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MP4のデータ構造

Last updated at Posted at 2019-08-17

mp4の構成要素

MP4ファイルはBoxとよばれる要素の木構造で構成されている。このBoxはMP4を構成する要素の中で最小単位であり、Atomと呼ばれる。子をもつBoxはContainer boxとも呼ばれる。ちなみにもともとQTFFの方でAtomと呼ばれていて、QTFFを元にMP4が作られたのでそのまま名残でMP4でもAtomと呼ばれているようです。

mp4のBoxは必ずftypeと呼ばれるものから始まり、それ以外のBoxの並び順は、VODで配信する場合はどのような並び順でもOK。だがLODで配信する場合は最初にメタデータを読み込んでから実際のデータを処理する必要があるので、先にmoovという、メタデータが記録されたBox(後述)をロードする必要がある。

Boxの基本構造

  • HeaderとData部分で構成される。
  • 先頭のオクテット(8Byte)がボックスを識別するためのHeaderになっている。
    • オクテットの中でも、最初の4ByteがBoxSize、最後の4ByteがそのType(BoxType)になる。
    • このBoxTypeの部分に、ftype, pdin, moovなどのBox固有のIDがASCII文字列で入る。
  • Data部については、HeaderのBoxSizeにBox全体のサイズが入っているのでHeaderの終わりからBoxSizeて定義されている位置までがBoxDataになる。
    • Headerのサイズは8ByteなのでBoxSize - 8Byte = DataSizeとなる。

ISO/IECでのBox構造定義

aligned(8) class Box (unsigned int(32) box type, 
                      optional unsigned int(8)[16] extended_type) {
    unsigned int(32) size;
    unsigned int(32) type = boxtype;
    if (size == 1) {
        unsigned int(64) largesize;
    } else if (size == 0) {
        // box extends to end of file
    }
    if (boxtype == 'uuid') {
        unsigned int(8)[16] usertype = extended_type;
    }
}

以下にmp4のBox一覧を列挙してみる。rootのBoxについてはこれで全部ですが、子要素のBoxは以下に記載しているもの以外にもたくさんあります。ちなみに、特にmoov内のstblがキモになってくる。

sample.mp4
  ├ ftyp
  ├ pdin
  ├ moov
  │   ├ mvhd
  │   ├ trak(movie)
  │   │   ├ tkhd
  │   │   ├ tref
  │   │   ├ edts
  │   │   |  └ elst
  │   │   └ mdia 
  │   │      ├ mdhd
  │   │      └ minf(Media Information Box)
  │   │         └ stbl
  │   │            └ stco
  │   ├ trak(audio)
  │   │   └ ...trak(movie)のchildrenと一緒
  │   ├ trak(hint)
  │   ├ mvex(extended box)
  │   └ ipmc(hint)
  ├ moof
  │   ├ mfhd
  │   └ traf
  ├ mfra
  ├ mdat
  ├ free(free space)
  ├ skip(free space)
  │   └ udta(user data)
  └ meta

以下にファイルのrootに配置されるボックスについて書いてみる。

ftype(File type)

ファイルがどのtypeに準拠しているかを表す。Boxの並び順としては一番最初に配置されている必要がある。

構造

aligned(8) class FileTypeBox
 extends Box(‘ftyp’) {
 unsigned int(32) major_brand;
 unsigned int(32) minor_version;
 unsigned int(32) compatible_brands[]; // to end of the box
} 

ftype一覧: http://www.ftyps.com/

minor_versionmajor_brandのマイナーバージョンを定義するみたいですが、ほぼ活用されないようなので全部0で埋めても問題ないケースが多いようです。
compatible_brandsは互換性があるmajor_brandを列挙できるみたいですが、こちらも必須ではないようで、空白でもいけるようです。

moov

moovボックスの中には動画のメタデータが定義されていて、その配下にtrak、mvhdボックスなどのボックスが入れ子になっている。
動画・音声のメディアデータをそれぞれ1trakとし、「movieのtrak」「audioのtrak」というように複数のtrakが同じ階層に配置される。
DRMを扱う場合は、複合の際に使うPSSHなどといったデータもこのボックスに格納される。

trakでは、動画・音声データがどのように配置されているかを記録していて、再生する際はこのtrakの情報を元にメディアデータをシークする。そのため、LODではmoovボックスが最初に読み込まれる必要がある。

そしてtrak配下のmdhdではトラックのメタデータや再生時間などを定義している。

mdat(Media data box)

メディアデータを格納するBoxで、動画・音声両方を格納できる。
mdatをデコードするには、moov -> trak -> mdia -> minf -> stbl配下のメタデータをパースする必要がある。このstbleを読み解くために、他の諸々のBox定義も理解しないといけなくてなかなか難しいらしい。

ユーザー定義Box

記事上部に記載したBox構造を見てみると、Boxではオプショナルでextended_typeというものが定義できる。

ユーザー定義のBoxを使うときはBoxTypeにはuuidを指定し、extended_typeではユーザが任意に作成した16Byteのuuidを格納する。するとBoxDataでは自由なデータを指定することができ、ユーザー定義Boxとして使うことができる。

Full Box

FullBoxの定義

aligned(8) class FullBox(unsigned int(32) boxtype, unsigned int(8) v, bit(24) f)
 extends Box(boxtype) {
 unsigned int(8) version = v;
 bit(24) flags = f;
} 

FullBoxとは、Boxを拡張してversionとflagフィールドをヘッダーに持てるようにしたもの。実際に扱われるのはFull Boxが多かったりする。

参考文献

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