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Flutter:Flavorを使ってビルドを切り替える(alpha, product)

Last updated at Posted at 2023-08-07

前置き

  • Flutterにおけるビルド種類分け、切り替えについての説明です。
  • Mac / windowsを対象としたデスクトップ向けのアプリケーションを想定しています。
  • C++ & Dartで構成されたアプリケーションです。
  • 開発環境はvscodeです。

Flutterのビルドの仕組み

androidのビルドの仕組みと似ています。
ビルドタイプ x flavorの掛け合わせになっています。

Flavorとは?

androidには、ビルドバリアントという仕組みが存在します。

そこでは、ビルドタイプ x product flavorの掛け合わせがビルドの種類をさし示します。
Flutter関連の記事は未確認ですが、Flutterもこの流れを組んでいる、と思われます。
androidで言えば、

  • debug
  • release

という2つのビルドタイプが存在し、それに加えて、product flavorが存在します。
仮に

  • alpha
  • beta
  • product

という3つの product flavorが存在する時、それの掛け合わせとなるため、

  • debugalpha
  • debugbeta
  • debugproduct
  • releasealpha
  • releasebeta
  • releaseproduct

という6つのビルドの種類ができる、ということになります。

Flavorを使った場合、どのようなビルドになるか?

Flutterのビルドタイプは、3つ存在します。

  • debug mode
  • profile mode
  • release mode

profile modeは、debug <-> releaseの間に位置するタイプです。
ある程度ソースコードのデバッグは可能ですが、より release modeに近い環境でデバッグするのを目的としているように思います。

つまり、これら既存の3種類 x flavorとの掛け合わせとなるわけです。
本記事では、flavor typeに、

  • alpha
  • product

という2種類のタイプを定義して、それらをどのように切り分けるのかを書いていきます。
イメージとしては下記の整理としています。

ビルドタイプ Flavor 備考
debug alpha
profile product 場合によってはalphaでもいいかな?
release product

掛け合わせの最大数としてはもっと定義はできますが、今回は必要最低限の種類として考えました。

実際にビルドを分けていく

方法は色々ありますが、dart-define-from-fileを使ってビルド分けするのが妥当だと思います。
こちらの記事が参考になりました。

dart-define-from-fileはどのように使うか

タイトルそのままなのですが、ビルドのタイプに応じて、設定ファイルを切り替える、というふうに使います。
なので、from-fileなわけですね。

用意するファイル

ビルドの設定ファイルは、jsonで用意します。
そしてそれをビルド時に、引数として与えることでビルドの切り替えを行います。

flutterProject_Root
├──flavor
│   ├── alpha.json
│   └── product.json
....

ファイル名は、flavor名にしておくと良いでしょう。

alpha.json
{
    "flavor": "alpha",
    "appName": "sample-alpha",
    "appIdSuffix": ".alpha"
}
product.json
{
    "flavor": "product",
    "appName": "sample",
    "appIdSuffix": ""
}

基本はこれだけです。

コマンドでは実際にどのようにビルドするのか

ビルド

flutter build macos --dart-define-from-file=flavor/alpha.json

実行

flutter run --dart-define-from-file=flavor/alpha.json

合わせて、--debug or --release などを追加すると、より明確にビルドができます。

debug時、launch.jsonでの書き方

vscodeでのデバッグを想定して書いています。
vscode環境で、デバッグ実行するとき、launch.jsonでデバッグしますが、その記載例です。

launch.json
{
  "version": "0.2.0",
  "configurations": [
    {
      // mac向けデバッグ
      "name": "(lldb) Launch",
      "type": "cppdbg",
      "request": "launch",
      "osx" : {
        "program":"${workspaceFolder}/build/macos/Build/Products/Debug/hogehoge.app",
        "MIMode": "lldb"
      },
        "args": [],
        "stopAtEntry": false,
        "cwd": "${workspaceFolder}",
        "environment": [],
        "externalConsole": false,
    },
    {
      // dart debug
      "name": "hogehoge",
      "request": "launch",
      "type": "dart",
      "flutterMode": "debug",
      "args": [
        "--dart-define-from-file=flavor/alpha.json"
      ],
      "windows": {
        "env": { "FLUTTER_FLAVOR" : "alpha" },
      }
    },
    {
      // profile dart debug
      "name": "hogehoge (profile mode)",
      "request": "launch",
      "type": "dart",
      "flutterMode": "profile",
      "args": [
        "--dart-define-from-file=flavor/alpha.json"
      ],
      "windows": {
        "env": { "FLUTTER_FLAVOR" : "product" },
      }
    },
    {
      // release flutter run
      "name": "hogehoge (release mode)",
      "request": "launch",
      "type": "dart",
      "flutterMode": "release",
      "args": [
        "--dart-define-from-file=flavor/product.json"
      ],
      "windows": {
        "env": { "FLUTTER_FLAVOR" : "product" },
      }
    }
  ]
}

このように記載します。
windows版についての定義をここで先に見せていますが、次の項でどうしてこのような書き方をしているのか説明します。

windows版についてのビルドの仕方

windows 版の場合は、一工夫、必要になっています。

launch.json
...
"windows": {
        "env": { "FLUTTER_FLAVOR" : "product" },
      }
...

どうしてこのような定義が必要なのでしょうか?
これは、私が作ったプロジェクトの都合ですが、今作っているプロジェクトが、
C++ & Dartで構成されたプロジェクトであるためです。

windowsにおけるC++のビルド

windowsにおけるC++の呼び出し方法については、割愛します。
下記記事など参考にされると良いと思います。

Flutter におけるC++のビルドは、Macではそこまで問題がありません。

Flutterにおけるnative層は、ffiを使って呼び出します。
これは、web版では動作しませんが、macos、windowsでは動作することが可能です。

ライブラリとして呼び出すわけですが、windows版の場合は、dllのPathなどを指定して、開く必要があります。

....
static late DynamicLibrary hogeLib;
hogeLib = Platform.isWindows
        ? DynamicLibrary.open(windowsDLLPath)
        : DynamicLibrary.process();
....

そのため、C++のnative層は、dartでビルドする前に、用意しておく必要がある分けです。

windowsにおけるdart-define-from-fileの落とし穴

C++の部分は、DLLとして用意することにしました。

  1. Cmakeにてvisual studioのプロジェクトを生成し
  2. それをビルド(DLL生成)
  3. dartの部分をビルドして、Flutterをビルド

ただ、この工程での問題は、
dart-define-from-fileを使ってビルドする時に与える、

launc.json
"args": [
        "--dart-define-from-file=flavor/alpha.json"
      ],

このargsを渡せないことにあります。
CMakeでのビルド時に、alpha.jsonで定義している

"flavor": "alpha",

の要素を渡したいわけですが、これがCMake側で認識することができないのです。
そこで、flavorという値を渡すことを諦めることにしました。

代わりに、

  1. ビルド時に環境変数FLUTTER_FLAVORの値を定義
  2. CMakeで環境変数をチェック
  3. CMakeで環境変数でAlphaが立っていたら、マクロFLAVOR_ALPHA定義
  4. C++側では、定義されているマクロによってビルドを分ける

という流れにすることにしました。

CMakeLists.txt
if ($ENV{FLUTTER_FLAVOR} MATCHES "alpha")
  target_compile_definitions(${BINARY_NAME} PRIVATE "FLAVOR_ALPHA")
endif ()
hoge.h
#ifdef FLAVOR_ALPHA
#else
#endif

こんな感じで場合分けします。

まとめ

alpha or productにおけるビルド種類の切り替えについて紹介しました。
windows版のビルドが若干めんどくさいですが、ここら辺がより簡単になると良いかな〜と思います。

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