はじめに
2016年の4月に全然畑違いの、マーケティングリサーチ会社に転職して、しかもデジタル領域のデータ分析などを担当することになったので、ネット広告、アドテクをゼロから勉強しています。1そんな中で、割とよくできている(と思う)入門書として、「<改定2版>ネット広告ハンドブック」を取り上げ、サマライズや、不明な用語の確認などを行っていきます。
全般についてのコメント
そんなにたくさんこのギョーカイの本を読んだわけではないですが、いくつかの類似書と比べて、1つのトピックが見開き2ページ、右に文章、左に図版という形式で解説されており、読みやすいと思います。
ただ、Amazonのレビューでは、以下のように指摘されています。
専門用語の説明に専門用語を使いまくり。初学者にオススメできない。
これは、筆者も同意するところですが、おそらくこの本に限った話ではなく、このギョーカイ全体の特性なのだと思います。「検索結果ページ」をわざわざSERP(Search Engine Result Page)としたり、「アドネットワーク」をADNWとしたり、リスティング広告における「タイトルと説明文」をTD(Title and Description)としたり、一方で「トレーディングデスク」もTDだったり2...何のために略すのかわからない略語が多数出てきます。が、実際仕事をしている中でも、こんな感じで略語が多用されているので、こういうギョーカイなんだ、と思って読み進めるしかないでしょう。(このへん、「ギロッポン」「ザギン」「シースー」な世界からの分岐なんでしょうか)
以下、各章に沿って記述します。なお、本稿は読書メモなので、素人の筆者にもわかる記述部分は省略されており、以下が書籍の全体像ではありません。
第1章 ネット広告を取り巻く環境
- ネット広告とは「インターネット上のスペースに掲載される広告」
- 日本の総広告費は約6兆円、うちネット広告費は約1兆円(出典:電通「日本の広告費」
- ネット広告費の比率は2013年15.7%、2014年17.1%、2015年18.8%と増加傾向
- ネット広告費の内訳は以下の通り(出典:電通「日本の広告費」)
- 運用型広告:6226億円
- 枠売り広告等:2968億円
- 広告制作費:2400億円
- 日本のインターネット利用者は1億48万人で、普及率83.0%(※最新データに読み替え)(出典:総務省「通信利用動向調査」
- アメリカのネット広告費は2015年で596億ドル(前年比120.4%)で日本の約5倍(出典:IAB/PwC Internet Ad Revenue Report)
- 用語:Classifieds→「目的や地域によって分類された募集広告や告知を、一覧形式で掲載する広告媒体」(出典:Wikipedia「クラシファイド」)
- 用語:Lead Generation→見込み客の獲得を目的とした広告だが、IABの定義的には「成果報酬型(CPA / CPCなど)」の広告手法らしい(参考:CNET Japan「米国で急成長する『Lead Generation 広告』とは」
- ヨーロッパ圏のネット広告費は2015年で364億ユーロ(前年比113.0%)(※最新データに読み替え)(出典:IAB Europe「ADEX BENCHMARK 2015」)
- 用語:OOH(Out of Home)→いわゆる屋外広告全般のこと(参考:SMM Lab「OOHとは?~今知っておきたい!要注目のマーケティング・キーワード~」)
- 中国のネット広告費は2094億元(前年比136.0%)(※最新データに読み替え)(出典:iResearch「2016 China's Online Advertising Report」)
- 用語:BAT→中国の3大広告メディアで、Baidu、Alibaba(ショッピングサイトTaobao)、Tencent(メッセージングサービスWeChat)のこと
- インターネットメディアの種類
- ペイドメディア:企業が広告費を支払って広告の掲載を行うメディア
- オウンドメディア:企業が直接所有しているブランドサイトやキャンペーンサイト等のメディア
- アーンドメディア:企業がユーザのクチコミ等を通じて信用や評判を得るメディア
- バーチカルメディア:専門分野に特化(=縦に深く)したサイト。読者のセグメントが特徴的なので、ターゲットを絞った広告配信がしやすい
- 動画メディアの種類
プロバイダー | アーカイブ | ライブ |
---|---|---|
企業・テレビ局 | VOD | LINE LIVE |
GYAO! | Abema TV | |
Hulu | YouTube Live | |
Netflix | ニコニコ生放送(公式) | |
TVer | SHOWROOM | |
テレビ局の動画サービス | ||
一般ユーザ | YouTube | YouTube Live |
ニコニコ動画 | ニコニコ生放送(一般) | |
Twitch | ||
ツイキャス | ||
Periscope | ||
Abema TV FRESH! |
- 用語:ジオグラフィックターゲティング→GPS情報やIPアドレスから位置情報を判別し、特定エリアに滞在するユーザに適した広告を配信すること
- 用語:体験型クリエイティブ→ユーザの操作に応じて広告が出現、拡大するクリエイティブ(エキスパンド広告など)
- 用語:離脱率→「そのページがセッションの最後のページになった割合」(出典:Google「アナリティクス ヘルプ 離脱率と直帰率の違い」)
第2章 ネット広告に関わる企業
- ネット広告の代表的なプレイヤーは以下の通り
- 広告主
- 広告会社
- トレーディングデスク
- メディアレップ
- 媒体社(メディア)
- アドテクノロジー
- 広告配信会社
- 広告取引プラットフォーム提供会社
- DMP提供会社
- 調査・計測会社
- 制作会社
- 用語:SMB(Small and Medium Business)→中小規模の広告主
- 用語:メディアレップ(Media representive)→広告会社と媒体社の間を仲介し、広告メニューの開発や販売代行、広告メニューの購入などを行う代理店(参考:マスターオブオレンジ Media Tips「メディアレップの存在意義とは?」)
- 広告会社の役割:広告主のマーケティング戦略を策定、実行する
- メディアレップの役割:広告会社と媒体社の間をとりもち、それぞれに付加価値を提供する
- 媒体社の役割:媒体価値を高めるユーザメリットと広告価値を高める広告主メリットを追求する
- 広告配信会社の役割:アドサーバの運用、広告配信ソフトウェアのライセンス販売など
- DAC
- Sizmek
- 広告取引プラットフォーム提供会社の役割:広告取引や配信の自動化、媒体社の広告枠を最も高い単価で販売するプラットフォームの開発、提供など
- プラットフォーム・ワン(DAC子会社)
- マイクロアド(サイバーエージェント子会社)
- フリークアウト
- 調査・計測会社の役割:広告効果の測定サービスなどを提供する
- インターネット視聴率提供会社:ビデオリサーチインタラクティブ、ニールセン、コムスコアなど
- ネット広告出稿量提供会社:ビデオリサーチインタラクティブ、DACなど
- インターネット調査会社:インテージ、マクロミルなど
- トラッキングツール提供会社:Criteo、Google Analytics、Facebook、Advertising.comなど(参考:長谷川恭久「国内サイトのトラッキングはどうなっているか調べてみました」)
- ソーシャル分析ツール提供会社:Social Insight(ユーザーローカル)、クチコミ@係長(ホットリンク)など
第3章 ネット広告の基本知識
- (ネット)広告の実施目的は大きく2つ
- ブランディング型:商品やサービスの認知獲得、知名度向上、理解促進、購買意欲の上昇などが目的
- ダイレクトレスポンス型:資料請求や申し込み、購入、アプリのインストールなどコンバージョンが目的
- 広告主から見たネット広告のフロー
- インターネットでの活動目的の明確化
- 広告の実施目的、目標の明確化
- 広告会社との取引
- PDCAサイクルの確立、実践
- ノウハウを蓄積し、広告効果を実現する
- 媒体社から見たネット広告のフロー
- サイトへの集客
- ユーザ属性の把握
- 広告メニュー、入稿規定、掲載基準等の策定
- 広告プラットフォームの導入
- メディアレップとの取引
- ネット広告の業務フロー
- オリエンテーション(広告主→広告会社)
- マーケティング戦略策定(広告会社)
- メディアプランニング(広告会社・メディアレップ)
- 広告枠バイイング(メディアレップ)
- クリエイティブ制作(広告会社)
- クリエイティブ入稿(メディアレップ)
- 効果測定と次回プランニング(広告会社・広告主)
- 用語:メディアプランニング→予算の範囲内でターゲットに広告メッセージを効率的、効果的に到達させるために、利用する媒体と利用法の最適化を図ること(出典:Weblio辞書 - メディア・プランニング(媒体計画) media planning)
- 用語:メディアプランニングシステム:オプティマイザーとも。各種データをもとに、最適な予算配分などを決定するための手法・ツール(参考:電通「メディア・プランニング」)
- 用語:リーチ→広告の到達率。インターネット広告の場合、ある広告が全インターネットユーザーのうち何割に配信されたかの割合(出典:「インターネット広告用語辞典 - リーチ」)
- 用語:ターゲットリーチ→商品・サービスがターゲットとする属性のユーザに広告を配信すること、あるいはその程度。ターゲットリーチ率の高い広告枠は高単価になる
- 静止画広告の広告サイズ(フォーマット):一般に、以下のサイズに規定されることが多い
- バナー:468x60ピクセルまたは728x90ピクセル(スーパーバナー)
- スカイスクレイパー:120x600ピクセルまたは160x600ピクセル
- レクタングル:300x250ピクセルまたは250x250ピクセル
- スマートフォン向けには、300x250ピクセル、320x50ピクセル、300x50ピクセルなどがある
- ネット広告のファイル形式:一般に、以下の技術が使われることが多い
- MPEG 4(.mp4)
- HTML 5(.html、.css、.js、画像など)
- Flash(.swf、.fla)
- JPEG、PNG、GIF
- 用語:ティザー(Teaser)広告→ある要素を顧客に明らかにしないことによって注意をひこうとする商業広告の一手法(出典:Wikipedia「ティーザー広告」)
- 用語:インプレッション数→広告が表示3された回数(出典:Yahoo! Japanプロモーション広告「[初心者のための学習ナビ]「インプレッション数」「クリック数」「コンバージョン数」って何?」)
- 用語:クリック数→広告がクリックされた回数(出典:Yahoo! Japanプロモーション広告「[初心者のための学習ナビ]「インプレッション数」「クリック数」「コンバージョン数」って何?」)。インプレッションに対するクリック数の割合をクリック率(CTR; Click Through Rate)と呼ぶ
- 用語:コンバージョン数→広告をクリックしてサイトに来訪したユーザが、何らかの成果と設定した行動を取った回数(出典:Yahoo! Japanプロモーション広告「[初心者のための学習ナビ]「インプレッション数」「クリック数」「コンバージョン数」って何?」)。クリック数に対するコンバージョン数の割合をコンバージョン率(CVR; Conversion Rate)と呼ぶ
- 用語:CPM(Cost Per Mile)→1000インプレッションあたりの料金。マイルではなくミル
- 用語:インプレッション単価→1インプレッションあたりの料金。CPC(Cost Per Click)とも呼ばれ、出稿金額 / クリック数で定義される
- 用語:フリークエンシー→1人あたりのインプレッション数。何回同じ広告を表示したかを示す指標
- 用語:フリークエンシーキャップ→1人あたりの広告インプレッション数に上限を設ける仕組み、設定
- 用語:CPA(Cost Per Action / Acquisition)→顧客獲得単価、出稿金額 / コンバージョン数で定義される。アプリインストールがコンバージョンである場合、CPI(Cost Per Install)とも呼ばれる
- インターネット視聴率の算出は、以下のような手順で行われる
- モニタパネルの構築:無作為抽出(RDD)によるリクルート、分布の補正、計測用ソフトのインストール
- アクセスデータの収集:計測用ソフトがモニタのWebアクセス(時刻、URL、リファラ、UserAgentなど)を計測、収集サーバへ送信
- データ集計、視聴率算出、クライアントへの提供
- インターネット視聴率として算出される主な指標は以下の通り
- 推定接触者数:あるサイトにアクセスしたユーザ(接触者)数をモニタ総数で割り、属性ごとの推計人口(構成比)を乗じて求める、ユニークユーザ数の推計値
- 接触者率(リーチ率):接触者数を該当期間のアクティブユーザ数で割った値
- 平均接触回数:平均フリークエンシー
- 平均視聴ページ数:特定のサイトの総閲覧ページ数を接触者数で割った値
- 推定視聴ページ数:平均視聴ページ数に推定接触者数を乗じた値。推計ページビュー(PV)
- 平均滞在時間:あるサイトが閲覧された総時間を接触者数で割った値
- サイトへの流入経路、サイトからの流出先
- 競合サイトなどとのユーザ重複
- ネット広告の出稿状況調査サービスは以下のような仕組みで行われる(参考:DAC「NETStats! & MOBILEStats!」)
- 調査対象サイト、アプリの広告掲載場所、インプレッション数、掲載単価をあらかじめデータベース化する
- クローラーを使い、定期的にアクセスして広告の種類や出現頻度を計測する
- 計測結果を広告主別、媒体別、クリエイティブ種別で集計し、出稿状況を推計する
- 媒体社の公表データには、以下のようなものがある
- PV(Page View):「アドサーバによる広告表示回数であるインプレッション数とは明確に区別して把握すべきである」(P. 90)→広告は表示されない場合もあれば、1ページに複数表示されることもあるから?
- UU(Unique User):アクセスの重複を除いた訪問者数
- UB(Unique Browser):ブラウザ単位のカウント
- MAU(Monthly Active User):月間アクティブユーザ数
- 参考:Yahoo! Japanの媒体資料
- コンバージョンを計測したい場合は、事前の準備が必要
- Webサイトの場合、計測タグをサイトに設定しておく
- アプリの場合、広告プラットフォームが認定する計測SDKを組み込んでおく
第4章 ネット広告における代表的な広告商品
- Yahoo! Japanの広告メニュー
-
ヤフー・プレミアム広告(PDF)
-
ヤフー・プロモーション広告
- スポンサードサーチ
- Yahoo! ディスプレイアドネットワーク(YDN)
- Twitter広告
-
ヤフー・プレミアム広告(PDF)
- Googleの広告メニュー
-
AdWords
- 検索連動型広告、GDN(Googleディスプレイネットワーク)など
- 枠売り広告:YouTubeビデオマストヘッドなど
-
AdWords
- Facebookの広告メニュー
- 広告掲載面
- モバイルニュースフィード(Instagramも可能)
- デスクトップニュースフィード
- 広告枠
- 広告フォーマット
- リンク広告
- リンク広告(カルーセル形式):1つの広告枠で複数の画像をスライド表示可能
- 動画広告
- リード獲得広告
- ページ「いいね!」広告
- モバイルアプリ広告
- 買い方
- 運用型広告(SS; セルフサーブ)
- リザベーション(枠売り)型広告
- カスタムオーディエンス
- 広告掲載面
- LINEの広告メニュー
- LINE公式アカウント
- プロモーションスタンプ
- スポンサードスタンプ
- ダイレクトスタンプ(PDF)
- マストビュースタンプ:最大30秒の動画視聴後に無料でダウンロード
- LINEポイント広告主の設定するコンバージョンに応じてポイント付与
- その他
- LINEスポンサード着せかえ
- LINEビジネスコネクト:APIサービス
- LINE Ad Platform
第5章 ネット広告商品や手法の基本知識
- ネット広告の基本的な商品体系
- ディスプレイ広告:テキスト広告、バナー広告、リッチメディア広告
- ビデオ広告:動画の前後に挿入されるインストリーム広告、既存の広告枠に表示されるアウトストリーム広告
- プレロール:本編動画再生前
- ミッドロール:本編の間に挿入される
- ポストロール:本編の再生後
- インタラクティブ・インストリーム:動画にリンクやボタンなどをオーバレイ可能
- コンパニオン広告:インストリームと連動して表示されるディスプレイ広告
- インバナー広告:一般の広告枠で表示
- インリード・インスクロール広告:記事コンテンツ(文章)内で表示される
- インフィード広告:FacebookやTwitterのフィード内で表示される
- ネイティブ広告:メディアのデザインと合致した形態の広告。インフィード広告、タイアップ広告、レコメンドウィジェット
- JIAAの定義(PDF)では「デザイン、内容、フォーマットが、媒体社が編集する記事・コンテンツの形式や提供するサービスの機能と同等でそれらと一体化しており、ユーザーの情報利用体験を妨げない広告」
- IABでは「The Native Advertising Playbook」で定義されている
- メール広告:メールマガジン、ターゲティングメール
- ディスプレイ広告の保証形態
- 期間保証型
- インプレッション保証型
- クリック保証型:クリック数で課金
- リスティング広告:ユーザの行動や興味関心に合わせた広告を配信
- P4P(Pay for Performance)広告、PPC(Pay Per Click)広告とも
- 検索連動型:キーワードに関連する広告を表示
- ネットワーク型:トラッキングデータをもとに興味関心に合わせた広告を表示
- リッチメディア広告のフォーマット
- アフィリエイト広告:成果報酬型
- ASP:Affiliate Service Provider……ややこしい(Application...なども一般的)
- ターゲティング:マーケティングの対象者を絞り込むこと
- リターゲティング:リマーケティングとも。トラッキングCookieを使い、広告主サイトの訪問者に広告を繰り返し提示する。以前表示した広告と異なる広告を表示する手法を「クリエイティブリターゲティング」と呼ぶ
- コンテキシャルターゲティング:閲覧中のページの文脈(Context)に合致する広告を表示する
- タイムベースト:時間帯、曜日により適した広告を表示する
- 用語:LPO(Landing Page Optimization)→広告を通じて最初にアクセスするページ(ランディングページ)を改善すること
- 用語:クロスセル→目的の商品と合わせて別の商品を同時に購入させようとすること
- 用語:LTV(Life Time Value)→取引期間中の購入金額
- オーディエンス:大ざっぱには、企業が活用しようと思う「人」のデータ
- レピュテーションマネジメント:評判の管理→炎上対策
- SERP:Search Engine Result Page→こんなのを略してどうしたいのか
- メディアミックス:「メディアの足し算」→複数メディアを組み合わせてリーチの最大化を図る
- クロスメディア:「メディアの掛け算」→複数メディアを使い分け、購買への導線を作る
第6章 アドテクノロジーの基本知識
- アドテクノロジーは、マーケティング調査・分析、プランニング、クリエイティブ制作、広告取引、配信、レポーティング等、ネット広告業務のすべてのプロセスに関与する技術
- 用語:DSP(Demand Side Platform)→広告主側の利益4を最大化するための仕組み。媒体側でインプレッションが発生した際に、そのオーディエンス情報をもとに最適な広告を入札方式で配信する。入札では、複数の候補の中でもっとも入札単価の高い(多くの場合、2番目の入札額+1円)広告が選ばれる
- 用語:SSP(Supply Side Platform)→媒体社側の利益を最大化するための仕組み。媒体側でインプレッションが発生すると、SSPは連携するDSP、アドエクスチェンジに広告枠の情報(サイズ、サイトなど)と希望単価、希望業種などを伝達する。DSP側で入札が行われ、最も単価の高い広告を受け取ることができる
- 用語:アドエクスチェンジ→DSP、SSPを相互接続するためのプラットフォーム。アドエクスチェンジ上でSSPからDSPに要求が伝わり、入札結果が配信される
- 用語:RTB(Real-Time Bidding)→DSPとSSPがリアルタイム、超高速に取引し、表示する広告を決定していること。またその仕組み
- 多数の広告メニューから最適な媒体や広告掲載位置、期間などを選択するのは難しい
- そこで、メディアプランニング・バイイングツールを使うことで、条件に合うメニューを選択できる
- ツールによっては、そのプランを実行した際のシミュレーションが可能なものもある
- 用語:CDN(Contents Delivery Network)→コンテンツを効率的に配信するために世界中に分散配置されたサーバ群のこと。ユーザのIPアドレスなどから、最もネットワーク的に近いサーバを選択し、コンテンツを配信する
- 現在では、広告配信は媒体ごとのアドサーバではなく、3PAS(3rd Person Ad Server)を使うことがほとんど。3PASを使うことで、複数媒体に同時に出稿したり、媒体をまたぐ広告接触をトラッキング可能など、メリットが多い
- 用語:イールドオプティマイズ(Yield Optimize):媒体側の利益を最大化するための仕組み。インプレッション発生時に、SSPで配信可能なすべての広告とその単価を計算(予測)し、最も高単価の広告を配信する
- プライベート / パブリックDMP(Data Management Platform)を活用することで、DSPや3PASにおける配信状況やオーディエンスを統合管理できる
- 広告以外のさまざまな業務データと組み合わせることで、新しい分析の観点を提供する
- Botによる異常アクセスなど、不正を排除するためにアドベリフィケーションが使われる
- Ad Fraud防止
- Viewability計測
- ブランドセーフティ判定
- 入札で単価を決めるRTBと別に、あらかじめ単価を決めておいてプレミアムな広告面に高単価の広告を自動的に出稿する手法をプログラマティックバイイングという。プログラマティックバイイングには、信頼できる広告主と媒体を組織化し、安心、安全な広告出稿が可能なPMP(Private Market Place)などの形態も含まれる
- 従来、トラッキングにはCookieが使われてきたが、アプリからのWebアクセスではCookieが付与されない場合が多い。そこでスマートデバイスにおけるユーザ識別子として、iOSではIDFA(Advertising Identifier)、AndroidではAdIDが提供されている。これらはユーザが任意にリセット可能である
第7章 業務フローと実務ポイント
- ネット広告キャンペーンは、大まかに以下の流れで進む
- オリエンテーション
- キャンペーン目的の明確化
- オーディエンス分析
- 計画の承認、決裁
- 広告制作、入稿
- 配信設定
- キャンペーン開始
- モニタリング
- キャンペーン終了
- データ集計、分析
- レポーティング
- メディアプランニングはオーディエンスの属性や獲得できるリーチ、購買意欲の段階に応じたクリエイティブの使い分けなど、多面的に考えて企画する
- 用語:SOV(Share of Voice)→「ある製品カテゴリーにおける全広告量を分母とした当該製品ないし企業・ブランドの広告量の割合」(出典:Weblio辞書「広告用語辞典 - SOV(シェア・オブ・ボイス)」)
- 用語:拡張配信→属性の似たオーディエンスに広告を配信すること
用語:ディープリンク→「従来はWebサイトのトップページへのリンクを指す言葉だったが、昨今ではアプリ内の特定コンテンツに直接遷移するためのリンクを指す」(P. 215) - 用語:Ad Previewツール→さまざまなパラメータを指定すると、その状況でどのような広告が表示されるか確認できる
第8章 広告効果測定の実務ポイント
- ネット広告を掲載することによって得られる効果は主に以下の3つ
- インプレッション効果:認知度、理解度、好意度、購入意向の向上
- トラフィック効果:ユーザを商品、企業サイトへ誘導する
- レスポンス効果:資料請求や購入というアクションが得られる効果
- ビュースルー効果:広告をクリックしなくても、広告の影響を受けてしばらく経ってからサイトを訪問すること
- ビュースルーによる訪問者の比率をVTR(View Through Rate)という
- マイクロコンバージョン:最終的なコンバージョンに至るまでの重要なポイントのこと
- ビデオ広告については、IABが「Digital Video In-Stream AD Metrics Definitions」を制定している
- 再生完了数
- 25%再生、50%再生、75%再生数
- 視聴時間
- スキップ数
- 再生の一時停止・再開・リピート数
- 音声のミュート・アンミュート
- プレイヤーの拡大・縮小
- 近年注目されている指標としてエンゲージメントがある
- IABの「Defining and Measuring Digital Ad Engagement in a Cross-Platform World」によると、「ブランドにポジティブな影響をあたえる、消費者の広告にまつわる行動および体験によって生じた認識的・感情的・物理的なスペクトラム」とされている
- エンゲージメントの代表的な指標として以下の3つがある
- 認識指標:アンケートなどで計測可能な広告認知、購買意向の変化など
- 感情指標:アンケートやバイオメトリクス(生体計測)などで計測可能な好意度の変化など
- 物理指標:バイオメトリクスやCookieトラッキング、SNSにおける活動量(コメント、シェア、フォローなど)などで計測可能な指標
- 広告効果を適切に計測するには以下の2点を意識することが重要
- 計測、評価する指標の明確化
- 計測方法、ツールの適切な選定
- ユーザがコンバージョンに至るまでの行動経路をカスタマージャーニーという。また、カスタマージャーニーを分析し、どの広告がコンバージョンに寄与したのかを分析する手法をアトリビューション分析という
- SNSなどにおいて、特定のテレビ番組に興味関心を持つ層を対象に広告を配信する「テレビターゲティング」という手法がある
- 家庭などで視聴中のテレビ音声を取得し、自動的に番組を認識する「Automatic Content Recognition(ACR)」という技術がある
- 広告の費用対効果を評価する指標として、以下のようなものがある
- ROI(Return on Investment):投資に対する売上の比率
- ROAS(Return on Advertising Spend):投資に対する利益の比率
第9章 テクノロジーがもたらすマーケティングの進化
- 用語:動的リターゲティング→ユーザのサイト訪問、広告接触行動に応じて提示する広告を変える手法
- 用語:CCCM(Cross Channel Campaign Management)→複数のチャネルを横断してユーザー1人1人に最適化したコミュニケーションを実現するためのソリューション。Adobe Campaignなどがある
- インターネット経由で番組を配信するVODの事業形態としてOTT(Over the Top)がある
- VODの課金形態として、以下のようなものがある
- TVOD:Transactional VOD→都度課金型(PPV)
- AVOD:Advertising VOD→広告付無料VOD
- SVOD:Subscription VOD→定額制VOD
- Facebook社がVRデバイス「Oculus Rift」の開発企業を買収した
- MicrosoftはARデバイス「HoloLens」を開発、販売している
- VRとARを組み合わせた概念としてMR(Mixed Reality; 複合現実)がある
- JR東日本は「次世代車両制御システム(INTEROS)」において、制御系、状態監視系、情報系のWiMAXネットワークを車両内に構築し、リアルタイムに社内情報を収集し、指令室と通信している
- デジタルマーケティングにおける課題として、以下のような観点がある
- 外部環境の4C
- Customer:顧客(潜在、一般、優良)の可視化
- Channel:チャネルの最適な組み合わせ
- Creative / Contents:有効なクリエイティブ、コンテンツ
- Communication:顧客との関係構築のためのコミュニケーション、シナリオ
- 内部環境の3C
- Cloud:最適なツールの選択(クラウドファースト?)
- Collaboration:組織、外部パートナーの最適な連携
- Cost:コスト、予算の最適化
- 外部環境の4C