はじめに
皆さんの中にも、アクセシビリティ改善をしたいと思っている人は多いかと思います。
しかし、このような悩みを抱えていませんか?
- 「アクセシビリティに取り組みたいのに経営者の理解が得られない」
- 「工数などのリソースの問題で決裁者の承認がおりない・後回しになる」
- 「同僚がアクセシビリティに興味を貰えなく、前に進まない」
Qiitaでは、会社としてアクセシビリティに取り組むため、このような課題をある程度クリアしたと自負しております。
そのため、この記事では、こうした悩みに対して私たちがどのように取り組み、どのようにコミュニケーションをとって社内を動かしていったのか、その具体的なプロセスをお話しします。
アクセシビリティ改善プロジェクトを立ち上げるにあたってやったことは、こちらの3つです。
- 「社内メンバーの巻き込み」
- 「改善するリソースの確保」
- 「決裁者の承認・アプローチ」
の3ステップに分け紹介していきます。
社内メンバーの巻き込み
社内メンバーの巻き込むためにやったことは、こちらの3つです。
- 他のメンバーが行動に移せる具体的なアクションを提案
- WCAGの勉強会
- QiitaアクセシビリティHandbookを作ること
◯ 他のメンバーが行動に移せる具体的なアクションを提案
社内メンバーの巻き込むために最初に行ったことは、他のメンバーが具体的に行動に移せるアクションを提案することでした。
そのため、Qiitaでは、まず「アクセシビリティやりましょう!」ではなく、
「セマンティックなマークアップにしていきましょう」と声に出し始めていきました。
アクセシブルとはほど遠いい状態やアクセシビリティに詳しい人がいない状態では、「今からアクセシビリティ頑張っていきましょう!」と声をあげても、何をやっていいかわからなく、人はなかなか動いてくれません。
しかし、「セマンティックなマークアップにする」ということは、開発の中でもよく耳にすると思います。
タグの役割・意味に即した形でマークアップすることは、実装方法がたくさんあるマークアップにとって考えると、1つの正解であり、やる理由やその重要性を知らなくても動きやすいと思います。
このように、社内メンバーを巻き込むにあたって大切なことは、メンバーの一歩目が動けるところまで、アクションを分解して提案することだと思います。
◯ WCAGの勉強会
その次に行ったことは、「WCAGの勉強会」です。
Qiitaでは、よく色々な勉強会が開催しています。
WCAGの勉強会では、参加者が毎週持ち回りで、WCAGのガイドラインを読み、内容を発表していくといった方法で勉強会を開催しました。
「セマンティックなマークアップを意識できる」ようになった後、1歩目を踏み出した後に、勉強会を開催したことで、セマンティックなマークアップする理由がわかったり、アクセシビリティ改善の実感が湧いてくると思います。
例えば、勉強会を1歩目を踏み出す前に、やってしまうと、「アクセシビリティってめんどくさいな..」や「考えないといけないことが多いからと後回しにしよう」となり、勉強会の効果がそこまで高くなかったかと思います。
このように、1歩目を踏み出した後にアクセシビリティの勉強会を開催することで、アクセシビリティ改善の実感や成功体験になり、アクセシビリティ改善へのモチベーションが高まってくると思います。
◯ QiitaアクセシビリティHandbookを作ること
そして、最後にやったことは、「QiitaアクセシビリティHandbookを作ること」です。
QiitaアクセシビリティHandBookは、Qiitaのアクセシビリティ対応方針やアクセシビリティに関する知識や情報をまとめた記事です。
この記事を作成できたのは、「アクセシビリティの勉強会」の成果の1つだと思います。
アクセシビリティの勉強会によって、メンバーのアクセシビリティに対する知識がつき、Qiitaでどこまでアクセシビリティ対応するのかを議論できたため、この記事が作成できたのだと思います。
そしてこのQiitaアクセシビリティHandBookでは、「どうしてQiitaがアクセシビリティを改善するのか」や「Qiitaのアクセシビリティ対応方針」・「アクセシビリティ対応していくためのドキュメント」などが記載されています。
改善するリソースの確保
アクセシビリティHandBookを作成しても、開発するリソースがないとアクセシビリティ改善を進めることはできません。
Qiitaには、アクセシビリティー専門組織はないため、エンジニアとデザイナーが他のプロジェクトと並行して、アクセシビリティ改善を進める必要があります。そのため、Qiitaで取った方針は、薄く広くアクセシビリティ改善を進めることです!
短期間に成果を出すプロジェクトとして進めるのではなく、1年、2年と長期間にわたって、取り組むプロジェクトとして、少なくても2週間で数時間分の開発を進めています。
このように、プロジェクトの隙間でアクセシビリティ改善が進められるようにアクセシビリティ改善プロジェクトを定義し、リソースを確保しています。
決裁者の承認・アプローチ
最後は「決裁者の承認・アプローチ」についてです。
今まで話した取り組みで、「技術的なハードル」や「人材の懸念」、「コストやリソースの懸念」は、ある程度取り除けると思います。
そのため、決裁者に承認をとるにあたって、大切にしたことは、「ビジョンとブランディング」です。
Qiitaは、「エンジニアを最高に幸せにする」というMissonを掲げています。
この「エンジニア」には、年齢や障害の有無にかかわらずあらゆる人たちが含まれます。そのため、アクセシビリティ改善に取り組むことは私たちのミッション達成に必要であるということを伝えました。
また、エンジニアに関する知識を記録・共有するサービスであるQiitaがアクセシビリティに取り組むことで、Qiitaのブランドイメージの向上が行われることを伝えました。
そして、承認がおり、アクセシビリティ改善プロジェクトを立ち上げることができました。
まとめ
アクセシビリティ改善プロジェクトを立ち上げるにあたってやったことは、「社内メンバーの巻き込み」・「改善するリソースの確保」・「決裁者の承認・アプローチ」の3つです。
社内メンバーを巻き込むために、「セマンティックなマークアップにすること」・「WCAGの勉強会」・「QiitaアクセシビリティHandbookを作ること」を行い、
アクセシビリティ改善のリソースを確保するために、薄く広くプロジェクトを進める戦略をとり、
そして、決裁者の承認をもらうために、「ビジョンとブランディング」につながることを伝え、
アクセシビリティ改善プロジェクトを立ち上げることになりました。
最後まで読んでくださってありがとうございます!
普段はデザインやフロントエンドを中心にQiitaで記事を投稿しているので、ぜひQiitaのフォローとX(Twitter)のフォローをお願いします。