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YWTふりかえりをフルリモートで実施してみたら、割と評判が良かった

Last updated at Posted at 2020-11-07

リモート振り返りはむずかしい(気がする)

コロナは収束したり発散したりと、ほとんど定常波みたいな感染者数になってきてはいますが、ともあれ会議室にみんなで集まって、、、というのは非常に難しい今日このごろになっています。

というわけで、リモートでの会議が増えるわけですが、まぁ慣れないですよね。やっぱり。3倍疲れる。

それでもまだ、Agendaが固めに組める、収束フェーズの会議はいいんですよ。問題は発散フェーズの会議です。それの最たるものの一つとして、ふりかえりがあるんじゃないでしょうか。

実際コロナになるまえからリモートでの振り返りはやる機会はあったのですが、非常にやりづらかったです。

まずもってふりかえりって自分事で参加してもらうのが第一歩なんですけど、これがマジでコントロールできなくて。オフラインであれば、とりあえず付箋を配って、それを貼ってもらう、というアクションをしてもらうことで、その導入ってできるんですが、オンラインではなかなか良いツールがなく、どれも難しい、という印象です。

という感じなんですが、今回一つのプロジェクトが区切りを迎え、次開発にはいる前にいっちょふりかえりやっとこうぜという話になり、ファシリテーター引き受けたわけです。はい。

KPTは万能ではない

さて、振り返りするかー、と思ったのですが、どうも聞くと今は会社に「ふりかえりフォーマット」みたいなものがあると聞いたので、いっちょ見てみるかと見てみると、超絶お堅い感じのExcelファイルをみつけたのでそっ閉じしました。

で、まぁそのフォーマットがKPTだったわけです。

いや、KPTがわかりやすいフレームワークで、もはやふりかえりの代名詞になっている事自体は否定しませんよ。ただこのフォーマット、うまく行かない罠が大量にあると思っていて。

  • Pばっかり大量に出る、、、のはまだしもそのPに人が紐付いて「問題対私たち」構造をぶち壊してしまう
  • Kの時間が何も出ずに虚無になる
  • 全部のPに対してTを出そうとしてタイムスケジュールが破綻して、Tの解像度がおざなりになる
  • 実施できないTや、根性論系Tが出る

とまぁ、だめなKPTになる要素って大量にあります。もちろんこれらを防止するためにファシリテーターがいるわけで、これらに対してはちゃんと解決策はあるのですが、KPTのファシリテートって本当に難しいですよ。そんな入門者がスイスイ進められるようなもんじゃないと思います。

あと、KPTというのはやはり細かいイテレーションで実施する振り返りに対して効果を表すものだともおもっています。というのもKとかPみたいな、成果や課題をなんの準備もなく出し始めてしまうと、ほとんど直近の事項にばっかり焦点があたってしまい、プロジェクト初期のことなんてほぼでてこないんですよ。

というわけで、まぁKPTじゃないな、ということになりました。

KPTじゃないならなににするかなー、ということでアジャイルレトロスペクティブズを読み返したりしていましたが、やっぱここは日本の知恵だよなってことでYWTに落ち着きました。

YWTがリモートふりかえりに向いていそうな理由

YWTは意外と知名度がなくて、体感的にはKPT知っている人でも9割は知っていない感じです。良い記事はいくつか出ているので詳細はそちらをお読みいただければとおもいます。

まぁざっくり説明すると、以下の3つの点からふりかえりを行う手法です。

  • Y: やったこと。プロジェクト内で実施したことをあげる。
  • W: わかったこと。Yをやったことによる学びをあげる。
  • T: 次にやること。Wから次に取り組みたい課題を出す。

アプローチはKPTと似てますよね。というか実質的にTは一緒です。(Try ≒ 次にやること)

では何が違うのかというと、KeepとProblemにあたることを、Wとしてまとめてあげること。更にいうと、Problemではなくあくまで「分かったこと」なので、Problemを出すときのギスギス感を幾分か和らげることができます。

そして大きいのがYという、課題や成果を出す前の思い出しが入ること。これが先に書いたように、やや長時間のプロジェクトふりかえりみたいなものに対しては効くのです。

実際にどうやったのか

フォーマットの話

で、やってみようとなるわけですが、ぶっちゃけYWTで難しいのはYです。これも油断すると直近しか上がらないんですよね。なので、Yだけは他のふりかえり手法と組み合わせることにしました。それは「タイムラインふりかえり」です。

タイムラインふりかえりも、すでにいくつも記事があるのですが、リモートで開催した例を上げておきます。

タイムラインふりかえりは、その字のごとく時系列な線を引いて、その時系列を起こったことで埋めていく手法です。本当は記事にある通り、個々の感情タイムラインを引きたいところなのですが、時間の問題とチーム練度の問題から、タイムラインは事実ベースとしました(なのでほぼ「やったこと」に相当するわけです)

WTに関しては、付箋ベースのやり方としてました。

ツールの話

さて、問題はツールです。会議自体は標準ツールがあるのでそれでいいのですが、ホワイトボードや模造紙にあたるものをどうするか。

結論から言うと、Google Jamboardを使いました。これ、検索するとトップに物理的な電子ホワイトボードが出てきちゃうのですが、ちゃんとWebアプリもモバイルアプリもある、いわゆるデジタルホワイトボードとして使えます。

いろいろホワイトボードアプリがある中で、Google Jamboardにした理由ですが、以下の4点です。

  1. 基本的に無料で無制限で使える
  2. iPadアプリの出来が良く、Apple Pencilと合わせて軽量で使いやすい
  3. 手書きでもキーボードでも使いやすい(特にキーボードから付箋をつくるインタフェースが素早くてよい)
  4. 無限の領域があるホワイトボードではなく、規定された大きさのホワイトボードを任意枚数作れる

とくに下の2つが重要です。

まず3についてですが、今回私はiPadから手書きベースでファシリテートを行い、メンバーにはキーボードメインで付箋やテキストボックスを使ってもらいました。ファシリテートをする側としてはフリーハンドで線が引けるほうが都合がよく(WやTのグルーピングなど)、参加メンバーはタブレット持っているわけではないのでキーボード主体の入力もできたほうがよいんですよね。

また、無限領域のホワイトボードもそれはそれでよいのですが、せっかく構造化して書いていてもその外側に書かれたり、人数が多いと完全に書く場所が迷子になってしまったりと、現実的な取り回しはじつはよくありません。
それよりも、特に今回のようなフェーズがあるふりかえりの場合には、ページごとにテーマを割り振ってそこに書いてもらうほうが迷いがなくて良いです。

実際の様子を少しだけ

最後に、実際に使ったシートの画像を出してみます。もちろん中身は殆どモザイクですが、雰囲気だけでも感じてもらえるかと。

表紙

なんとなく、肩の力をぬきたかったので手書きで書きました。字が汚いのはご愛嬌。

image.png

とりあえず、肩の力抜いてよーという雰囲気です。一応このスライドで、これからどういうふうに振り返りするのかをざっと説明しました。

Y: やったことタイムライン

image.png

ほとんどモザイクですが、雰囲気はわかるかと。ちなみに「拉致」というのは開発メンバーが1名別プロジェクトの炎上対応に連れ出されたことを指しています。

これ面白いのは、最初は割とまだらなんですが、スカスカなところが見えてくると、なにやったっけ?とチーム全体での思い出しが入ったところですね。実際タイムラインで書くことのメリットはまさにそれだと思ってます。

W: わかったこと

image.png

こっからは付箋にしてます。赤い丸はドットシールの代わりで、でたWの中から共感するものをピックアップしてもらいました。YWTに限らず、こういう付箋に書き出す系で数が多く出た場合は、さっとドット投票をするとよいですよ。
このへんをその場の思いつきですんなり出来たのも、Jamboardの良いところでしたね。(シェイプがあってそれをコピーできるってだけではあるんですが。)

あとは、実は似たような内容を、書き出しながらまとめたり、なんてこともしてました。

結果的に、大きく2つ今回わかったことありそうだねー、というのをビジュアライズすることもできたのでした(見てのとおり、片方はテストのやり方でしたね)

T: 次にやること

image.png

そして次にやることまで無事にいきつきました。YWでだいぶ議論が温まっていたので、Tはかなりスムーズ。
付箋の色は、上がったWの中から実際にやることを赤色に付箋色を変えて示すようにしました。また、分かりづらいですが、付箋に脇に担当者も書くことにして、Tに対して主担当を設けるようにしてます(これは私が考えたことではなく、議論の中でメンバーがつけようと言ってくれたことです。すごくよかった)

ふりかえりを終えて

実はこのふりかえりは会社をまたがって行ったんですが、相手の会社のリーダーさんから「有意義でした」と言ってもらったり、メンバーが役に立ちそうだからと勝手に画像化して保存していたり、結構満足してもらえたみたいでした。まぁよかったよかった。

ただふりかえりっていうのは初回の満足度が一番高くて、そっから減っていくのが一般的なので、うまくこの流れを維持できるように改善しないといけないですね。

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