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日立グループ OSSAdvent Calendar 2019

Day 17

2019年にOSS界隈で話題になったニュース10選~日立社内SNSより~

Last updated at Posted at 2019-12-16

この記事は、日立グループ OSS Advent Calendar 2019 の17日目の記事になります。

はじめに

こんにちは。日立グループの社内SNSで「OSS全般情報共有部屋」というグループを運営している森下と申します。本業はOSS利活用グループという部門でOSS全般に関するお仕事をしています(2019年現在)。
今回は2019年の終わりということで、この1年OSS界隈で話題になった出来事を10選としてまとめてみました。せっかく社内SNSで情報共有しているしアウトプットしてみよう!というモチベーションで、グループにUPされた話題を基にして10個のニュースを選びました。有名な話題から、少しコアな内容まで幅広く選んでみたつもりです。最後の方には番外編もあります。
それではお楽しみください!

前提

  • 対象はOSS全般のニュースに限ります。
  • 個々のOSS内で盛り上がった話題ではなく、OSS界隈全体で盛り上がった話題が選択対象です。

それでは行ってみましょう~!

注意書き

今回取り上げるニュース/出来事の中には法的な事案も一部含まれます。各事案を紹介することは、当事者の立場を肯定および否定することを意図しておらず、あくまで多くの議論を呼んだ"事実(fact)"の紹介として取り上げておりますので、その点ご承知おきください。

[3月] アラートループ事件に対する抗議プロジェクト

<概要>
アラートループ事件」に対する抗議活動として @hamukazu さんにより「Lets-get-arrested project(みんなで逮捕されようプロジェクト)」というGitHubプロジェクトが作成されました。本プロジェクトは瞬く間に世界中へと広がり、GitHubトレンドの上位に入り込むなど話題となりました。世界中のエンジニアから寄せられているIssueは必見です。

[4月] Googleが大手クラウドに不満を表明していたOSSベンダと戦略的提携

<概要>
2018年頃からDB関連のOSSプロジェクトにおいて、クラウドベンダによるいわゆる"タダ乗り"を制限するためのライセンス変更が相次ぎました。クラウド時代のOSSの在り方として、業界内でもさまざまな議論を呼んでいましたが、この流れを受けたGoogleはこれらOSSベンダと戦略的提携を発表。一連の反発に対するGoogleとしてのこの回答はIT業界全体としても大きな注目を浴びました。

[4月] 中国発、オープンソースを用いた「反996」運動

<概要>
午前9時から午後9時まで週6日働く「996」の勤務が中国のIT業界で常態化していることに対して声を上げた運動。この取り組みとして始まったGitHubリポジトリ「996.ICU」のStar数はTensorflowやReact等のそれを超えてリポジトリ全体で2位(2019年12月現在)となっています。ちなみに名称の由来は「996の労働を続けているとICU(集中治療室)に送られかねない」から来ています。

[4月] エストニアのデジタル国家ソリューションの全ソースコードが公開へ

<概要>
データの再利用を進めるEUでは電子政府で使用するソースコードを公開している事例がありますが、総合的な電子政府コードリポジトリ(電子政府ソースコードの再利用サービス)を提供するのはエストニアがおそらく世界的に初で、一般的な電子政府が最終局面に入ってきたことを意味するだろうと言われています。エストニアは世界初のオンライン選挙を実施するなどデジタル推進国の一つであり、日本も参考にすべき部分が多くあるのではと思われます。

[5月] GitHub Sponsors リリース

<概要>
2019年から新たにGitHubで始まった開発者支援プログラム。これまでにも開発者向けの金銭的支援の仕組みは存在しましたが、GitHubというOSS開発の中核プラットフォームで同様の機能がリリースされたことで大きく報じられました。OSSプロジェクトの持続可能性が叫ばれる今日において、今後重要な役割を果たすだろうと各所で話題となったニュースでした。

[5月] Red Hat が20年ぶりにロゴを変更

<概要>
OSSで最も成功している企業と言っても過言ではないRed Hatですが、実に20年ぶりにロゴの変更が行われました。同社の象徴的なロゴであった「Shadowman」ですが、2017年初頭の調査で、人々に“Sinister(不吉)”、“Secretive(秘密主義)”、“Evil(悪)”、“Sneaky(コソコソしている)”というイメージを持たれていることが判明。これを受け、今回の変更を行ったとのことです。

[5月] WSL(Windows Subsystem for Linux)2 発表

<概要>
MicrosoftがBuild2019でWSLの強化版「WSL2」を発表。WSL1はLinuxカーネルを含まない(エミュレーターで動作する)アーキテクチャになっておりましたが、WSL2から専用パッチを当てたLinuxカーネルによる本物のLinux実行環境が利用できるようになり、これまで正しく動作できなかったコンテナシステム(Dockerなど)も動作させることができるようになります。Linuxに批判的だったMicrosoftが、とうとう本物のLinuxカーネルを入れるところまで来たというのが、OSS界隈として大きな話題を呼びました。

[8月] 趣味で作ったソフトウェアが海外企業に買われるまでの話

<概要>
@knqyf263 さんが趣味で作成したOSS「Trivy」がイスラエル発のスタートアップであるAqua Security Software Ltd.に買収されたという出来事。OSSの売却という大変珍しい出来事で話題となりました。本人はその後Aqua社の従業員となりTrivyの開発も続けているそうで、OSS開発者の新たなキャリアパスを提示するという意味でも大きな話題となりました。

[9月] リチャードストールマンがMITとFSFの役職を辞任

<概要>
GNUプロジェクトやフリーソフトウェア財団(FSF)の創設者でフリーソフトウェア活動に貢献してきたリチャード・ストールマン氏がFSFの代表およびマサチューセッツ工科大学人工知能研究所(MIT CSAIL)の職位を辞任しました。詳細の説明は長くなるため割愛しますが、フリーソフトウェア運動の創始者であるストールマン氏のFSF代表辞任はOSS界隈においても大変大きなニュースとなりました。

[10月] GNOME、パテントトロールからの特許侵害の主張に全面的に対抗

<概要>
GNOME Foundation は Rothschild Patent Imaging, LLCという会社から画像管理ツールの特許侵害で提訴されていました。本件はOSSプロジェクトとして初のパテントトロール案件とのことで、GNOMEは金銭的な解決ではなく、裁判で戦うことを選択しました。GNOMEいわく、「すべてのフリーソフトウェア・オープンソースソフトウェアプロジェクトのため戦うことを決めた」とのことで、今後の業界全体を考えた英断と言えそうです。

番外編(できれば10選入りさせたかった話題)

ここまでが今回選ばせていただいた10選になりますが、他にもたくさんのOSS関係のニュースがありましたので、番外編としていくつか載せておきます。色々ありましたねぇ。

まとめ

皆さんが期待したOSSニュースはありましたでしょうか?
他にも、こんな出来事も盛り上がってたよ~等ありましたらコメントいただけると嬉しいです。
それではまた、来年もOSS界隈の盛り上がりに期待しましょう!
#来年も多分書く!

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