本記事では、VMware Explore 2023 Las Vegasのタイミングで発表されたVMware vSAN 8 U2についてご紹介します。
※本記事の情報はvExpert向けのBlogger Early Accessプログラムで公開された内容をもとに紹介しています。可能な限り正確な情報を掲載するよう努めていますが、必ずしも正確性を保証するものではありません。また今後のリリースを予定していると発表されている製品・機能の紹介も含んでおり、今後内容が変更される可能性もありますのであらかじめご了承ください。
なお記事の内容は個人の見解が含まれております。
vSAN 8 U2発表
vSAN 8 U2が発表されました。
以下の3つの観点でアップデートが紹介されていますが、その中で注目したい機能を抜粋して紹介していきます。
・Flexible Topologies:柔軟なトポロジ
・Core Platform Advances:コアプラットフォームの進歩
・Enhanced Management:管理機能の強化
vSAN Max ストレージクラスター
Flexible Topologiesの観点では「vSAN Max ストレージクラスター」という新しいアーキテクチャが発表されました。
今ままでにないレベルでの拡張性とコストの効率化を謳っています。
vSAN Max ストレージクラスターは、vSAN ESAを使用して構築するスケールアウト専用のクラスターです。
vSphereクラスターにおいて、vSAN Maxを主要ストレージや追加ストレージとして使用します。この際、vSAN ESAのネイティブ技術を活用し、ESAのスナップショット、ESAの通信スタック、およびカスタマイズ可能なストレージポリシーにより、パフォーマンスと効率を向上させます。このストレージは一つのサイトだけでなく、複数のサイトにまたがって、柔軟かつスケーラブルに提供されます。
以下はvSANクラスターと従来のHCI Meshとの比較の図です。vSAN Maxは、Disaggregated Storageです。
コンピュートリソースとストレージリソースを完全に分離しています。
従来のHCI Meshではストレージリソースを他のクラスターに提供できましたが、コンピュートとストレージの両方を使用するクラスターであることが前提でした。(コンピュートリソース専用のクラスターは作成できました)
そのため、Disaggregated Storageでは、更なる柔軟性の向上や、コスト効率が期待できると考えられます。
ストレージリソースを提供してもらう側のクライアントクラスターでは、従来のvSphereクラスターだけでなく、vSAN ESAクラスターもクライアントクラスターとして採用できます。さらに、vSAN Maxクラスターと同じ、あるいは異なるvCenter Serverでの管理も可能です。これにより、より柔軟な環境構築が実現できます。
提供する側のサーバークラスター(vSAN Max)では、シングルサイトクラスターとしても、ストレッチクラスターとしても設定できます。そして、クライアントクラスターとの間のストレージ通信は、ネイティブのvSAN通信スタックを利用して行われ、高い通信品質が期待できます。
vSAN U2のvSAN環境を構築する際のオプションにvSAN Maxの選択肢が追加されています。
vSAN Maxクラスターの集中監視機能
監視機能も強化され、vSAN Maxクラスタと接続されたクラスタを統合的に監視できます。
vSAN Maxクラスターの監視を一元化するための新しいツールが登場しました。このツールの特徴は、一目で概要が把握できるダッシュボードにあります。
ダッシュボードの主な内容は以下です。
・クラスターの健全性スコアやその履歴
・クラスターの容量
・クラスターのパフォーマンス
・接続されているクライアントクラスターの情報
さらに、接続されているクライアントクラスターのトポロジー ビューで表示できます。このビューから、次の情報にアクセスすることができます:
・接続されているクライアントクラスターの詳細
・管理中のvCenter Serverの情報
この集中監視ツールを活用すれば、vSAN Maxクラスターの管理がよりシンプルで効率的になると考えています。
vSAN Maxのエディション
既存のvSANエディションには「vSAN Max」は含まれていません。
新しいライセンスモデルとして「per-TiBライセンスモデル」が導入されるとのことです。
一方、既存のvSANエディションは従来通り「per-coreライセンスモデル」を継続して使用します。
購入時には、最低限必要なper-TiBが要求されます。
さらにvSAN Maxを導入するには「ESAベースのvSAN Max認定ReadyNodes」が必要となります。
最小要件として、6ノード、1ノードあたり150 TiBが必要とのことです。
vSAN ESAのファイルサービスをサポート
Core Platform Advancesの観点では、vSAN ESAのファイルサービスがサポートされたことについて紹介します。
vSANファイルサービスでESAのパフォーマンスを活用できます。
主なメリットとして以下の点が挙げられます:
・スペース効率の向上:より少ないストレージ領域でのデータ保存が可能になります。
・高いパフォーマンス:データアクセスや操作が以前よりもスムーズになります。
・小さな障害領域:障害が発生した場合の影響を最小限に抑えることができます。
また、従来のクライアントはもちろん、クラウドネイティブのクライアントにも対応しており、NFSやSMBのプロトコルにも対応しています。
さらに、vSAN OSA(オリジナルストレージアーキテクチャ)でのvSANファイルサービスとの機能の整合性も確保されています。これにより、安心してvSANのファイルサービスを利用することができと思います。
管理機能の強化
vSAN 8 U1で導入されたAuto-Policy管理機能が、さらに強化されました。新しいアップデートでは、クラスターのDSポリシーを修正する際、1クリックで行えるようになりました。
さらに、クラスタ内のホスト数が変わった場合でも、指示されたクラスター固有のストレージポリシーが更新されます。これにより、クラスタへの継続的な変更の取り扱いがシンプルになり、手動での操作を削減できるとのことです。
このアップデートにより、管理が一層スムーズになることが期待できると考えられます。
また、クラスターキャパシティレポートの正確性が向上しました。
具体的には、vSAN ESAのオーバーヘッドのレポート機能が強化されました。
UIでの容量のオーバーヘッドの表示がより明確になりました。これにより、管理者はUI上で、より直感的に各データの容量を把握することができるようになります。
さらに、クラスター容量使用の詳細ビューに、「ESAオブジェクトオーバーヘッド」という項目が追加されました。この項目は、vSANのログ構造型ファイルシステム(LFS)におけるすべてのオブジェクトやレプリカデータのために消費される容量を示しているとのことです。
vSAN ESAの管理者は、より詳細なキャパシティの情報が把握できると思います。
以上、vSAN 8 U2のアップデート情報の一部を紹介しました。
新しい情報が出ましたらまた紹介できればと思います。