― モバイルアーキテクト Udi Levin に聞く、グローバルのトレンドとPendoの技術的挑戦 ―
聞き手:
石田:2021年よりPendo Japanに入社し、プロフェッショナルサービスやテクニカルアカウントマネージャー(TAM)を兼任してきました。日々、企業のお客様と向き合いながら、プロダクトの導入支援や改善提案を行っています。
今回、日本に来日されたPendoのモバイルSDKアーキテクト、Udi Levin(ウディ・レヴィン) さんにインタビューする機会をいただきました。
Udiさんはイスラエルオフィスに所属し、モバイルSDKのみならず、Pendoのモバイル機能全体の設計・開発をリードされています。
グローバルでのモバイル開発トレンドや、Pendoが現在取り組んでいる注目機能について、いろいろと話を聞いてきました。
石田:グローバルではモバイルの開発環境はどのように変わってきていますか?
Udi:AppleのSwift UIやGoogleのJetpack Composeなど、宣言型のフレームワークが登場したのが大きな変化ですね。それに加えて、 Unified Platform(統合型プラットフォーム) の採用が急速に進んでいます。React Nativeに始まり、最近ではFlutterを採用する企業が増えています。
従来はAndroidとiOSで別々のチームが必要でしたが、Flutterであればひとつのコードベースで両OSに最適化できます。チーム構成の効率化やエンジニアの採用難の回避、運営コストの削減にもつながるので、非常に魅力的です。
石田:React NativeよりもFlutterのほうが採用が進んでいるんですね?
Udi:React NativeはJavaScriptやTypeScriptが分かれば開発できますが、結局は各OS向けに最適化しないといけません。その点Flutterは最初からOSに最適なコードが生成されるので、各OSの特徴を深く知らなくても良質なアプリが作れるのが強みです。
石田:統合型フレームワークの採用は今後さらに加速しそうですね。
Udi:もちろん増えていくと思いますが、最終的には会社の体制やプロダクト戦略次第ですね。ただ、どのフレームワークを使ってもPendoが動作することが何より重要なんです。
Udi:我々は、各フレームワークの仕組みを深く理解したうえで、対応開発を行っています。言ってしまえば各フレームワークをリバースエンジニアリングしています 笑。最近は各フレームワークのリリースサイクルが早くて追いつくのが大変ですが、どのアプリでもSDKを入れるだけで分析ができる状態を保ち続けるのが我々の役割です。
補足:Pendoは、UIKit、SwiftUI、Android View、Jetpack Compose、React Native、Flutter、MAUI(旧Xamarin Forms)など、主要なモバイルフレームワークに対応しています。
石田:それは本当に大変ですね…。でも、どの環境でも動くというのはPendoの大きな強みですね。
ちなみにスマホ以外のアプリ開発事情はどうでしょう?最近話題の車載アプリなどへの対応予定はありますか?
Udi:EV化の流れで車もアプリのひとつになってきています。僕自身もEVを運転しているので、アプリの多様性は実感しています。
常にトレンドはウォッチしていますが、お客様からの明確なニーズが少ないのが現状です。スマホと違って、車載アプリは常に起動しているわけではなく、運転に集中する必要もあります。アプリ開発者としても、運転の妨げになるようなUXは提供しませんよね。自動運転が一般化すれば、また違った世界が見えるかもしれません。
ただし、いわゆる「コネクテッドアプリ」にはすでにPendoが活用されている例もあります。たとえば、スマートフォンから自宅のデバイスや車両の状態を確認したり、リモートで設定変更したりするようなアプリです。こうしたユーザーが操作するフロントエンド部分には、Pendoのガイド表示やデータ分析機能が非常に有効で、お客様からの関心も高い分野です。
石田:なるほど。やはりまだまだスマホが主戦場なんですね。
最近注力しているPendoのモバイル機能にはどんなものがありますか?
Udi:今はモバイル版のセッションリプレイ機能の開発に力を入れています。ウェブ版ではすでに提供している機能ですが、今後はモバイルアプリでもユーザーの操作を後から“再生”して確認できるようになります。
これは動画を録画するのではなく、UIの構成要素や属性情報を取得し、HTMLベースでウェブ画面上に再現する仕組みです。
石田:UX改善にとても役立ちそうですね! 他にも新しく取り組んでいる機能はありますか?
Udi:もうひとつはプッシュ通知機能です。これまではアプリを開いてもらわないとガイドを見せることができませんでしたが、今後はアプリの外にいるユーザーにも通知を送り、エンゲージができるようになります。通知から特定のガイドを開くという機能も開発検討しています。
これにより、通知 → ガイド表示 → アクションにつなげるというユーザージャーニーの設計が実現できます。
石田:Pendoはどこに向かっているのでしょうか?
Udi:我々はPendoを単なるDAP(Digital Adoption Platform)ではなく、SXM(Software Experience Management)プラットフォームを提唱しています。ただガイドを表示するだけではなく、ユーザー体験全体を可視化・分析・最適化するための機能を提供することがゴールです。
石田:セッションリプレイやプッシュ通知によるユーザージャーニー設計、非常に楽しみです。
本日はありがとうございました!
後日一緒にラーメンを食べにいきました。とても美味しかったのでおすすめです。Usagi
Pendoとは?
Pendoは、プロダクトチーム向けのSaaS型プロダクトアナリティクス&ガイドプラットフォームです。アプリ内でのユーザー行動を自動で収集・可視化し、そのデータをもとにノーコード/ローコードでガイドを作成・配信することができます。
SDKをアプリに組み込むだけで、開発なしに以下のような機能が実現できます:
• ユーザーの行動分析(ページ遷移、ボタンのクリック、イベント発火など)
• セグメント別のエンゲージメント施策
• アプリ内ガイド/ツールチップ/アナウンスの表示
• フィードバック収集と分析
• (近日提供予定の)モバイルSession Replayやプッシュ通知機能
Pendoは、ウェブアプリだけでなく、iOS / Android のネイティブアプリやクロスプラットフォーム開発(React Native、Flutter、MAUIなど) にも対応しており、どの開発環境でもすぐに導入・運用できるのが最大の強みです。
プロダクトを"もっと使ってもらう"、"もっと改善する"、そんな企業の成長に欠かせないプロダクト体験の最適化を、Pendoは支援しています。