3
1

Jupyter Notebookの.ipynbファイルを印刷プレビューと同じレイアウトでPDFに一括変換する方法

Posted at

はじめに

jupyter Notebookはデータサイエンスのプロジェクトや研究で頻繁に使用されるツールです。

このノートブックをPDFに変換する必要がある場面も多く、そのためのいくつかの方法が提案されています。

しかし、これらの方法にはそれぞれ課題があります。

この記事では、それらの方法と課題を概観し、新しい効率的な変換方法を紹介します。
特に、複数の.ipynbファイルを一括で変換する場合や、数式を含むノートブックを変換する場合に本記事の方法は役立ちます!!

これまでの変換方法とその課題

1. jupyter nbconvert コマンド

方法

nbconvertを使用して、Jupyter Notebookを直接PDFに変換します。
この方法は、.ipynb ファイルを中間の .tex ファイルに変換し、次にこの .tex ファイルをPDFに変換するという手順で動作します。

課題

  • LaTeXの依存
    この変換方法はLaTeXを介して行われるため、システムにLaTeXが正しくインストールされている必要があります。
  • パッケージの問題
    一部のLaTeXパッケージが不足しているか、または特定の設定が適切でない場合、変換中にエラーが発生することがあります。
  • レイアウトの崩壊
    日本語の場合、タイトルや日付などのレイアウトがずれてしまうことがあります

2. wkhtmltopdf

方法

wkhtmltopdfは、Webkitエンジンをベースにしたコマンドラインツールで、HTMLドキュメントをPDFに変換します。
このツールは、Webページのレンダリング能力を活用して高品質のPDFを生成することができます。

課題

  • JavaScriptの互換性
    MathJaxや他のJavaScriptベースのレンダリングツールとの互換性に問題があるため、 数式が正しくレンダリングされません

3. ブラウザの印刷機能

方法

ほとんどのモダンブラウザには、WebページをPDFとして保存するための印刷機能が組み込まれています。
この機能を利用すると、Jupyter Notebookをブラウザで開き、PDFとして保存することができます。

課題:

  • 操作性の悪さ
    複数のファイルをPDFに変換するときには、ipynbファイルを一つずつ開いて、一つずつ印刷プレビューして...というようにかなり面倒くさい作業になってしまいます。

本記事の方法: シェルスクリプトを活用した変換

本記事では、Jupyter Notebook.ipynbファイルをPDFに変換する新しい方法として、シェルスクリプトを使用した自動変換アプローチを提案します。
提案する方法は、いくつかのステップで構成されており、まずJupyter Notebook(.ipynbファイル)HTMLに変換し、次にHTMLPDFに変換します。

特徴

  1. 一括変換: 複数の.ipynbファイルを一度に変換することができます。
  2. ブラウザのヘッドレスモード: Google Chromeのヘッドレスモードを使用して、高品質なPDFを生成します。
  3. JavaScriptの完全なレンダリング: ブラウザのヘッドレスモードを使用することで、MathJaxなどのJavaScriptベースのツールによるレンダリングが完了するのを待ってからPDFを生成します。
  4. 環境構築の簡単さ: Latexを必要としないため簡単に再現できます。

環境構築

1. Jupyter Notebookのセットアップ

.ipynbファイルをhtmlに変換するためのツールをインストールするためにAnacondaが必要です。

インストール方法:

Anacondaの公式サイトから、Anacondaをインストールします。
詳細は省きます。

2. ライブラリのインストール

nbconvert

nbconvertは、Jupyter Notebookの内容を様々なフォーマットに変換するための便利なツールです。

役割

  • ipynbファイルを静的なフォーマット(例: HTML, LaTeX, PDF)に変換します。
  • グラフやコード、マークダウンなどを適切に整形して出力します。

インストール

conda install nbconvert

3. Google Chromeのインストール

Google Chromeの印刷機能が必要となるのでインストールします。

インストールしたGoogle ChromePathを控えておいてください。

Pathの例(MacOSで私の環境の場合)
/Applications/Google\ Chrome.app/Contents/MacOS/Google\ Chrome

ipynbをpdfに一括変換するシェルスクリプト

convert_to_pdf.sh
#!/bin/bash

# 引数が指定されていない場合はエラーメッセージを表示
if [ "$#" -ne 1 ]; then
    echo "Usage: $0 /path/to/your/directory"
    exit 1
fi

# 引数で指定されたディレクトリへ移動
cd "$1"

# すべての.ipynbファイルに対してループを実行し、.htmlに変換
for notebook in *.ipynb; do
    jupyter nbconvert --to html "$notebook"
done

# すべてのHTMLファイルに対してループを実行し、PDFに変換
for file in *.html; do
    # ファイル名から拡張子を除去
    filename=$(basename -- "$file")
    filename_noext="${filename%.*}"
    
    # Google Chromeのヘッドレスモードを使用してPDFに変換
    /Applications/Google\ Chrome.app/Contents/MacOS/Google\ Chrome --headless --disable-gpu --virtual-time-budget=5000 --print-to-pdf="$filename_noext".pdf "$file"
done

※注意点
上記のシェルスクリプトは、MacOSGoogle Chromeのデフォルトのインストール場所を前提としています。しかし、環境によってはGoogle Chromeのインストール場所が異なる場合があります。そのような場合は、シェルスクリプト内の最後から二行目にあるGoogle ChromePathを適切なPathに変更する必要があります。

使い方

1. シェルスクリプトの準備

上記のシェルスクリプトをconvert_to_pdf.shという名前で保存します。

2. 実行権限の付与

シェルスクリプトを実行可能にするために、次のコマンドを実行して実行権限を付与します。

chmod +x convert_to_pdf.sh

3. シェルスクリプトの実行

シェルスクリプトを実行して、指定したディレクトリ内の.ipynbファイルをPDFに変換します。

./convert_to_pdf.sh /path/to/your/directory

このコマンドを実行すると、指定したディレクトリ内のすべての.ipynbファイルが順番にHTMLに変換され、次にPDFに変換されます。

まとめ

Jupyter Notebook.ipynbファイルをPDFに変換するための新しい方法を紹介しました。従来の方法にはいくつかの課題がありましたが、本記事で紹介した方法を使用することで、これらの課題を効果的に解決することができます。
特に、複数の.ipynbファイルを一括で変換する場合や、数式を含むノートブックを変換する場合にこの方法は役立つでしょう!!
今後もデータサイエンスのプロジェクトや研究でJupyter Notebookを活用する方には、この変換方法が役立つことを期待しています。

3
1
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
3
1