Bitcoinは本質的には無価値だが、人類史上最も価値のあるモノになる、というのが私の結論です。
「本質的に無価値」なので、「本質的に無価値なモノの価値を測る時の基準」で価値を測ります。
言葉の意味も含めて丁寧に解説しますね。
まずBitcoinの価値と価格について困惑しないように初めから価値と価格という2つのレイヤーを定義します。
①価値レイヤー
ここで私は「本質的に無価値」とは「人間以外が価値を感じないモノ」を指す意味で使っています。
本来生活するのに必要ないモノ。人間以外の生物に渡しても何とも交換できないモノ。
たとえばアート。
ピラミッドを例に考えれば分かりやすいです。
ピラミッドの価値 = (A)経過時間 x (B)消費エネルギー x (C)創造時点での技術的敷居の高さ
(A)軸4000年以上前の建築物なので経過時間でピラミッドを超える建築物を探す方が難しいです。
(B)数万人に何十年も作業させたようなのでジュールで表記したとしてもピラミッド建築に消費したエネルギーは膨大です。
(C)創造時点での技術的敷居の高さは言うまでもなく、現代技術を持ってしてもピラミッドの謎を全て解き明かせないほど精密に作られていて4000年以上前の創造時点での技術力の高さ、他の人が真似するのが非常に困難という点においても言うことなしですね。
ピラミッドは(A)(B)(C)すべて高い数値で示せるので価値が非常に高いと感じる人が多いと思います。
ただピラミッドは犬にしてみればただの積み石と変わらない訳で、犬にとって食物よりピラミッドの方が価値のあるモノだと考えるのは妥当ではありません。
ビットコインも同じ式を使って価値を示すことができます。
Bitcoinの価値 = (A)経過時間 x (B)消費エネルギー x (C)創造時点での技術的敷居の高さ
Bitcoinの経過時間はピラミッドには遠く及びませんが、経過時間が増大するにつれて価値は増していくので、時間が経てば経つほどBitcoinには(A)軸としての価値が見出されます。
Bitcoinの消費エネルギーは誕生時点からほぼ常に増大してます。bitcoinの価格と違ってハッシュレートはドローダウンもあまりせずにほぼ常に右肩上がりです。
ピラミッドは4000年前に完成しているモノなので(B)消費エネルギーは常に固定値ですが、Bitcoinは時間と共により大きなエネルギーを消費するので、いずれ最も人類がエネルギーを費やしたモノになると思われます。
(C)創造時点での技術的敷居の高さについても誰も突破できなかったビザンチウム将軍問題を解決しました。
非常に高度なコンピューターサイエンスの知識と暗号知識とコーディングスキルがないと実現できなかった明確な人類のブレイクスルーです。
人類は現在80億人ほどいますが、サトシ・ナカモトを除いて誰一人として実現できなかった技術の体現です。
以上の3軸を持って、本質的な価値を持たないモノの価値は長方体で示すことができ、比較することができると考えているのですが、現在進行形でこの長方体が尋常じゃない速度で大きくなり続けているのがBitcoinです。
本質的に価値のないモノ以外にも価値体系はもちろんあって、私の持論では以下の3つがそれに該当します。
消費財としての価値があるモノ(コモディティなど)
時間的価値のあるモノ(サービスなど)
資産となり金利を発生させるモノ(証券など)
私個人としてはスマートコントラクトに利用されるETHなんかはコモディティ、PoS後のステーキングコインなんかは証券に該当すると思います。
Bitcoinはどちらかといえばアートに近いです。ただソフトウェアなので今後仕様が変わったり機能が追加されたりしてコモディティ性を帯びたり金利を発生させる証券性を帯びる可能性もあると思います。
②価格レイヤー
次にbitcoinの市場的な価値について論じます。
市場的な価値というと先ほどまでの「価値」と混同してわかりづらくなるので、市場的な価値=価格とします。
開かれた市場においてはどんなモノでも需要と供給がある限り、均衡価格が価格になります。
価格が高いからといって必ずしも価値のあるモノだとは限りません。
価値だけで価格は決まりません。
ピラミッドの所有権を分割してエジプト政府が販売したとしても、誰も買おうとする人がいなければいくらピラミッドの価値が高いからといってもその所有権には価格がつかない(需要がない)可能性があります。
つまり、どんなモノでも市場で売買される限りにおいて価格を決定するロジックは同じになります。
bitcoinの価格 = 需要と供給の均衡点
人参の価格 = 需要と供給の均衡点
テスラ株の価格 = 需要と供給の均衡点
そこで重要になってくるのがストックフロー比率です。
ストックフロー比率
ストックフロー比率 = 市場に存在する量 / 年間採掘量
簡単に言うと、新しく供給される量が現在市場に存在する量に比べてどれくらいの割合かという考え方です。
以下のコインテレグラフから拝借したチャートを見てわかると一目瞭然なんですが、たった3回の半減期で最もストックフロー比率が高いゴールドに肉薄しています。
2140年に全てのbitcoinがマイニングされるので2009年から数えると約130年ほどあるのでおよそ4年に1度の半減期が最後まで続くと、あと29回ほど半減期を迎えるはずです。
つまりbitcoinは半減期によって供給が極端に絞られるため、ストックフロー比率の指数関数的上昇が不可避であり、需要は徐々に伸び続けているので市場的価値=価格は長期的な目線で見たときに下落すると考える理由がないです。
余談ですが、ストックフロー比率が低いモノを価格の基準に使っている社会はストックフロー比率が高いモノを基準に使っている社会に劣後します。ストックフロー比率が低いモノは新たに市場に供給量を増やすのが比較的容易なので、蓄積された富が生産者にシニョリッジとして奪われやすい特性を持ちます。そのため国家的な信用を得ることも難しくなり国家運営が難しくなります。
Bitcoinは半減期の度にストックフロー比率を大幅に引き上げていくのでBitcoinが半減期を繰り返す度に国家は次の選択を迫られることになります。
劣後社会の道を歩むか、通貨発行権を手放すか。
結論
Bitcoinにアートやミーム・思想として価値を見出し、ストックフロー比率の先読みをすることによってbitcoinの価格上昇を信じてホドルする人たちがいるのでP2Pという特性上、彼ら全員が諦めない限りBitcoinは止まりません。
故にbitcoinの需要が枯渇することはなく、半減期を経るごとに供給が急激に絞られ、半永久的に市場的価値を高めていきます。