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Y Combinator に応募した話をするので皆もしてみてほしい

Last updated at Posted at 2022-12-22

Y Combinator とはなにか

例によって既存サイトから引用すると以下になります。

Y Combinator(ワイ コンビネイター)とは、シリコンバレーに存在するアクセラレータープログラムです。
アクセラレータープログラムとは、主に創業期のスタートアップに対して、資金・ノウハウ・環境的な支援を行うことで、スタートアップを加速させることを目的としたプログラムです。日本でも非常に多くのアクセラレータープログラムが存在しており、創業期のスタートアップが活用しています。
この「Y Combinator」のそういったスタートアップの加速を目的としたアクセラレータープログラムの一つですが、その輩出企業の豪華さから、世界中からスタートアップが集結し、世界で最も有名なアクセラレータープログラムと言われています。

Y Combinator(YC)は、名著「ハッカーと画家」の作者や Lisp プログラマーとして知られる Paul Graham が設立し、過去に Airbnb や Dropbox などの多くの巨大企業の超初期に投資・支援したことで有名です。

以下の資料ではより詳細に YC が提供するプログラムについて紹介されています。いわく「世界で最も成功しているスタートアップ養成所」とのことで、スタートアップ業界では YC の提唱する成功ノウハウや YC の投資先について頻繁に情報を見聞きすることがあると思います。

なぜ応募したか

一言でいうと好奇心です。新卒で DeNA にエンジニアとして入社したので、社外で同期や上司とともにプロダクト開発をすることがこれまでも何度かありました。しかし個人的には、日本で数億円を集めて日本人向けにサービス開発を必死にやるよりは、どうせ人生を賭けて苦労した上でギャンブルの要素があるのであれば、最初からアメリカでやった方が面白いだろうなという直感はずっとありました。

また YC や米国スタートアップ環境に、知名度の割に日本人が極端に参加していないことにも着目していました。実際に以下のような記事も 2022 年に公開されていますが、日本からの応募 584 件に自分の応募も含まれているはずです。多くの日本人が狙わないのであれば、応募するだけで目立てる可能性があります。また応募するプロセスの中で学びが得られれば、日本人としては貴重な学びを得た人材になることができます。

Michael:ちょっと待ってください、名簿を確認してみましょう。これまでのYCの16年の歴史の中で……、日本からは584件の応募がありました。
数十万人のうちの584人です。

応募してみた

応募はすべて英語での対応になりますが、シンプルで分かりやすいと思います。むしろこの応募プロセスのシンプルさが YC の哲学を示しており、美しいのです。彼らの思想は「起業家はプロダクト作りをするべきで、しょうもないことはするべきではない」ということで、応募フォームに回答すること自体が「プロダクト作り」に貢献するようにできています。

応募は年に 2 回あるバッチに対して、期限内に Apply Form を送信することでできます。

応募フォームの質問内容が「スタートアップとして急成長するプロダクト・チームを選別する」という目的で洗練されており、これに回答しようと考えるだけで正しいプロダクト開発ができることでしょう。素晴らしいことに Dropbox 創業者の Drew Houston が YC に応募したときの回答が公開されています。知的にキレキレで読み応えがあります。

また巷でもよく話題になるように、YC は彼らの哲学や教えているスタートアップノウハウをネット上で公開しています。動画形式で勉強しやすいので、スタートアップに興味のある人は一通り見ておくとよいでしょう。応募するバッチ毎に無料で誰でも参加できる Startup School も運営しており、基本的には参加者同士で互いのプロダクト開発進捗に FB をし合うなどの方法で進みます。FB が欲しい方は参加がオススメです。

YC の説明をしているだけで長くなってしまいましたが、自分の応募当時の回答内容を一部以下に転記します。「定期的な音声チェックインによる独学コミュニティの運営」をソリューションとして、ノーコードでプロトタイプを作って仮説検証をしているという内容です。

Describe what your company does in 50 characters or less.

Connect self-learners and arrange audio check-ins

How far along are you?

Product: Launched an MVP on September 5th. Our current product is the combination of our manual work, Slack teams, Google Calendars, Doodle, Calendly, Typeform, Airtable, and Zoom. We will start automating the process soon because users are growing fast.
Users: Initial 3 users on September 7th, and over 50 users in the first 2 weeks. We will ask users to pay for personalised audio check-ins on October 7th.

What's new about what you're making? What substitutes do people resort to because it doesn't exist yet (or they don't know about it)?

We organise audio check-ins for self-learners because we noticed audio is the 'no excess or deficiency' communication medium for learning with others. People resort to Facebook Groups, Twitter, Discord Servers, Reddit Subreddits and Lunchclub.ai because they don't know us yet.

What do you understand about your business that other companies in it just don't get?

Audio communication works best to maximise the results of self-learning teams. Text-based communication is too slow to build trust, and difficult to express emotions. Video delivers too much distracting information for learning (age and looks, for example). Audio helps to build trust with others and to deal with daily activities.

結果

応募から数週間経った頃、メールで YC の担当者から「顧客への課金状況」を尋ねる追加の質問がきました。正直うまくいっていなかったので、改善方針と共に返信しましたが、面接に進むこともなく不合格となりました。

その後も半年後には以下のようなメールが届きました。「君はトップ 10% の応募者だった。合格者の 40% は複数回の応募をしているので、再チャレンジしてほしい」という内容です。果たして本当にトップ 10% だったのかは疑わしいですが、YC が箸にも棒にもかからない応募者全員にこんなメールを送っているとも思いません(審査コストもかかるので)。

やはり日本人ボーナスが効いたのでしょうか。。

Screen Shot 2022-12-22 at 15.39.21.png

皆もしてみてほしい

せっかく Web 業界にいて、しかもエンジニアであるのであれば、スケールしやすいソフトウェアプロダクトを開発して、世界中に一気に広める試みをしてみるとどうでしょうか。その際に YC に応募することは特にオススメです。彼らの求めるプロセスで世界最高レベルと評される進め方の一端に触れることができますし、採択されれば本格的なプログラムに参加することができます。

サラリーマンと並行してやるのは中々大変ですが、YC に応募するよりも人生で重要度の高いイベントはあまりないと思います。最近は副業も流行っていますが、時給 5,000 円とかで誰でも作れそうなプロダクトを指示通りに作って、本当にあなたは幸せなのでしょうか。

エンジニアであれば、恐らく普通に暮らせるレベルの給与は本業で稼げていると思います。もし稼げていないのであれば、上司とガッツリと認識合わせをした上で本業に数年注力すれば稼げるようになると思います。そしてその段階になったあと、どうしたら自分の好奇心を満たして今しかできない楽しいチャレンジができるかを本気で考えるとーー、YC への応募は中々魅力的な選択肢になるのではないでしょうか。

もしこの記事をキッカケに YC に応募してユニコーン企業を作れた人がいたら、ぜひ連絡をください。美味しいお寿司でも奢ってほしいです。

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