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TCP/IPの理解

Last updated at Posted at 2024-04-30

趣旨

TCP/IPを理解する必要が出てきたのですが、概念的な説明ばかりで実際どうやってプロトコルをデータに適用させているのか具体的なサンプルを提示している説明を見つけられなかったのでGPT先生に何度も質問をしてデータのやりとりまで詳しく説明してもらったので、その記録してここに記載します。

まずはざっくり僕の理解を抽象化したものを紹介します。

GPT先生の説明をまとめたもの

以下に、HTTP GETリクエストの送信に関する一連のプロセスを、DNS解決からTCP/IPカプセル化、そして最終的なデータ転送まで詳細に説明します。このプロセスは、クライアントが「example query」をGoogleで検索する場面を想定しています。

ステップ1: DNS解決

クライアントが「www.google.com」へのHTTPリクエストを送信する前に、そのドメイン名のIPアドレスを知る必要があります。これにはDNS(Domain Name System)の問い合わせが使用されます。

1.DNSクエリの発行:
クライアントはローカルDNSキャッシュをチェックし、キャッシュされていない場合は設定されたDNSサーバに「www.google.com」のIPアドレスを問い合わせます。

2.DNSレスポンスの受信:
DNSサーバがドメイン名に対応するIPアドレス(例: 172.217.0.4)をクライアントに返します。

ステップ2: TCP接続の確立(三方向ハンドシェイク)

TCPの三方向ハンドシェイクにおけるSYNとACKフラグは、TCP接続の確立を管理するために非常に重要な役割を担います。これらのフラグはTCPヘッダの制御フラグ部分に位置し、接続の開始(SYN)と、送受信されたパケットの受領確認(ACK)に使用されます。

TCP SYNパケットのサンプル

SYNパケットも通常のパケットのヘッダーとほぼ同じなんですが、イメージしやすいようにサンプルを載せておきます。

IPヘッダ (簡略化して示します)
- Version: 4 (IPv4)
- IHL: 5 (20バイト)
- Total Length: 40バイト(例)
- TTL: 64
- Protocol: 6 (TCP)
- Source IP: 192.168.1.100
- Destination IP: 93.184.216.34
TCPヘッダ
- Source Port: 12345
- Destination Port: 80
- Sequence Number: 1000
- Acknowledgment Number: 0 (SYNパケットではACK番号は0)
- Data Offset: 5 (ヘッダは20バイト)
- Flags: SYN
- Window Size: 65535
- Checksum: (計算された値)
- Urgent Pointer: 0

# データ部分はありません

16進数表現:

4500 0028 0001 0000 4006 a642 c0a8 0164 5db8 d822
3039 0050 03e8 0000 0000 7002 ffff 2c1e 0000

1.SYNパケットの送信:
クライアントはsocket()を呼び出してTCPソケットを作成し、connect()を使用してサーバーのIPアドレスに対してSYNパケットを送信します。このパケットにはクライアントの初期シーケンス番号が含まれます。

2.SYNとACKの応答:
サーバーはSYNフラグとACKフラグが設定されたパケットで応答し、クライアントのシーケンス番号に1を加えた値をACK番号として、自身の初期シーケンス番号を含めて返します。

3.ACKパケットの送信:
クライアントはACKパケットをサーバーに送り返し、TCP接続が確立されます。

ステップ3: HTTP GETリクエストの送信

クライアントは確立されたTCP接続を通じて、HTTP GETリクエストをサーバーに送信します。リクエストは以下のようになります。

GET /search?q=example+query HTTP/1.1
Host: www.google.com

このテキストデータをバイナリ形式に変換すると次のようになります(ASCIIコードを16進数で表現):

47 45 54 20 2F 73 65 61 72 63 68 3F 71 3D 65 78 61 6D 70 6C 65 2B 71 75 65 72 79 20 48 54 54 50 2F 31 2E 31 0D 0A 48 6F 73 74 3A 20 77 77 77 2E 67 6F 6F 67 6C 65 2E 63 6F 6D 0D 0A 0D 0A

このHTTPリクエスト文字列はバイナリデータに変換(カプセル化)され、TCPのペイロードとして送信されます。TCPヘッダは、データの転送を制御するためにシーケンス番号、ACK番号、フラグなどを含む情報で構成されています。

アプリケーション層からトランスポート層へのデータの引き渡しには、特定のプロトコルとAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)が用いられます。このプロセスは、ソフトウェア開発者が使用するプログラミング言語と、オペレーティングシステムのネットワークスタックの設計に基づいています。

トリガーと引き渡しの仕組み
ソケットAPIの使用: ほとんどのオペレーティングシステムで、ソケットAPIがアプリケーション層とトランスポート層の間のインターフェースとして機能します。ソケットは、ネットワークを介してデータを送受信するためのエンドポイント(通信の接点)を提供します。

システムコール: アプリケーションは、send() や recv() などのシステムコールを使用してソケットにデータを書き込むか、ソケットからデータを読み取ります。これらの関数は、アプリケーションからデータをトランスポート層に安全に引き渡すためのトリガーとなります。

プロトコルスタックの操作: システムコールが実行されると、オペレーティングシステムのプロトコルスタックが動作を開始します。このスタックは、データを適切な形式でパッケージングし(カプセル化)、必要なヘッダ情報(TCPやUDPヘッダ)を付加してから、ネットワーク層に送信します。

ポート番号とプロトコルの指定: アプリケーションがソケットを作成する際には、特定のポート番号とプロトコル(TCPまたはUDP)を指定します。これにより、トランスポート層は、どのアプリケーションからのデータであるか、そしてどのように処理すべきかを識別できます。

バッファリングとフロー制御: オペレーティングシステムは、データをトランスポート層に渡す前にバッファリングを行うことがあります。これは、データの送信がネットワークの容量に合わせて最適化されるようにするためです。

TCPクライアントの実装例(わかりやすくPythonで表記しますが、LinuxではCで書かれています。)

import socket

def tcp_client(server_ip, server_port):
    # ソケットオブジェクトの作成
    with socket.socket(socket.AF_INET, socket.SOCK_STREAM) as sock:
        # サーバに接続
        sock.connect((server_ip, server_port))
        
        # サーバにデータを送信
        sock.sendall(b'Hello, server!')
        
        # サーバからのレスポンスを受信
        response = sock.recv(1024)
        print('Received:', response.decode())

# サーバのIPアドレスとポート番号
server_ip = '192.168.1.2'
server_port = 12345

# クライアントの実行
tcp_client(server_ip, server_port)

Linuxでは、ソケットAPIの関数は主にC言語の標準ライブラリとして提供されており、システムコールを介してカーネルのネットワークスタックにアクセスします。これらの関数は、ユーザープログラムが利用できるように、標準Cライブラリ(例えばlibc)にリンクされています。

ヘッダーファイル: ソケットプログラミングに必要な定義やプロトタイプ宣言が含まれており、通常 /usr/include/sys/socket.h や /usr/include/netinet/in.h などにあります。
共有ライブラリ: 実際の関数の実装は libc ソやその他のシステムライブラリに存在し、これらは /lib や /usr/lib ディレクトリに配置されることが多いです。

以下は、クライアントが生成しカプセル化されたHTTP GETリクエストのIPパケット(TCPセグメントを含む)の例です:

IPヘッダー:
- Version: 4 (IPv4)
- IHL: 5 (20バイト)
- Total Length: 100 (例)
- TTL: 64
- Protocol: TCP
- Source IP: 192.168.1.100
- Destination IP: 93.184.216.34

TCPヘッダー:
- Source Port: 12345
- Destination Port: 80
- Sequence Number: 1000
- Acknowledgment Number: 0
- Flags: SYN #ハンドシェイクに使われるフラグ
- Window Size: 65535

データ部分 (HTTP GETリクエスト):
GET / HTTP/1.1
Host: example.com

# データ部分 (HTTP GETリクエスト)をASCIIでバイナリ表記すると以下のようになります。
# 47 45 54 20 2F 73 65 61 72 63 68 3F 71 3D 65 78 61 6D 70 6C 65 2B 71 75 65 72 79 20 48 54 54 50 2F 31 2E 31 0D 0A 48 6F 73 74 3A 20 77 77 77 2E 67 6F 6F 67 6C 65 2E 63 6F 6D 0D 0A 0D 0A

このHTTPリクエストはTCPセグメント内にカプセル化されます。TCPヘッダには以下のような情報が含まれます。

  • Source PortとDestination Port
  • Sequence NumberとAcknowledgment Number
  • TCP Lengthとフラグ(例: ACK, SYNなど)
  • Checksumとその他の制御情報

TCPヘッダ(最小長20バイト)を簡略化して以下のように示します(実際にはもっと複雑です):

00 50 00 50 00 00 0A 00 00 00 0B 00 50 02 00 00 00 00 00 20

TCPセグメントはさらにIPパケットにカプセル化され、IPヘッダが追加されます。IPヘッダ(通常20バイト)には次のような情報が含まれます。

  • Version、IHL、Type of Service
  • Total Length
  • Identification
  • Flags、Fragment Offset
  • TTL、Protocol (TCPは6)
  • Header Checksum
  • Source IP Address、Destination IP Address

IPヘッダの例(バイナリの16進数表現):

45 00 00 3C 1C 46 40 00 40 06 A6 82 C0 A8 01 01 AC D9 00 04

上記のIPヘッダ、TCPヘッダ、そしてHTTPデータが一つのパケットとして組み合わされ、ネットワークを通じて送信されます。各層のカプセル化により、データはネットワーク上で適切にルーティングされ、目的地に到達する際に各レイヤで適切に処理されます。

IPパケットの例とヘッダー情報の変更

45 00 00 64 00 01 40 00 40 06 ...

  • 45 - IPv4、ヘッダ長20バイト(Version: 4, IHL: 5)
  • 00 00 - 通常はTotal Lengthの場所ですが、ここでは00 64で合計100バイトを示します。
  • 00 01 - Identification
  • 40 00 - Flags and Fragment Offset(ドントフラグメント)
  • 40 - TTLが64
  • 06 - ProtocolがTCP

ルーターを通過した際のヘッダ変更
ルーターを通過するとき、TTLがデクリメントされ、チェックサムが再計算されます。新しいTTL値は63になります(40-1)。新しいパケットのヘッダは次のようになるかもしれません:

45 00 00 64 00 01 40 00 3F 06 ...

  • 3F - 新しいTTL値(63)

ステップ4: HTTPレスポンスの受信

サーバーはHTTPリクエストを処理し、クライアントにHTTPレスポンスを送り返します。このレスポンスにはステータスコード、ヘッダー、HTMLコンテンツが含まれます。

HTTP/1.1 200 OK
Content-Type: text/html

<html>
<head><title>Search Results</title></head>
<body>
<!-- 検索結果の内容 -->
</body>
</html>

ステップ5: TCPコネクションの終了

HTTPレスポンスの受信後、データの送受信が完了したことを双方が認識したら、TCPコネクションを終了するためのプロセスが開始されます。この終了プロセスは、開始時の三方向ハンドシェイクと同様に、確実な終了を保証するための手順を踏みます。通常、クライアントが通信の終了を先に開始することが多いですが、どちらのエンドポイントも終了を開始することが可能です。

  1. FINパケットの送信:
    通常、クライアントが先に通信の終了を希望する場合、FINフラグがセットされたパケットをサーバーに送信します。これは、クライアントがこれ以上送信するデータがないことを示します。

  2. ACKの受信:
    サーバーはクライアントのFINパケットを受け取ると、ACKフラグがセットされたパケットで応答します。これにより、クライアントの終了要求が受け入れられたことを確認します。

  3. サーバーからのFINパケット:
    サーバーがすべてのデータをクライアントに送信し終えた場合、サーバーもFINフラグがセットされたパケットをクライアントに送ります。

  4. 最終ACK:
    クライアントはサーバーのFINパケットを受け取った後、最後のACKパケットを送信して応答します。これにより、両方の方向でのデータ転送が正式に終了し、TCPコネクションは完全に閉じられます。
    このステップは、TCPが信頼性高く順序正しくデータを転送するために不可欠です。TCPの設計では、このように丁寧にコネクションを閉じることで、通信の中断やデータの損失を防ぎ、セッションの正確な終了を保証します。

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