
- 社内勉強会の運営
みたいなことをやっているようです。
pmconf2023 資料まとめ
上記以外のセッションでTwitter等で共有されていた資料
⚪︎ 複雑で二律背反となるプロダクト指標にPMはどう向き合うべきか
- 松本 禎大 さん
- 株式会社ネットプロテクションズ プロダクトマネージャー
⚪︎ SmartHRのマルチプロダクト戦略実行の苦悩と挑戦
- 疋田 駿 さん
- 株式会社SmartHR PMグループ Technical Product Manager
- 松栄 友希さん
- 株式会社SmartHR PMグループ Product Manager
⚪︎ プロダクトローンチ・チーム組成 1年目に "やらなかったこと・諦めたこと・捨てたこと"
- 蜂須賀 大貴 さん
- PIVOT株式会社 プロダクトマネージャー
⚪︎ サービスの一等地ホーム画面改善と効果的なステークホルダーマネジメント
- 古澤 智裕 さん
- 株式会社メルカリ プロダクトマネージャー
⚪︎ 73万人のクリエイターを抱えるサービスが、「画像生成AIを使ってTシャツを作る機能」をリリースする覚悟を決めた話
- 牧山 ミルテ さん
- GMOペパボ株式会社 プロダクトマネージャー
⚪︎ 「大事だけど直接売上に繋がりづらい」イシュー だからこそ、意志を持って体験にこだわりきる
- 加藤 みちる さん
- 株式会社LayerX バクラク事業部 プロダクト企画部 プロダクトマネージャー
⚪︎ CPOが開発する覚悟 〜コンパウンドスタートアップにおける、爆速の新規事業開発スタイル〜
- 榎本 悠介 さん
- 株式会社LayerX バクラク事業部執行役員 CTO/CPO
⚪︎ 定数を変数化する覚悟 ~レバレッジの効く変数を獲得するという考え方~
- 水野 幸恵 さん
- 株式会社LIFULL 「LIFULL HOME'S賃貸」プロダクトマネージャー
⚪︎ 【プロダクトマネジメントで高速PDCA】 アウトカムが激増したLIFULL HOME’Sのグロース事例
- 谷内 健太 さん
- 株式会社TVer プロダクトマネジメントタスク タスクマネージャー
⚪︎ 成果が出ないユーザーインタビューは何がダメだったのか? ~「誰に聞くか」の探り方 ~
- 湯川 晟 さん
- 株式会社スマートバンク プロダクトマネージャー
まとめ
この記事は、2023/11/29に開催された pmconf2023に参加して、
僕が、聞いたセッションを中心に感想、内容をまとめました。
pmconf2023 のイベント全体としての感想は、
PdMとしての自分のスキル感、立ち位置が明確になった、いいイベントだったと思います。
そのため、今回イベントで吸収したことを早速業務で活かしていきたいと思います。
あたらめて、運営の方々、発表していただいた方々ありがとうございました。
最後まで読んでくださってありがとうございます!
普段はデザインやフロントエンドを中心にQiitaに記事を投稿しているので、ぜひQiitaのフォローとX(Twitter)のフォローをお願いします。