こんにちは、NTTドコモの千歩です!
CCoE(Cloud Center of Excellence)に所属し、普段はAWSのセキュリティ統制や内製化推進を行っています。
この記事は「2025 Japan AWS Jr. Chanpions 夏のQiitaリレー」の27日目の記事です!
過去の投稿(リンク集)は以下からご覧ください。
0. はじめに
本記事では、直近で開催されたAWS re:Invent 2024とAWS re:Inforce 2025の現地比較やTipsをまとめています。触ってみた系ではないので、日記を読むような気持ちで読んでいただけると嬉しいです!
本記事のゴール
- 2つのグローバルカンファレンスの雰囲気や規模感の違いを理解
- どちらのイベントが「今の自分」に合っているかの判断材料を得る
- 事前準備と当日の行動に役立たせられる
目次
- 1.一目でわかる!re:Invent とre:Inforce 比較表
- 2.会場と移動:体力勝負のre:Invent、凝縮型のre:Inforce
- 3.現地コンテンツの楽しみ方、徹底比較!
- 4.これから参加する方へ贈る「リアル準備リスト」
- 5.まとめ
1. 一目でわかる!re:Invent とre:Inforce 比較表
まずは2つのイベントの全体像を掴むために、主要な項目を比較表にまとめてみました!これを見るだけでも、それぞれの特徴が、全く違うことが分かるかと思います。特にre:InventはAWSサービス全てを幅広くカバーし、re:Inforceはセキュリティ関連にフォーカスされています
項目 | re:Invent | re:Inforce |
---|---|---|
テーマ | AWSのすべて(最新サービス、技術、ビジネス活用) | クラウドセキュリティ、コンプライアンス、アイデンティティ |
規模(参加者数) | 巨大(約6万人以上) | 大規模(約5000人) |
雰囲気 | AWS最大のカンファレンス、熱気と興奮 | 専門性と熱量が凝縮されたカンファレンス |
開催地 | ラスベガス | アメリカ国内の主要都市(持ち回り) |
期間 | 約1週間 | 約3日間 |
おすすめな人 | AWSの全体像を掴みたい、様々な技術に触れたい人 | セキュリティの専門性を深めたい、セキュリティに課題を持つ仲間と繋がりたい人 |
2. 会場と移動:体力勝負のre:Invent、凝縮型のre:Inforce
re:Inventのリアル:「街全体がAWS」
re:Inventの会場はラスベガスの複数の巨大ホテルにまたがっており、まさに「街がまるごとAWS一色」になります!メイン会場のVenetianからMandalay Bayまで、シャトルバスで30分以上かかることも珍しくありません。
私のスマートフォンのヘルスケアアプリは、期間中毎日2万歩以上を記録し、驚いています。セッションからセッションへの移動だけでも一苦労で、「午前はVenetian、午後はWynn」のように同じエリアでスケジュールを固めるのが攻略の鍵です。移動時間を考慮してスケジューリングをしないと、目当てのセッションに間に合わない…なんてこともあります。体力と工夫が必要です!
re:Inforceのリアル:「1箇所集中型で快適」
一方、re:Inforceは1つの建物でほぼ全てのプログラムが完結します!2025年度はフィラデルフィアのPennsylvania Convention Centerという会場でした。
そのため、セッション間の移動で疲弊することがなく、空いた時間にふらっとEXPOを覗いたり、コーヒーを片手に知り合った人と立ち話をしたりと、非常に心に余裕を持って過ごせました!体力的な消耗が少ない分、セッションやネットワーキングに100%集中できるのが大きな魅力です。
3. 現地コンテンツの楽しみ方、徹底比較!
Keynote編
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re:Invent:未来を語る、壮大な技術発表の場
- CEOやCTOによるKeynoteは、新サービスの発表ラッシュで構成される、一大技術イベントです。Keynoteは5つあり、規模の大きさが伺えます
- 巨大なスクリーンと演出で、AWSが描くテクノロジーの未来に誰もが引き込まれます。発表内容は多岐にわたるため、自分の専門外の領域の最新トレンドも掴めるのが魅力です
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re:Inforce:セキュリティの"今"を語る、専門家の視座
- AWSのCISOがホストを務めるKeynoteは、セキュリティに関する新サービス発表や新機能で構成されています
- 新サービス、新機能の発表もありますが、それ以上に「AWSがセキュリティをどう考えているか」という思想や、顧客との向き合い方に焦点が当てられます。ゲストスピーカーによる事例紹介もあり、現場感のあるリアルな話を聞けるのが特徴です
後日、オンラインでもKeynoteを視聴可能になりますが、現地参加した場合は、ぜひ現地でしか味わえないワクワクを味わってみるのもオススメです!
Keynote以外のセッション編
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re:Invent:AWSのすべてを網羅する「ビュッフェ」スタイル
- 2000以上のセッションがあり、内容はコンピューティング、データベース、AI/MLから量子コンピュータまで、まさにAWSのすべてを網羅しています
- セッション形式も、講義形式のBreakout Session、少人数で議論するChalk Talk、実際に手を動かすWorkshopなど様々。選択肢が多すぎて選ぶのが大変ですが、自分の興味に合わせて自由に学べる「ビュッフェ」のような楽しさがあります
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re:Inforce:セキュリティを深掘りする「コース料理」スタイル
- セッションは全てセキュリティ関連に絞られています。脅威検知、インシデント対応、ID管理、コンプライアンスなど、特定のテーマを深く掘り下げるセッションが中心です
- セッション数はre:Inventより少ないですが、その分一つひとつの内容が濃く、まるで専門店の「コース料理」のように、体系立てて知識を深めることができます
どちらのカンファレンスもセッションは、後日オンラインで視聴可能になりますので、現地でしか参加できないChalk TalkやWorkshop、Builder's Sessionがオススメです!特に、スピーカーと会話しやすく、手を動かせるという点でBuilder's Sessionがオススメです!
Expo&Swag編
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re:Invent:物量で圧倒するベンダーの祭典
- EXPOホールは巨大で、数百のベンダーが出展しています。様々なソリューションに触れられる一方、あまりの広さに全部見て回るのは不可能です
- 名物の特製パーカーをはじめ、各ベンダーがTシャツ、靴下などを大量に配布しており、気づけばスーツケースがパンパンに。人気グッズは早々になくなるので、戦略も重要です
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re:Inforce:専門ソリューションとギークなSwag
ネットワーキング編
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re:Invent:活気の中で生まれる、偶然の出会い
- re:Play: 最終夜に開催されるこの大規模な交流イベントはre:Inventの象徴です。有名アーティストによるライブパフォーマンスなどエンターテイメント性も高いですが、本質は世界中から集まった数万人のエンジニアがリラックスした雰囲気で交流を深める場です
- 人の数が多いため、一人ひとりと深く話すのは難しいかもしれませんが、その分、予期せぬ出会いのチャンスに溢れています
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re:Inforce:同じ志を持つ仲間と深く語らう場
- Welcome Reception / Happy Hour: re:Inventに比べると規模は小さいですが、参加者との距離が近く、非常に落ち着いた雰囲気です。AWSのセキュリティ専門家や他社のセキュリティ担当者と、具体的な課題についてじっくり語り合うことができました
- 「セキュリティ」という共通言語があるため、初対面でもすぐに打ち解けて深い議論ができます
4. これから参加する方へ贈る「リアル準備リスト」
渡航前にやること
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[最重要] セッション予約の戦略を立てる: re:Inventのセッション予約はまさに戦争です。特にハンズオンやワークショップは公開後、数分で埋まります。事前に「絶対見たい」「できれば見たい」の優先順位をつけ、予約開始時刻に備えましょう。一方で、re:Inforceはセッション予約がないので、15~30分前から待機列に並ぶことをオススメします
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公式モバイルアプリを使いこなす: スケジュール管理、会場マップ、シャトルバスの運行状況も確認できる必須アプリ。オフラインでも使えるように、事前に情報をダウンロードしておくと安心です
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服装計画: 会場内は冷房がかなり効いています。外が暑くても、簡単に羽織れるパーカーやフリースは生命線です。必ず1枚は持っていきましょう
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ネットワーキングの準備: 名刺も良いですが、海外ではLinkedInが主流。すぐに交換できるよう、自分のプロフィールのQRコードをスマホですぐに表示できるようにしておくと非常にスマートです
現地で役立つTIPS
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モバイルバッテリーは命綱: スマートフォンはアプリ利用や写真撮影で驚くほど電池を消耗します。20,000mAhクラスの大容量タイプを毎日フル充電して持ち歩くことを強く推奨します
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体調管理: 飛行機やホテルの乾燥対策に「のど飴」や「リップクリーム」、ホテルの自室移動に「スリッパ」、食べ過ぎに備えた「胃腸薬」は三種の神器です
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空のエコバッグ: Swagや資料で荷物は必ず増えます。大きめのエコバッグをスーツケースに忍ばせておくと、最終日に泣きを見ません
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勇気を出して話しかける!: ランチで相席になった人に「Where are you from?」と話しかけるだけで世界が広がります。みんな「AWSが好き」という共通点があるので、意外と会話は弾むものです!(東京の食べるといいものを聞かれたので、もんじゃ焼きをオススメしました笑)
5. まとめ
ここまでre:Inventとre:Inforceを様々な角度から比較してきました。
私なりの結論をまとめると、
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re:Inventは...
- AWSの最新情報をとにかく広くキャッチアップしたい
- 様々な領域のエンジニアと交流したい
- AWSという巨大なエコシステムの熱量を肌で感じたい
- → 「幅広い技術を、活気ある雰囲気の中で」AWSの"今"を体感したい人向け!
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re:Inforceは...
- 特定のセキュリティ課題を深く掘り下げたい
- 同じ悩みを持つセキュリティ担当者と繋がりたい
- 明日から使える実践的なノウハウを持ち帰りたい
- → 「狭く、深く、専門的に」セキュリティを追求したい人向け
どちらが良い・悪いということでは全くなく、ご自身の現在の役割や興味、キャリアの方向性に合わせて選ぶことが最も重要です。
この記事が、皆さんの次のグローバルカンファレンス挑戦への一歩となれば幸いです。
来年、(私も現地参加し、)会場で皆さんとお会いできるのを楽しみにしています!