リンク層の仕事
復習:TCP/IPモデルとは?
TCP/IPとは、インターネットを含む多くのコンピュータネットワークにおいて、世界標準的に利用されている通信プロトコル(手順や規約)のことです。
私たちがインターネットでWebページを見るときに利用するプロトコルは、TCP(Transmission Control Protocol)とIP(Internet Protocol)を利用しています。
TCP/IPモデルのリンク層(ネットワークインターフェイス層)は
物理層(レイア1)、データリンク層(レイア2)に相当する。
役割
①データを電気信号に変換
②同じネットワークに接続されたコンピュータを識別し、特定のコンピュータへデータを送信する
データを電気信号に正しく変換するために、リンク層では、データ伝送に必要なハードウェア(ケーブルやネットワークカード)を制御する。
ケーブルの種類
ツイストペアケーブル
LANケーブルと呼ばれる。8本の導線を2本ずつより合わせたケーブル。
●UTP/STP
電磁ノイズを遮断するシールド加工を施したツイストペアケーブル。
STP(Shielded Twisted Pair)と呼ばれ、ノイズが多く発生する工場や研究所で使用される。がSTPは高価なため、一般的にはシールド加工なしのUTP(Unshilded Twisted Pair)を使用する。
●コネクタ
ケーブルの末端に取り付けられている部品をコネクタという。
コネクタを使うことで、ケーブル導線とPCやネットワーク機器の接続を容易にできる。
●ケーブルカテゴリ
ツイストペアケーブルは対応している規格によってカテゴリに分けられています。それぞれ、適合する通信速度や周波数が異なり、カテゴリ名に含まれる数字が大きいほど品質が高く、1秒あたりに送信できるデータ量も多いため高速通信が可能になります。
低速
100Mbps(CAT5)
↓
↓
↓
高速
40Gbps(CAT8)
●最大ケーブル長
UTPケーブルの最大長は基本的に100メートルとされています。
光ファイバーケーブル
ガラスの中に光を閉じ込めて伝送する通信ケーブル。光を伝播する中心部分の「コア」とその周辺を覆う「クラッド」という2種類の素材で構成されている。
コアに差し込んだ光は、特定の角度で反射を繰り返しながら進んでいく。伝搬される光の通りのことをモードと呼ぶ。
●シングルモードファイバ
コアの怪が小さく、1つのモードしか通らない光ケーブル。光信号に歪みや分散がないため、高品質で安定した通信が可能です。長距離通信向き。
●マルチモードファイバ
複数のモードを通す光ケーブル。信号の伝搬に歪みが生じるため、シングルモードファイバに比べると伝送損失が大きい。価格が安価。近距離向き。
イーサネット
イーサネット
TCP/IPモデルのリンク層に対応した規格。同じネットワークに接続されたイーサネット機器同士でデータをやり取りするための取り決めをしている。
●MACアドレス
MACアドレスはイーサネットや無線LANにおいてフレームの送信元や宛先を特定するためのアドレス。48ビットで構成され、次のルールで割り振られている。
●MACアドレスの表記
2進数ではなく16進数で表記されています。
●MACアドレスの種類
・ユニキャストMACアドレス・・・「1対1」の通信に使用
・ブロードキャストMACアドレス・・・「1対全」の通信に使用
・マルチキャストMACアドレス・・・「1対n」の通信に使用
●CSMA/CD
イーサネットでは、通信を制御する方式として、CSMA/CDを使用している。
●CSMA/CDの動作
①ケーブルの空きを確認
データを送ろうとするホストは、ケーブル上に信号が流れていないことを確認。
②同じ回線を共有しデータを送信
複数のホストは同じケーブルを共用し、ケーブルの空きが確認できるとデータの送信が開始できます。
③衝突(コリジョン)を検出
1本のケーブル上に同時に送信された信号は衝突し、壊れてしまう。この電気信号の衝突をコリジョンという。コリジョンを検出したホストは、すべてのホストに衝突をジャム信号で知らせます。
④ランダムな時間待ってからデータを再送信
コリジョン発生時にデータを送信していたホストは、コリジョンを検出するとデータの送信を停止し、ランダムに設定された時間を待機してからデータを再送信する。
バックオフというアリゴリズムによって、待ち時間をランダムにすることで再送信のタイミングをずらし、再度衝突することを回避する。
ネットワーク機器
スイッチ機能
MACアドレスを利用してデータを転送処理を行う集線装置のことをスイッチと言います。スイッチは、リンク層で動作する機器です。
●バッファ
データを転送するときにデータを一時的に格納すること、または格納しておく場所を示す。
●バッファリング機能
一般的なスイッチは、受信フレーム全体を一旦バッファに溜めて、フレームの末尾にあるFCSでエラーチェックを行います。エラーがなければ、転送処理を実行します。このような転送方式をストアアンドフォワードといい、これを可能にする機器をバッファリングという。
●全二重通信
データ送信と受信を同時に行うことを全二重通信と言います。反対に、データの送信と受信を同時に行うことができず、切り替えて行うのは半二重通信です。
●MACアドレスの学習
スイッチはMACアドレステーブルと呼ばれるデータベースを保持しています。このテーブルには、各スイッチのポートとその配下に接続されているホストのMACアドレスが記録されています。スイッチは、受信したフレームの宛先MACアドレスをもとに、 MACアドレスデーブルを確認して該当するポートにだけフレームを転送する。
スイッチがフレームを転送する時の動作は次の通りです。
①MACアドレスAを持つホストがD宛てにデータを送信しました。
②スイッチは受信したフレーム送信元MACアドレスを読み取り、そのアドレスをポートに関連づけてMACアドレステーブルを登録。
③フレームの宛先MACアドレスを読み取り、一致するアドレスがあるかどうかMACアドレステーブルを調べる。
④該当したポートのみフレームを転送(フォワーディング)する。
コリジョンドメイン
コリジョンドメインとは「データの衝突が起こる範囲」のことを言います。このコリジョンドメインは、集線装置としてスイッチとハブ(リピータハブ)のどちらを使用するかによって大きく異なります。
●ハブを使った場合のコリジョンドメイン
ハブとは...
複数のホストをケーブルで接続し、データを中継する物理層の機器です。
ハブとホストの間では、ツイストペアケーブルの構造から、ケーブル上で信号の衝突は起こりません。しかし、ハブは同時に2つのポートから電気信号を受信すると処理することができないのです。そこで、ハブの内部にあるコントローラでは、次のルールに従ってコリジョンを擬似的に作り出しています。
●スイッチを使った場合のコリジョンドメイン
集線装置にスイッチを使ったときの動作を見てみましょう。
スイッチは、複数のホストをケーブルで接続し、データを中継するリンク層の機器です。