NTTドコモ R&Dアドベントカレンダー17日目
今回は、G検定とはどのような資格なのか、徹底的に解説したいと思います!また、試験5日前から勉強を始めて合格を勝ち取った、社会人2年目の勉強法と受験した所感も共有します!
コードに抵抗感のある方でも読めるよう、コードが一切ない記事にしました。誰でも読めます!ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです!
G検定(ジェネラリスト検定)とは
「G検定(JDLA Deep Learning for GENERAL)」は、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施している資格試験であり、AI関連の認定として最近注目が高まっています。この試験では、ディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して、事業活用する能力や知識を有しているかを検定されます。
試験概要
- 受験資格:制限なし
- 実施概要:試験時間120分、知識問題(多肢選択式・220問程度)、オンライン実施(自宅受験)
- 合格ライン・得点:非公開
- 受験料 :一般 12,000円(税抜)、学生 5,000円(税抜)
- 試験日 :年3回程度
- 合格発表:試験の約2週間後にメールにて発表
- 申込方法:ネット(受験サイト)
試験時間120分で220問、つまり30秒/問くらいで問題を解く必要があるので、パパッと回答する必要があります。
また、オンライン実施のため、コロナ禍でも受験可能です!
ちなみに次回のG検定2021#1は、2021年3月20日(土)に実施されるため、これから試験勉強を始めても、全然間に合います!
試験範囲(シラバス)
- 人工知能(AI)とは(人工知能の定義)
- 人工知能をめぐる動向
探索・推論、知識表現、機械学習、深層学習 - 人工知能分野の問題
トイプロブレム、フレーム問題、弱いAI、強いAI、身体性、シンボルグラウンディング問題、特徴量設計、チューリングテスト、シンギュラリティ - 機械学習の具体的手法
代表的な手法、データの扱い、応用 - ディープラーニングの概要
ニューラルネットワークとディープラーニング、既存のニューラルネットワークにおける問題、ディープラーニングのアプローチ、CPUとGPU
ディープラーニングにおけるデータ量 - ディープラーニングの手法
活性化関数、学習率の最適化、更なるテクニック、CNN、RNN
深層強化学習、深層生成モデル - ディープラーニングの研究分野
画像認識、自然言語処理、音声処理、ロボティクス (強化学習)、マルチモーダル - ディープラーニングの応用に向けて
産業への応用、法律、倫理、現行の議論
シラバスだけを見ると、範囲が非常に広いと感じますね。。ですが、ディープラーニングの知識を事業活用する人材の育成が目的なので、専門的な知識がない人でも挑戦できる難易度になっています。
また、合格率も毎年60~70%程度と高いため、難関資格ではなく、ちゃんと勉強したら合格できる資格だと思います。
G検定の例題
公式サイト G検定の例題から抜粋したものです。
Q.以下の文章は、さまざまな機械学習の手法について述べたものである。空欄に最もよく当てはまる選択肢を、語群の中から1つずつ選べ。
機械学習にはいくつかの手法があり、用語の意味を正しく理解する必要がある。学習データに教師データと呼ばれる正解ラベルつきのデータを用いる手法は(ア)と呼ばれ、対照的に正解ラベルがないデータを利用する手法は(イ)と呼ばれる。また、正解ラベルが一部のサンプルにのみ与えられている(ウ)という手法も存在する。
- 教師なし学習
- 教師あり学習
- 強化学習
- 表現学習
- マルチタスク学習
- 半教師あり学習
- 多様体学習
参考書籍
JDLAホームページでオススメされている書籍
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深層学習教科書ディープラーニングG検定(ジェネラリスト) 公式テキスト
最新シラバスに準拠しており、ディープラーニングについて満遍なく学ぶことができる1冊です。個人的には、G検定を受験しない人でも、ディープラーニングの基礎を幅広く学びたい場合にオススメの書籍です!下記のような構成で、各章末には練習問題もあります。
第1章 人工知能(AI)とは
第2章 人工知能をめぐる動向
第3章 人工知能分野の問題
第4章 機機械学習の具体的手法
第5章 ディープラーニングの概要
第6章 ディープラーニングの手法
第7章 ディープラーニングの研究分野
第8章 ディープラーニングの応用に向けて(1)産業への応用
第9章 ディープラーニングの応用に向けて(2)法律・倫理・現行の議論 -
ディープラーニング活用の教科書
ディープラーニングを活用したビジネス事例集で、ビジネス活用のポイントを学ぶことができます。 -
ディープラーニング活用の教科書 実践編
最先端のディープラーニングの実践的な事例が紹介されています。
多くのG検定のネット記事でオススメされている書籍
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AI白書
AIの技術から利用動向、制度政策まで、国内外の人工知能の最新動向が全てわかる1冊です。 -
徹底攻略 ディープラーニングG検定 ジェネラリスト 問題集
多数のG検定合格者を輩出するスキルアップAI株式会社の明松 真司氏・田原 眞一氏によって、丁寧で分かりやすく解説されています。
G検定を取得するメリット
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ディープラーニングの基礎を網羅的に学ぶことができる!
人工知能(AI)、機械学習、ディープラーニングの基礎知識や最新動向、法律・倫理が出題されるため、幅広い知識を学ぶことができます!また、G検定はAIやディープラーニングに精通した人材育成のための資格であり、AI初心者や、AIを基礎から学び直したいという方には最適な内容になっています。 -
就職や転職でアピールできる!
就職や転職の際、書類選考が免除されるなど、G検定保有者を優遇する企業が増えてきています。また、NTTドコモでは受験料補助や奨励金制度が適用されているなど、G検定取得が社内推奨されている企業もあります。 -
合格者コミュニティ「CDLE」に参加できる!
CDLE(Community of Deep Learning Evangelists、シードル)とは、slackのワークスペースで、G検定・E資格の合格者のみが参加できるコミュニティです。このワークスペースでは、機械学習やDLに関する最新情報やイベント・勉強会を共有するなど、合格者同士で交流することができます! -
G検定の合格認証ロゴを名刺に入れられる!
G検定に合格すると、合格認証ロゴが配布されます。そのロゴは、名刺に記載できるため、社内外にAIの専門知識があることをアピールすることができます!
私のG検定勉強法(試験5日前〜直前にやった3つのこと)
前提として、G検定の勉強を始める前の私の状態です。
- 理系出身
- 数学苦手
- 機械学習の超基本的なことは知っている(教師あり・なしの定義などは知っている)
- ディープラーニングの知識はほぼゼロ(RNN、CNNの名前を知っている程度)
見てわかるように、ディープラーニング初心者という状態で試験勉強を始めました。こんな私が、試験5日前からどのように勉強をして合格したのか、詳しく説明します!
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G検定公式テキストを3回読み込む
JDLAホームページでオススメされている書籍の「深層学習教科書ディープラーニングG検定(ジェネラリスト) 公式テキスト」を購入し、私はこの書籍1冊のみを読んで、ディープラーニングの基礎知識を身につけました。
試験5日前から勉強を始めたということもあり、試験までの勉強時間がなかったため、ディープラーニングの応用事例が書かれた第8章は1回だけ読み、それ以外の章は3回読みました。2日で1周(224ページ)読むペースで、インプット量も膨大だったため、大変でした。。ですが、わかりやすく書かれているため、難しいと感じることはなく、読み進めることができました。 -
毎日G検定練習テストを受ける
試験5日前から毎日、G検定 Web模試 の「G検定練習テスト10問」を受けていました。G検定練習テスト10問は、試験が近くなると毎日問題が更新され、腕試しに最適でした!また、5分で10問を解答しなければならないという、試験本番と同じような環境でテストできることも良かったです。
他サイトの無料のG検定問題も受けてみましたが、解答が間違っていることや、時間制限が設けられていないなどあり、「G検定練習テスト10問」が一番オススメです。 -
G検定合格体験記を読む
ネット上にあるG検定合格者の体験記の記事を、いくつか目を通しました。その記事から、試験中に各問題に対して「チェックして後で確認する」ということができることを知りました。そのため、試験本番では、わかる問題から解いて、チェックをつけた分からない問題は後でじっくり考えて回答しよう、という試験本番のシミュレーションができました。
G検定2020#3を受験してみて
ディープラーニング初心者が、上記の勉強法でG検定に挑んでみた感想を共有したいと思います。あくまで個人的な感想ですが、G検定合格のための有用な情報だと思います!
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2020#3の出題傾向!?
2020#3では、強化学習の手法や、法律に関する問題が多かったなという印象です。
ですが、これらの強化学習や法律について、公式テキストではほとんど取り扱っていませんでした。。そのため、今後受験を考えている方は、強化学習や法律に関して、試験前に公式テキスト以外もチェックしておくことをオススメします。 -
公式テキストを全て暗記・理解していたとしても、4~5割程度しか解けない内容!?
ネットでもよく言われている、公式テキストだけでは合格は難しいということが、試験中に身にしみて分かりました。
私は公式テキストのみで勉強しており、それ以外の知識はほぼ皆無、という状態で試験に挑みました。試験問題では、公式テキストでは見たことがない単語・内容が出まくりました。私の肌感では、試験で出てきた半分くらいの単語は、初めまして状態でしたね。。 -
問題は空欄補充と正誤の2パターン!?
問題形式は、空欄を埋める問題、文章の正誤を問う問題の2パターンだったと思います。
空欄を埋める問題の多くは、問題文中に手法の名前が書かれており、その手法の説明を選択する問題、または問題文中に手法の説明が書かれており、その手法の名前を選択する問題でした。
文章の正誤を問う問題、特に法律に関する問題は、問題文や選択肢の文章が長い傾向があったため、サクサク解くことがムズかったです。。そのため、個人的には、空欄を埋める問題に注力した方が、効率的に問題が解けると思いました。 -
問題文に注意!正しいものを選択?誤っているものを選択?
一般的な試験で誤っているものを選択する問題は、誤っているものを選べと太字になっていますよね。ですが、G検定では太字になっていません。。そのため、問題文を最後までしっかり読んで回答しましょう! -
分からない問題は、消去法と直感を信じて回答!
限られた時間ですべての問題を回答するために、わからない問題に遭遇したときは、消去法または直感を信じて回答しましょう!また、このような問題は、時間が余った際にもう一度振り返れるよう、「チェックして後で確認する」機能を使うことをオススメします。 -
G検定合格後、「CDLE」に参加してみて
CDLEに参加して数日ですが、最新のディープラーニングや機械学習の技術や勉強会の情報をゲットできるようになりました。
また、E資格の合格に向けた情報交換もすることができるため、E資格の受験を検討されている方は、こちらのコミュニティに参加することのメリットが大きいと思いました。
最後に
G検定とはどのような検定なのか、詳しく書いてみました。試験5日前から勉強を始めた、DL初心者な私でも合格できたため、G検定に少しでも興味を持った方は、G検定を受験してみてはいかがでしょうか?
最後に、私からのクリスマスプレゼントとして、私が実際にG検定の試験で役に立った、公式テキストには載っていない単語集を公開します!これからG検定を取得する方に、少しでも参考になれば幸いです。
私のマル秘資料
単語 | 説明 |
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記述統計 | 全データの統計量(平均、分散など)を計算して分布を明らかにすることにより、データの示す傾向や性質を知る |
推測統計 | 元データからサンプリングしたデータから母集団の性質を推測 |
Ponanza | 将棋でプロ棋士に勝利 |
Deep Blue | チェスの世界チャンピオンであるガルリ・カスパロフに勝利 |
モラベックスのパラドックス | 機械にとっては高度な推論よりも、1歳児レベルの知恵や運動スキルを身につける方が難しい |
多重共線性 | 重回帰分析などで発生、説明変数の中に相関係数が高い変数があるときに発生、標準誤差の増加など予測が上手くいかなくなる |
内部共変量シフト | ある層の入力がそれより下層の層の学習が進むにつれて変化してしまう問題、出力の偏りをなくすバッチ正規化で対応 |
SGD(確率的勾配降下法) | 損失関数を微分して勾配を計算し、勾配方向へ事前に決めた学習係数だけ進むことを繰り返す |
ステップ(活性化関数) | 0か1のみを出力、単純パーセプトロンで用いる |
恒等関数 | 入力をそのまま出力、回帰問題の出力層に使用 |
RMSE | 回帰問題で使用、予測値と標本値の誤差を二乗して平均を出し、平方根を取ったもの。0に近いほど良い |
蒸留 | 過学習を緩和。大きな学習済みモデルの出力を使って小さなモデルを学習し、特徴を継承 |
イテレーション | 重みが更新された回数 |
エポック | 訓練データを何回繰り返し学習したか(何回勾配を降下したか) |
バッチサイズ | 一回のイテレーションに用いるサンプル数 |