前回の投稿では、コンピュータ機器内での使われるプロトコルの話をした。今回は機器間で使われるプロトコルについて興味を持ってしまった。
ネットワーク機器を使わずにサーバとストレージを直接接続するDAS方式で使われるプロトコルに関して記述していきたい。
目次
- DAS方式で使われるプロトコル
- 「ストレージをDAS方式でFCを使ってアクセスしたい」
- DAS方式でFCによるアクセスがNGだった理由
DAS方式で使われるプロトコル
DAS方式のストレージ接続はサーバとの直接接続のため、真っ先に挙げられるメリットとして、コストの安さと設定のシンプルさがある。
その分、ネットワーク構築が必要な規模の大きな環境での利用は瞬間的に選択肢から外れるので、基本的に個人での利用、多くても3,4人での利用でチョイスされる選択肢だろう。
DAS方式はサーバとストレージを1:1での利用に限る。ストレージ側のフロントエンドポートに空きがあれば物理的に複数台のサーバ(ホスト)とケーブルをつなぐことはできるが、1台のサーバがストレージを占有する仕様なので複数台で同時にストレージへアクセスすることは不可となっている(だからこそSAN方式という選択肢が用意されている)。
そしてDAS方式では基本的にブロックアクセス形式でのデータの読み書きとなる。方式上でファイル共有として使われることがないためである。
ただファイルアクセスは可能だ。アクセスするホスト(サーバ)側でファイルシステムを管理できるのであれば、ストレージの容量領域へのマウントという形で実現できる。
「ストレージをDAS方式でFCを使ってアクセスしたい」
そしてDAS方式で使われる通信プロトコルとして代表的なものSAS、SATAがまずは挙げられる。
ネットワーク接続においてはほぼ利用されない両者だが、機器とのケーブルによる直接接続ではよく見かける。
これらのプロトコルはサーバとストレージ間のDAS方式接続だけでなく、例えばノードが冗長化されているストレージであれば筐体内のノード間の接続でSASケーブルが利用されることがあり、また同じストレージでは大容量構成におけるストレージ本体と容量拡張用機器の複数台で構成となった場合は、このストレージ機器間との接続でもSASケーブルを利用されているユーザさんは多いのではないだろうか。
ただ、昨年に業務の中でお客さんから「サーバとストレージをFCプロトコルでDAS接続したい」というリクエストを受けた。
FC(Fibre Channel)、またはiSCSIもそれに含まれるのだが、これらのプロトコルは基本的にSAN環境で使われるネットワーク型プロトコルである。DAS方式で接続するには転送速度などの性能が良すぎるきらいがある。
具体的で詳細な理由はなかったが、FCでDASをつながなければいけない事情があるはずなので、そのような構成を組むように着手をしたところ、個人的には驚きの仕様が判明した。
「FCプロトコルを使ってホストとストレージへの直接接続はできません。」
DAS方式でFCによるアクセスがNGだった理由
このリクエストをされたお客さんはNetApp製ストレージの提案を求められたのだが、ただNetAppのストレージOS、ONTAPでの仕様ではFCプロトコルによるDAS方式接続はそもそもサポートされていなかった。
その理由が上記の公式に記載されていた。
NPIV(N_Port ID Virtualization)という、FCで使う1つの物理ポートを複数の論理ポートとして共有できる機能がある。いわゆるFCタイプの仮想ポートである。NetAppのOS、ONTAPではそのNPIVを採用している。
このNPIVはONTAPの仕様上、FCスイッチを介した接続を大前提として開発されてきた。だからDAS方式をサポートしていないのだ。これはストレージ側もそうであるし、NPIVを直接的に認識するようなHBAを持ったサーバ機器が存在しない、という双方向のサポートが無さが最大の要因となっている。
このような要望はめったに遭遇しない案件ではあったが、DAS方式接続の特徴を如実に表されるようなエピソードだったので今回の投稿とさせていただいた。
ひとりごと
自宅のある集合住宅の隣が空き地だったのだが、先月から戸建ての工事が始まった。
平日の日中はドリルの削る音らしくもので耳が痛く、在宅での業務にちょっとした支障をきたしている。
正直、勘弁してほしいとは思っているが建設会社や住宅所有者には罪はなく、ただただ運が悪かったと思うしかない。
いつの日か、奇跡的に自分が新築の住宅を購入する日がきたら同じように近隣の厄介になるので、そのトレードだと思うことにする。