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Angular のコンセプトを理解する / Angular勉強会 #1

Last updated at Posted at 2020-11-10
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Angular講座の概要(予定)

  • 1. Angularのコンセプトを理解する
  • 2. Angularの代表的なライブラリを知る
  • 3. Angularにおける設計手法を考える

フレームワークを理解する上で大切なこと

フレームワークは、ただのツールではなく、その背景に一貫した「コンセプト」があることが多い。例えば。

  • Ruby on Rails: 「設定より規約」 ⇒ 細かいルールを定めるのではなく、最適な設定がビルドインされており、開発者が特別な設定を行うのはそれを破りたいときだけだ
  • React: 「宣言的/関数的」 ⇒ 全てのReactコンポーネントは、データを引数にとりレンダリング情報を出力する関数であり、これにより宣言的かつ単一方向のレンダリングを実現している。
  • Vue: 「親しみやすい」 ⇒ ReactやAngularと重複する機能が多いが、それらをより簡潔に、簡単に書けるようになっている。

ツールとしての機能は、ググれば出てくることが多く、またかなり移ろいやすい。しかし、そのフレームワークのコンセプトはバージョンを重ねても変わることは少なく、また各種ライブラリを使う上でも助けになる。


Angularのコンセプトとは

Angularのコンセプトは、一言で言えば「大規模設計の扱いやすさ」といえる。そしてそれは以下の3つのメインコンセプトにより担保される。

  1. モジュール
  2. コンポーネントとバインディング
  3. サービス依存性の注入(DI)

これらのコンセプトを使いこなすことがAngularを最大限に活かすための必要条件と言ってよいし、逆にこれらが不要だ、重たいと感じる場合はReactやVueのほうが向いている可能性が高い。

以下、一つずつ確認していく。


Angularのコンセプト①: モジュール

AngularはJavascript(ES2015)で定義されているモジュールとは独立したNgModuleというモジュール体型をもつ。NgModuleはアプリケーションの機能やビューの単位を表し、またそれらを結びつける役割をもつ。

またモジュールは自作のものだけではなく、外部のライブラリもモジュールとして参照することができる。

全てのAngularアプリケーションは、 AppModule というモジュールを持ち、アプリケーション内で必要となるモジュールは全てこの AppModule に含まれる必要がある。つまりモジュール同士の依存関係をすべて明示的に指定することがAngularアプリケーションでは求められる

これは、プロセスを重たくしがちな側面もあるが、モジュールの再利用性やルール上の制約を管理する上で非常に助けとなる。まさにエンタープライズな設計を行いやすい側面と言える。

image.png


Angularのコンセプト②: コンポーネントとテンプレート

コンポーネントとは、Angular内で唯一ビューを定義できる要素である。構成要素は大きく分けて2つあり、HTMLテンプレートやCSSなどのレンダリングを表すものと、そのビューに表示するデータや表示要素を取得したり加工するロジックを表すクラスである。

ただし、Angular内での主体はクラスの方であり、そのクラスにHTMLテンプレートやスタイルを紐付ける形をとる。
(その紐付けにはTypescriptのデコレータを利用する)

AngularにおけるHTMLテンプレートは、通常のHTMLにAngular独自の拡張を加えたものとなり、クラス内のデータやロジックをバインディングを通じてやり取りする。


Angularのコンセプト②: コンポーネントとテンプレート - バインディングによる紐付け

コンポーネント内で、テンプレートの要素をバインディングによって紐付けるのが、Angularの大きな特徴である。バインディングには、イベントバインディングとプロパティバインディングが存在する。

イベントバインディング

ユーザーのアクションに応じてアプリケーションのデータを更新する、ビュー → クラス 方向のやり取り。一般的にはメソッドをユーザーアクションに対してバインディングする形で行う

プロパティバインディング

システム内の状態変更をビューに対して反映する、 クラス → ビュー 方向のやり取り。一般的には、クラスプロパティやGetterメソッドの戻り値を、表示部に対してバインディングする形で行う

また、バインディングの際の値を加工する pipe という仕組みも存在する。

image.png


Angularのコンセプト③: サービスの依存性注入(DI)

ビューに依存しないデータやロジックは、再利用性からもメンテナンス性からも特定のビューとは独立した領域で保持される必要がある。そういったものを保持するのが「サービス」となる。

サービスクラスをコンポーネントや他のサービスに紐付ける際には、単純にコンポーネントから参照を行うのではなく、依存性の注入(Dependency Injection:DI)を用いる。

image.png


依存性の注入: DI とは

DIとはもともとはJavaなどのサーバーサイドの分野でよく用いられてきた、疎結合を保ったまま依存関係を構築する手法である。

DIを実現する仕組みをDIコンテナといい、Angularにもその仕組は組み込まれている。主な挙動としては以下のようになる。

  1. サービスを利用するクラス側が、どのサービスが必要かを記述する。
  2. DIコンテナにサービスを登録する
  3. DIコンテナが起動時に依存性を解決し、生成したサービスをクラスに注入する

image.png


Angularのコンセプト

Angularのコンセプトは、エンタープライズを見据えた大規模設計の行いやすさである。

AngularはJavascriptのそれとは独立した独自のモジュール構造を持ち、システムの構造を明示的に記述する。そしてそれらのモジュール群を、ビューを管理するコンポーネントとロジックを管理するサービスに分離することにより疎結合な設計を担保し、DIを用いて疎結合を保ったまま依存性を解決する。ビューはAngularにより拡張されたHTMLをテンプレートとし、イベントバインディングとプロパティバインディングという双方向のバインディングで、クラスロジックと接続される。

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