ありがたい事に著者の @minorun365 さんに献本頂きましたので、
「Amazon Bedrock 生成AIアプリ開発入門」の特徴を見ていきたいと思います。
想定される読者
どれぐらいの知識があれば内容についていけるのか?という部分ですが、「AWSアカウントを作成する」というところから説明されているので、AWSのレベルでいうとゼロから始めて、最終的には200~300ぐらいの内容まで踏み込んでいきます。
コマンドやプログラムも全て記載されているので、「クラウドもLLMを触ったことが無い」という非技術者の方やレガシー寄りの方でも、本書一冊とブラウザがあれば、チャット・RAG・AIエージェントの各アプリ作成まで到達し、世の中の「LLMを使ったアプリケーション開発」の分野を一気にキャッチアップする事ができそうです。
少なくとも界隈の議論のかなりの部分が理解できるようになると思うので、AWSを使う予定じゃない方でもLLM界隈のキャッチアップ用に使うのも手だと思います。
P.5 にサンプルコードを公開されているGitHubリポジトリのURLが記載されているので、流し読み癖のある人は気を付けましょう(これを見落としてしまうと体験がだいぶ変わる)
前提知識や用語の説明が丁寧
生成AI界隈は(に限らずですが)、界隈では当たり前になっている用語が説明なしで登場して、特に初学者にとっては何が何だか分からない状況に陥る事があると思います。
生成AI、LLM、トークン、埋め込み、RAG、エージェント…
本書はこのあたりの説明が丁寧なのと、頻出ワードは一通りカバーしている印象なので、開発者以外の方にとっても基礎知識学習の教材になると思います。ググっても意外とドンピシャの情報って出てこないんですよね。
情報の鮮度
以下のような新しいどころをビックリするぐらいカバーしています。
特にこの3~5月はBedrock関連のリリースラッシュだったので、よくここまでカバーされたなとちょっと驚きです。
- LCEL記法
- langchain-aws
- GW頃にリリースされたモデル(Command R+、Titan Text Embeddings v2)、5月下旬にリリースされた Mistral Small
- 5月末にリリースしたConverse API
等等
数か月でも目を離すと情報が古くなっていくこの分野ですが、いまリリースが少し落ち着いているのでタイミングとしてはちょうど良さそうです。
情報の幅
実際にLLM or Bedrockに触れている方でも、実際に直面しなければ「聞いたことはあるけど後回し」にしている情報が色々あると思います。
- Claude以外のモデル
- トークン数のカウント
- LangChain以外のフレームワーク(Dify等)
- Pinecorn
- StepFunctionsを使ったノーコード構成
- 最近追加されたBedrockの新機能諸々
- Amazon Q ほげほげ
等等
かなり広めにカバーされており、普段Bedrockで開発されている方でも新しい知識を得る事が出来ると思います。
まとめ
APIレベル・プログラムレベルで操作する事で理解が深まりますので、LLMを分かっているようで理解が曖昧な方、AWSは使っているけどBedrockは使った事が無い方、には特におすすめです。
以下のページの試し読みで目次が全部見えるので見てみてください。