本番用のSAN環境で使用しているデータをディザスタリカバリ用SAN環境へのレプリケーションをしたい、というケースで今回の投稿をしていきたい。
いつも投稿の際の冒頭の導入の書き出しについては悩みつつも、いきなり脈絡のない始め方をするので、そこはご容赦いただきたい。
目次
- SAN環境間レプリケーションで使われるプロトコル
- SAN環境のデータはどうやってIPネットワークで運ばれるのか
SAN環境間レプリケーションで使われるプロトコル
本番サイトとは別の、ディザスタリカバリ用のサイトを設置してそこでレプリケーション関係を構築する場合において、推奨される具体的な距離は一般的に100km以上だと言われている。
日本国内のケースを見ていくと、本社機能をどこの都道府県にあるのかで話は変わっていくが、本番サイトを東京に置いて、ディザスタリカバリ用サイトは200kmほど離れた大阪に置く、という企業さんが非常に多い印象がある。
SAN環境で長距離の通信を実現するプロトコルとしてFC(Fibre Channel)が存在する。距離だけでなく非常に高速である、という側面もあるのだが最大伝送距離が10km程度のためディザスタリカバリ用としてのデータ転送としてはやはり距離が足りなすぎる。
そのためSAN環境同士で100km以上の距離でデータ転送を行なう際はIPネットワークを介した形でデータ転送を行なう。具体的なプロトコルとしてはFC over IPやiSCSIなどが挙げられる。
SAN環境のデータはどうやってIPネットワークで運ばれるのか
ではそのFC over IPやiSCSIではどのような仕様でデータ転送が行なわれているのか。1つずつ見ていく。
●FC over IP
地理的に分散しているSAN環境を既存IPネットワークで相互接続するためのプロトコルである。FCのブロックデータをIPインフラ構造で転送する際にはメインの選択肢となる。
簡単な仕組みとしては、各FC環境でFCIPゲートウェイが使われて、そのゲートウェイをIPネットワークの一端として通信が行なわれる考え方である。
そしてFCフレームをIPパケットにカプセル化してそのゲートウェイ間をIPネットワーク経由での転送、という流れである。
まず送信したいデータが含んだFCフレームを、IPヘッダーやTCPヘッダーとともに構成の中に入れていく。
FCフレームが格納されたIPパケットは一端からIPネットワーク上で送信されてもう一端の受信側まで届く。届いたデータは受信側でデカプセル化することによってFCフレームが復元される。
●iSCSI
IPネットワーク上でのデータ転送ではかなりの頻度で利用されるiSCSIも、長距離でのSAN環境間という要素が含んだ形でも使うことができる。
仕組みとしてはFC over IPとほとんど似通っていて、こちらもデータをカプセル化してTCP/IPパケットに入れて送信される。
各SAN環境の一端にはルーターを設置すればゲートウェイなどは不要である。
FC over IPと違ってデータをFCフレームに格納する必要はなく、SCSIコマンドとともにそのままパケットにカプセル化されての送信となる。
受信側でこちらもデカプセル化が行なわれて、データとSCSIコマンドの復元がされる。
iSCSIについては、より詳細な仕組みとしてプロトコルデータユニットがあるのだが、このお話についてはいつかのテーマとして投稿ができたらと思っている。
といったように、どちらもパケットにカプセル化というキーワードを伴った形でのデータ転送となる。用途としてはまさに長距離でSAN接続するために特化されたFC over IPの方がパフォーマンスが良いとされている。
ひとりごと
ここ数日の間で関東地方は桜の満開を迎えるとのこと。とうとう春の到来だ。
多くの大学が乱立している地区に自宅を構えていることもあり、3月中は卒業式に出席する学生の姿をイヤというほど目にする。
彼らがまた4月から社会人としての生活が始めていく、と考えるとまた年下が増えるんだなという気持ちにさせられる。
そろそろ老害に足の指を踏み入れるような年齢になってきたので、そこは自覚的に日常を過ごしていければと思う。