この記事は
「DeNA IPプラットフォーム事業部 Advent Calendar 2017」
21日目のエッセイです。
はじめに
「マンガボックス」というマンガを投稿したり読んだりするアプリ・ウェブサービスがあります。
自分はこのサービスにリリース初年度から3年強、サーバーサイドのエンジニアとして関わってきました。実は2017年12月から異動して最早関わっていないのですが、故に一区切りついた人の目線で唯一の振り返り記事を書いてみます。
紹介できるTwitterアカウントなど持っていませんが、それ自体が自己紹介みたいな感じでお察しの人生を送っています。
電子マンガサービスとは何か
「電子書籍」や「電子コミック」という言葉はよく聞くのですが、「電子マンガ」というフレーズはあまり聞かないなと思いつつ、自分はやはり「電子マンガ」のサービスをやっていたなと思っています。自分にとって「書籍」や「コミック」は物理的に製本された数十〜数百ページの紙のまとまりを想起させる言葉であって、それらを電子化したものを扱うサービスであれば「電子書籍(コミック)サービス」と名乗って良いと思いますが、マンガボックスに関していえばこれはやはり明確に「電子マンガサービス」ではないかと思うわけです。
すなわちマンガボックスとは既存の製本化されたコミック(単行本)を電子化したものを販売するストアではありません。正確にいえばストアだけを提供するサービスではありません。そもそも、リリース当初のコンセプトは週刊漫画誌アプリなのです。リリース当初の記事を紹介してなんだか「振り返り」っぽいぞ、とテンションが上がってきたのですが、おそらくレッドブル(シュガーフリー)を先ほど飲んだせいです。2013年当時、そして更に近年加速する傾向として、コミックが安定して売れ続けているのに、漫画雑誌が大胆に売れなくなっている状況があります(以下画像参照)。
公益社団法人 全国出版協会「日本の出版統計」
http://www.ajpea.or.jp/statistics/ から引用
※ちなみにこのグラフは紙の売上であって、リンク内に記述のあるように
電子コミックは3割近い伸びを示しており、紙と電子を合わせたコミック市場全体ではプラスで過去最大の規模になった。
と電子は盛り上がっている状況です。
これは何を示唆するのかというと、人類はコミック(単行本)ではマンガを読み続けている一方で、漫画雑誌は読まなくなったということです。マンガというコンテンツは、漫画雑誌での連載を入り口にして世に発表されることが多いです。一般的には漫画雑誌上でコミックが出るよりも先に読みたい作品があって、その目当ての作品を読みつつ、新連載が始まったマンガ作品もついでに読むか、なんだこれ面白いやんけ、とハマっていって、周囲に広めるなりコミックでも買っちゃうなりして、という暇人のループによって支えられている文化だと思っています。
しかし、スマホの台頭によるカジュアルなエンタメ体験の多様化や通信可能量の増大、日本人の個人主義化やコスパ厨の隆盛などの時流があり、あとおそらくUSJや脱出ゲームイベントなどが好調でやっぱりリアルなエンタメだよなとか言う若者がいたりもして、人類はわざわざ漫画雑誌で「マンガ」という概念に向き合わなくなったのでした。彼らはマンガを捨てつつ、コミックという形で人に聞いたのか書店で見つけたのかはわかりませんが、特定の作品を愛でる方向に進化していったのです。
こうなると、雑誌連載という形で一定の読者数を確保した上で作品として育っていく流れをもったマンガ文化に危機が訪れます。人々は誰かが育てて面白いことが判明した作品や映画化決定した作品しかマンガを読まなくなってしまいます。ただ、コミックの売上が一定あるのはとてもチャンスであって、つまり人類はまだコミックは読むので、売れるコミックになりうる新しいマンガ作品が生まれる、既存の漫画雑誌に替わった土壌を作れば良いのです。
そうした経緯をもって、マンガボックスは「無料で読める漫画雑誌アプリ」として2013年に創刊されました。大多数の人が慣れ親しんできただろうマンガ文化を、いまの時代に合わせて存続させるために、今時のユーザーでも新作(新連載)に触れやすい環境を作り、ひいては次世代のメガヒットマンガを生む。そんな人類の夢を背負ったサービスがマンガボックスだったのです。
そして、そうした新しいマンガ作品が生まれる土壌として、マンガ文化を新規開拓していくサービスのことを、自分はリスペクトと自負をもって「電子マンガサービス」と呼んでいます。序論みたいな話をしましたが、以上とします。ここまで読んだ人は偉いです。良いお年をお迎えください。
さて、明日は永遠の恩人 @yoichiro0903 さんがAndroidアプリ開発の話をするみたいです!
結論
長々と書きましたが、マンガボックスではサーバーサイドのエンジニアを募集しています。
- アーキテクチャ設計や言語選定から関わるエンジニアリングをしたい方
- マンガに関わる仕事に興味がある方
など、「ちょっと興味ありそう」「もっと色々聞いてみたい」という方も是非こちらからご応募いただければ幸いです。
マンガにハマった青春時代を思い出しながらも、いつからマンガをちゃんと読まなくなったんだろう、なんて寒空の下で小さく呟いた貴方をお待ちしております。