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Pendoで分析を始める前に:データだけじゃない、大切なこと

Last updated at Posted at 2024-01-12

Pendoで分析をはじめる前に

データ分析の世界でよくある誤解についてお話しようと思います。そう、データがあれば何でも解決できるという神話です。
実際にはそう簡単じゃないんですよね。特に、開発しているアプリケーションを分析するときはさらに複雑です。

Pendoも例外ではありません。Pendoはアプリを利用するユーザーの利用データがとれるわけですが、魔法の杖ではなくデータが集まっただけでは、改善点が見えるわけではありません。

ただデータを集めるだけでは、アプリの真価は見えてきません。集めて何を深掘りしたいのか?
大事なのは、自分たちが作っているアプリを客観的に見て、誰が使っているのか、どういう価値を提供したいのかを深く理解し、それがどうビジネス成果につながるかを考えることです。

まずアプリについて3つ考えてみる

ざっくり主要な点だけをあげてみます。

「ペルソナ」

これは典型的なユーザーの特徴を細かく定義することで、そのニーズと好みに合ったアプリにしようという考え方です。
平たく言うと私たちのアプリって誰が使っているんだっけ?誰を対象に作っているんだっけ?人物像を理解しましょうという話です。
デザインシンキングでよく見るような、めちゃくちゃ落とし込んだ人物像を作る必要はないです。ここで大事なのは、具体的な人物像にこだわりすぎないことです。
どんな業界の人が使っているか、彼らの役職は何か、ITリテラシーは高いのか低いのかという点など。たとえば、医療業界向けのアプリなら、医師や看護師のニーズが重要ですし、IT業界向けなら、エンジニアやプロジェクトマネージャーの使い勝手がポイントになります。

アプリ内でのロールにも注目してみるといいかもしれません。たとえば、アプリの管理者はどんな機能を求めているのか、一般的な利用者はどんな体験を望んでいるのか、レビューをする人たちは何に注目しているのか。これらの異なる立場からの期待を理解することが、ペルソナを考える上で非常に重要です。

「主要フィーチャー(機能)」

アプリが提供している最大の価値って一体何なのか、そのためにどんな機能が備わっているのかを考えること。
でも、ここで大切なのは、ただ機能があるということではありません。大事なのは、その機能が実際に使われているかどうか。自分たちが重要だと思っている機能が、実際にユーザーに求められているかどうかを知ることです。

もしかしたら、注力している機能が実はあまり使われていないかもしれません。
そのため、先ほど定めたペルソナごとに、どの機能がどの程度使われているのか、ユーザーがどこに価値を感じているのかを見極めることが重要です。
つまり、アプリの機能がユーザーの目的達成にどう役立っているか、それがどうユーザーの満足度につながっているかを深く理解してみるのに考える必要があります。

最後に「KPI」:

PMの辞書的にはKPIとはアプリのパフォーマンスとユーザーエンゲージメントを測るための指標のこと。なんだかよくわかりません。
たとえば、「月間アクティブユーザー数」や「1回の訪問あたりの平均滞在時間」、「1週間の機能の利用回数」などがあります。
ショッピングアプリなら、「カートに追加された商品の数」や「購入完了率」が大事な指標ですよね。これらのKPIをしっかりと把握し、分析することで、アプリの改善点を見つけたり、ユーザー体験を向上させられます。
KPIは目標達成のためにも重要です。具体的かつ測定可能な数値に落とし込むことでチーム全体が共通の目標に向かって努力できるようになります。

Pendoだと何ができるの?

メタデータによるユーザーのセグメント化

これらのポイントを定めた上でPendoを活用すると、すごく効果的です。
Pendoにはユーザーを特定するためのメタデータを入れる機能があります。このメタデータとは、先ほど例に挙げたようなユーザーの役職やロールなどの情報です。ペルソナを定めることで、Pendo内でこれらのユーザーを特定しやすくなり、メタデータの設計について具体的な議論を行うことができるようになります。
どっからどの情報をもってこようか、どうやってPendoにいれようかという話ができます。データをいれることで特定のユーザーグループの行動が詳細に分析できるようになります。

セグメント

タグ付けによる機能分析

次に、主要機能の使用状況をPendoを通して追跡できます。
使用状況をPendoで分析するには、タグ付けという作業が必要なります。タグ付けとはPendoにアプリのことを教えてあげる作業です。

例:
https://app.example.com/login - こんなURLにアクセスしたらそれはログインページです
.submit#ringi - こんなCSSだったら稟議申請ボタンです

アプリの機能やページについてPendoに教えます。ただし、このタグ付け作業をアプリ内の機能やページに対して全部やろうと思うととても大変です。

これ、全部やる必要はないです。 上記で書いたような主要機能の利用状況から分析をはじめて、あとから範囲を広げていくと良いです。Pendoはユーザーの行動データをずっと取り続けています。
タグ付けとは、集めたデータを可視化するための作業です。Pendoは遡及的に定義を作れるので、あとからやっても大丈夫です。

ページのタグ付けと表示 – Pendoヘルプセンター

ページ

フィーチャーのタグ付けと表示 – Pendoヘルプセンター

機能
このタグ付けを行うことで、特定のペルソナがどの機能をどれくらい使っているのか、分析を行うことができるようになります。例えば、管理者ロールのユーザーが「ユーザー管理画面」をどれだけ頻繁に利用しているか、またその利用パターンを把握することが可能です。

例:

機能分析

機能分析

ユーザーにガイドを表示する

分析によって、想定よりも使用頻度が低い機能が見つかった場合、その原因を探るためにさらに深堀りが必要になります。それは単に認知度が低いのか、それともユーザーにとって満足度が低いのか。この疑問に答えるために、Pendoの「ガイド」機能を利用して、アプリ内に直接案内(ガイド)を表示し、機能の認知と誘導ができます。
先程のメタデータを使用して特定のペルソナに対してのみガイドを表示することも可能です。

ガイドサンプル集

ガイドの設定

ガイドだけではなく、アンケートやNPSを表示してユーザーの定性データを集めて今後の方針策定に活用することもできます。

NPS調査の設定 – Pendoヘルプセンター
アンケートを作成する

KPI測定

最後にKPIをPendoで計測する方法についてざっくり紹介します。

KPIの効果測定は会社によってそれぞれあるかと思いますが、私はGoogle社が開発した手法を推したいと思います。

HEARTフレームワークは、プロダクトのユーザー体験(UX)の質を測定するためにGoogleが開発した手法です。「HEART」という言葉は、以下の指標を表す頭文字をつなげたものになります。

ハピネス(Happiness):ユーザーの満足度を測るもので、多くの場合、アンケートやユーザーフィードバック、評価点を通じて測定されます。この指標では、プロダクトに対するユーザーの感情的な反応に焦点を当てます。

エンゲージメント(Engagement):ユーザーとプロダクトとのインタラクションのレベルと深さがどのように変わっていくかを測ります。この対象例としては、使用頻度や1回のセッションにおけるアクティビティの密度などがあります。

定着化(Adoption):新規ユーザーが新しいプロダクトや機能を定着化する割合を測ります。特定の機能を導入した後、何人のユーザーがその機能を使い始めたかを調べ、その機能が最初に与える印象や有用性を探ります。

リテンション(Retention):既存ユーザーがプロダクトを使い続ける割合を測ります。この指標によって、ユーザーにとってのそのプロダクトや機能の長期的な価値が明らかになることも少なくありません。

タスクの成功(Task Success):効率性(タスクの完了にかかった時間)、有効性(タスクが完了した割合)、エラー率など、ユーザー体験に関する比較的従来型の指標です。


これらの項目にPendoのレポートを落とし込んでみると以下のようなレポートが使えるのではないかと思います。

Goals ユーザーが実行する必要のある重要なタスク Signals 目標が達成されていることを示すユーザーアクション(タッチポイント)は何ですか? Metrics 測定可能な指標をアクショナブルシグナルに適用する - Pendoでどのように測定できるのか?
Happiness ●ユーザーは製品を使用することを喜んでる
(NPS測定)推奨者の増加
●アンケート調査結果 ●CSAT (Customer Satisfaction) → アンケート
●CES (Customer Effort Score) → アンケート
●NPS (Net Promoter Score) → NPS
●満足しているユーザーとそうでないユーザーの比較 →機能利用率の比較
Engagement ●プラットフォーム全体で機能Xの使用量の増加 ●サイト滞在時間と訪問時間 使用状況の傾向 ●訪問者ページとダッシュボードウィジェット→ユニーク訪問数、特定ページ/機能セクション
●新規ユーザーとリピーター→ 機能別リテンションレポート
●ページビュー→ページセクション、データエクスプローラダッシュボードウィジェット
ページ滞在時間→ ページ分析訪問者アカウントレポート
コンバージョン率 → ガイドコンバージョン
Adoption ●機能の採用を増やす
粘着性と成長をx増加させる
●全体的な機能の採用(Core event) 粘着性と成長 ●アクティブユーザー(毎日、毎週、毎月、粘着率) → Stickiness
●アプリ利用平均時間 → サイト滞在時間
Visitor & Accounts レポート
●機能採用率→ 機能を初回利用するまでの時間, 機能定着化ウィジット
Retention ●前月比で追加のx%ユーザーを維持する ●リテンション前月比の増減比較 ●Customer churn → データエクスプローラー
●NPS (Net Promoter Score) → NPS Survey
●User Retention Rate → Retention Report
Task Success ●「Aha!モーメント」の瞬間に到達する訪問者の増加
●各タスクの満足度
●価値実現までの時間を短縮
●初めて機能/ゴールを達成するまでの時間
●主要機能の採用、定着率
●タスクの成功率→ ガイドコンバージョン
●タスクの時間→パスレポート
●ユーザーエラー率 → トラックイベント追跡
●ガイドのA/Bテスト→ガイド対照グループ実験)
●A/Bテストの満足度→ Polls/Surveys
●タスク単位の満足度→ Polls/Surveys

ダッシュボードにまとめる:
ダッシュボード

まとめ

さて、いかがでしたか?
データ分析の旅を始める前に、目標設定の重要性をまとめたつもりです。
データだけを追いかけるのではなく、適切な課題設定から始めることで、見えてくるものが変わってくるかと思います。
データとの向き合い方一つで、得られる洞察は大きく変わります。

今回の学びを活かして、あなたのアプリやビジネスに新たな視点を加えてみてはいかがでしょうか?
データをただ見るのではなく、意味を見出し、成果に結びつけるための第一歩をPendoと一緒に歩んでみませんか?

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