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海外カンファレンスの翻訳から得た、翻訳のポイント

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2017/01/23(月)に開催される #1Creators Learning English Meetup ~2017年、今年こそ英語!~ で発表する内容の日本語版です。発表およびスライドは全編英語になりますが、この記事の内容に準拠しています。

最近あるプログラミング言語のカンファレンスのトランスクリプトの翻訳を行っていて、感じたことや、ポイントみたいなものをお話できればと思います。

自己紹介

(略:発表スライドを見てください)

今日お話すること

  • 技術記事の翻訳に必要なこと
  • トランスクリプトの翻訳
  • 翻訳するときのポイント
  • 辞書に載っていない表現
  • まとめ:翻訳していて楽しいこと

技術記事の翻訳に必要な知識

技術記事の構成要素 = 技術のお話が、英語で書かれている ≒ 学術論文

  • 技術に関する知識 … その分野の専門用語 (technical term) がわかること 辞書なしでその記事を読むには、その分野のバックグラウンドがあることが前提です。日本語で読んでもわからないものを英語で読んだってわからないことの方が多いはずです。

例えば、buildという簡単な単語1語にしても、プログラミングをやっている人からするとプログラムを書いたり実行することになるだろうし、建築業界の人からすると、建物を立てることになりますよね。

※もちろん日本語訳されたものを読んでわからないものは、原文にあたった方が理解が及ぶ場合があります。個人的にはそういう場合は、専門用語を無理やり日本語に訳してしまっていることが多いと思います。プログラミングで出てくる専門用語は日本語で普及していないものの方が多いので、英語のまま記載するか、カタカナ英語に置き換えることはよくやっています。

  • 英語に関する知識 … 高校レベルの英語が読めること

基本的には具体的な内容で書かれているので読みやすく、読むための文法事項が理解できていれば難しくありません。大学入試のような抽象度の高い英文は基本的には情報を取り扱うということが主眼に置かれている記事になりません。
もし英語を読むための知識が足りない、忘れたということであれば、家にホコリ被って眠っている文法書(リファレンス)を読みましょう。

トランスクリプトの翻訳

トランスクリプト = 文字起こし

  • 書き言葉ではなく、話し言葉
    書き言葉であれば、文章構成がしっかりしていてロジカルにかかれていることが多いですが、トランスクリプトの場合はロジカルではないことの方が多いです。

  • そんなにロジカルにかかれていない
    ロジカルな文章の場合は段落構成、文章構造(特に接続詞など)を意識して読みますが、トランスクリプトの場合は、話し言葉なので、英文自体はそんなにロジカルではなかったりします。特定の単語を無視してしまっても意味が取れるものが多く、ひどいものだと囚われてしまうと適切に訳せなくなる場合もあります。

翻訳するときのポイント

英文は左から右へ読む

英語でも日本語でも、書き言葉でも話し言葉でも何でもそうですが、文章は前から読んでいきます。出て来る単語をつまみ食いせずに、文を読みます。英語で何書いているか理解する → 日本語で書く際のプロセスで結果的に並び替えた方が意味がつかみやすいことは多々ありますが、英語を読む時点でそれをやると余計に混乱します。

前後の文脈を考慮する

英語から日本語に訳すとき、どうしてもギャップが生じます。訳してみて意味が通らないときは、前後の文脈から捉えます。
個人的な見解ですが、辞書は英語を日本語に訳すためのツールではなく、英語を日本語で理解するためのツールだと思っています。英語も日本語も、単語の意味は文脈に応じて変わります。
また、大学入試ではないので、この構文を習った通りに訳さなくてはいけない、といったことは全くなく、読み手に正しい意味が伝わる、伝わりやすいことの方が重要です。

読んでもわからないものに出会ったとき

前後の文脈から読んでもわからなかったとき、現代ではググることが許されています。例えば、こんなものです。

  • drink the kool-aid

Lately I’ve been drinking the functional programming kool-aid big time.

kool-aidってなんだろうって思いますよね。飲むぐらいなので飲み物なんでしょう。わからないのでググってみるとWikipediaというページがでてきますね。

説明によると、kool-aidというのは毒の入った飲み物のようですね。この飲み物を飲めと言われると飲んでしまうぐらい、周りから見ると狂ったように信奉していたことのようです。これが転じて、狂ったように何かを信じている、という意味になっているようですね。

なので、

Lately I’ve been drinking the functional programming kool-aid big time.

最近は、関数プログラミングがかなりいいものだと思ってしまっています。
ぐらいに訳すのがよさそうです。この文章の前後の文脈は関数プログラミングに対して肯定的にとらえていることから、関数プログラミングがかなりいいものだと思っていることには違いないのですが、しゃべっている本人もどこか否定的に思っているのかもしれませんね🤔

このプロセスを踏まないで、Google翻訳にかけても、意味は理解できません。

まとめ:翻訳していて楽しいこと

  • 読めば読むほど早く読める、訳せるようになる

初めて翻訳したとき、30分程度の講演のトランスクリプトを訳すのに5時間程かかっていましたが、記事によって違いはあるものの、今では3時間程で終わらせられるようになりました。

  • 英語で情報収集できる

情報の発信源が英語の場合、日本語になって出てくるには、僕のように誰かが翻訳するものを待つことになります。技術の移り変わりが激しいこの業界で、翻訳を待っていては、最新の情報を取り逃がすことになります。

  • スピーカーとの話題になる

講演の書き起こしなので、直接会ったときや、Twitterなんかで翻訳したことを報告できます。翻訳されてネガティブなコメントをもらったことは今のところ無いので、どんどん報告するようにしています。これもまたモチベーションになります。

英語のスキルアップ、というと会話に主眼が置かれがちですが、書いてある英語から情報のキャッチアップができるというのも重要なスキルだと思っています。
ぜひ今年こそは英語のスキルアップに励んでいきましょう!

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