こんにちは。2024年11月6日から8日まで、PLATEAUアカデミー東京に参加させていただきました。
https://aigid.jp/?page_id=2630
参加した感想も含め、初心者的視点からPLATEAUアカデミーについて書いてみます。
まずは自己紹介。白川リュウジと申します。基本的にはグラフィックデザイン、ゲームデザイン、3Dモデル制作、撮影、動画制作、WEBデザイン、SNS運用etcなど、コンテンツデザイン系を中心に活動してます。会社代表ではありますが、ほとんど一人親方状態です。弊社ではストリートビュー撮影など、ジオメトリコンテンツ制作に早くから取り組んでいたこともあり、PLATEAUプロジェクトには開始当初から注目していました。
https://datadisk.jp/
今まではPLATEAUハッカソンに参加したり、PLATEAU講習会に参加しましたが、CityGMLデータをどう活用するか?といった話題が中心で、そもそもCityGMLの作成方法についての講習会はなかったように思います。(以前にもやっていたらごめんなさい。)
今回、「PLATEAUアカデミー」がアナウンスされて、「やっときた!」というのが私の最初の感想。他の方々も待っていたのか、PLATEAUアカデミー東京の参加枠は募集開始から5分で満席となるなど、とても人気の高い講習会となりました。これだけ人気の高い講習会ですから、今後も是非続けていただきたいです。
さて、無事アカデミー参加が獲得できたので、準備。
PLATEAUアカデミー東京開催当日までに用意しなくてはならない事、モノ。
1.PLATEAUアカデミーオンライン講座2本予習:youtube動画2本見てこい。
https://aigid.jp/?page_id=2630
確かにこの動画見ないと、講習当日何やってるかさっぱりわからない。そもそものCityGMLの構造や作成目的がこの動画2本に集約されています。
2.Widowsパソコンの用意:参加者は各自Windowsノートパソコンを用意せよ。
ここが私には敷居が高かった。普段Windowsはデスクトップで使用していて、ノートパソコンはMac(M1)を使用している。一応デザイナーなので、Mac使うこと多いんですよね。。。ここは無理やりMacを持っていきました。
3.必要ソフトウェアのインストール:ソフト3つ使うから入れてこい。
・FME:https://fme.safe.com/
ありとあらゆるデータを変換するためのソフトウェア。有料です。ただ、アカデミー参加者のために11月末まで使用できるアカウントを発行していただきました。心配されたMac版はありました。しかもMacSlicon版あります。
・QGIS:https://www.qgis.org/
今回のPLATEAUアカデミーで講習の中心となるソフトウェア。初めて触りました。無料です。ただ、Windows版とMac版では使えるコマンドに違いがあり、Windows版でしか使えないコマンドが講習中のテキスト内に登場。仕方なく自宅に帰ってから再現してみました。
・Blender:https://www.blender.org/
これは私にとって十八番。全くストレスなし。アカデミーからも事前アナウンスありましたが、3ボタンマウス(スクロールダイヤルつき)がないとほとんど使えません。CityGMLデータを作る上では、そこまで高度な習熟度は必要とされません。でもある程度モデリングの感覚は必要。平面から立体に立ち上げたり、ポイントを移動させる、テクスチャの貼り方、ブーリアンの使い方etc。とにかく3方向(x,y,z)からモデリングしていく感覚は訓練するしかないです。
PLATEAUアカデミー東京:1日目
初日スタート。いきなり渡されたテキストの分厚さにビックリ!これ3日間でやるの?できるの?
まずはFMEのソフトウェア開発会社の方の講習から始まりました。正直よくわからなかったけど、とにかくQGISやBlenderで作成されたデータをCityGMLに変換するにはFMEが必要とのこと。
このFME有料なのですが、最低でも130万円からだそうです。購入後、毎年25%のサポート料金が必要。つまり毎年35万円くらい。サポート必要ないならサポート料金払わなくてもいいのですが、講習を聞く限りあまりにも機能が複雑で「サポートしてもらわないととても使えそうにない」というのが私の正直な感想です。講習会でもそれほど細かい機能説明はなく「とにかく私どもにお問い合わせください。サポートいたします。」といった内容でした。そもそもCityGMLデータを作成するのは各地の自治体が発注元なので、FMEを購入するには自治体様に頼るしかない感じです。
FME担当者の方からの講習が終わり、いよいよデータ作成講習が始まりました。まずはQGIS。3日間ほぼQGISの講習だったと言ってもいいです。
細かい説明はここではしませんが、ざっくり言えば各自治体様の土木課が作成している都市計画(地域計画)データを原典(元データ)として、平面から3Dポリゴンを付け加え、地物(建物など)の属性データ(設立年、構造etc)を付け加えて誰でも使えるデータを作成する。3Dポリゴン作成ではBlenderを使い、属性データを添付するにはQGISを使用していきます。
私の印象としては、QGISはExcelのMAP対応版といった感じです。地物1つ1つの属性を添付していくので、データベース的作業になります。自治体が把握している建物(公共、私物)すべてに設立年や木造なのか、鉄筋なのかというデータを添付していくのですが、そもそもきれいなデータを自治体が持っているのかかなり疑問。QGISの作業に入る前にデータクリーニングの作業が必要だろうなあと感じました。
PLATEAUアカデミー東京:2日目
やっと3Dポリゴンについての作業手順が始まりました。そしていきなり衝撃的だったのは、道路データ製作。各自治体には道路データはありますが、すべて線データだそうです。その線データから道路データを製作するためには手作業によるポリゴン化が必要だそうです。もっとも複雑なのが、交差点のデータ製作で、4差路、5差路、またそれ以上によって目視によるポリゴン作成の判断が必要で、ここは臨機応変に対応していくしかなく、すべて手作業。各自治体が管理している道路のすべてをポリゴン化するのは、ほぼ全て手作業と考えていいと思います。
また、2日目でWindows版QGISとMac版QGISでは機能の違いがあり、講習現場ではできないコマンドがありました。
具体的には
プロセッシングツールボックス>点群バージョン>ベクタに出力
はMac版QGIS(ver.3.34LTS)には無かったです。Windows版にしかないと思われます。
何のコマンドかといいますと、航空測量によって作成した地物などの点群データをBlenderなどの3Dモデリングソフトウェアが読めるように変換するコマンドかと思いました。
PLATEAUアカデミー東京:3日目
3日目は2日目の続きの建物の3Dモデリングのテクスチャ添付方法や、QGISの属性付与作業、品質検査作業といったところ。とにかく進行が速いので、コマンドを処理していくことに必死な3日間でした。
まとめ
3日間、CityGMLまでのデータ製作を体験してみて感じたことは「とにかく大量のデータ製作しなくてはならない」ということ。建物3Dデータの自動化ツールなどはあるようなのですが、最終的には人の目で確認しなくてはならないと思われるし、地物それぞれの3Dデータを作成し、そこに付属データを添付していかなくてはならない。
割と気の遠くなる作業が必要だし、一度作れば終わりではなく、地物や道路は工事によって常に変化しているから、数年毎にアップデートは当然必要でしょう。
なかなか手強くもあり、興味深いデータ制作だと思いました。