今回はデザインスプリントのやり方というよりも「ファシリテーターの心得」的なおさえておくべき注意点についてまとめました。
デザインスプリント自体いまいちよく分からないという方はまずはこちらをご覧ください。THE DESIGN SPRINT(和訳)
1. 進行台本を作っておく
台本には次のことを書いておきましょう。
- 予定時刻
- 何時何分から何時何分までにどのフェーズを行うべきか時刻を明記する。
- 時間配分
- 各フェーズが何分間割り当てられているかひと目で分かるように。
- タイマーをセットするときに役に立つ。
- 何らかの原因で進行状況が予定とずれた際にはこの時間配分に基づいて進めることになる。
- フェーズ名
- 何をする時間なのか端的に伝わるフェーズ名をつける。
- 詳細内容
- 具体的に内容を詳しく書き出す。
- 手書きorPC、無言or議論、1人orチーム、など、使うものや作業人数やその他作業内容を全て挙げる。
- 情報共有やディスカッションのフェーズなら、扱うべき項目やどんなことを話すべきかなど扱うこと伝えることを全て挙げる。
- 目的・意義
- 「次のフェーズでアイデアをスケッチするために、このフェーズでは思い浮かんだキーワードをマインドマップにしましょう」など、なぜそのフェーズ/作業が必要なのか完結に説明できるようにメモしておく。
その他、スプリントに関わることは台本のしかるべき箇所に書き加えておきましょう。
2. 会場と備品の確認
スプリント中に疑問点や不明点があればメンバーはまず最初にファシリテーターに質問するはずです。次のことは把握しておきましょう。特に、外部から参加しているメンバーがいる場合は簡単なことでも質問されるので注意深く確認しましょう。
- キッチン/コーヒーメーカーの場所・使い方
- トイレの場所
- 喫煙所の場所
- ホワイトボードとペンとイレイザー
- 紙とペン
- ポストイット
- テープ
- タイマー
たとえ会場担当者がいる場合でも備品を確認して気づいたことはただちに会場担当者へ対応を依頼してください。ホワイトボードのイレイザーが他のミーティングルームへ出張しているのはよくあることです。
3. 常にゴールを意識する
このスプリントで達成したいことを常に明確に意識しましょう。プロトタイピングしてユーザーインタビューを行うのがゴールであれば、より良いものを作るために唯一のベストなアイデアを探し出すというアプローチは正しくありません。決められた時間のなかでベターなアイデアをプロトタイピングしてユーザーの反応を観察しましょう、それで問題があれば次のスプリントに生かせばいいのです。そしてメンバーにもそれを必要に応じて明確に伝えましょう。
4. フェーズごとに目的と内容を伝える
フェーズを始めるときには、この時間は「何をすべきか」「何をすべきでないか」「どんな目的や意味があるのか」「以降のフェーズにどうつながるのか」を明確にチームに説明しましょう。それがないとメンバーはそのフェーズの目的や作業内容など正しいことに集中できなくなります。
5. すぐに軌道修正できるように常に目を配る
次のフェーズでやることまで始めてしまうメンバーには「それは次のフェーズでやるから大丈夫。今はこの作業に集中しよう」と伝えて本来の作業に戻してあげましょう。そのためには、あなたは常にメンバーの一人ひとりが何をしているのか注意して観察していなくてはなりません。タイマーのアラートが鳴るまで部屋の隅でFacebookを眺めているのではダメなのです。
6. 時間通り進める
メンバーは作業に集中しているのであなたが時間をマネージメントしてあげる必要があります。フェーズの半分、終了10分前、5分前、3分前、2分前、1分前など、必要なタイミングでコールして時間に気づかせてあげましょう。タイマーをみんなから見やすく大きく表示しておくのもその助けになるはずです。そして、時間をコールするだけではなく議論を進めて時間内に結論を出すよう巧みにみんなのディスカッションを導く役目も果たしてください。ファシリテーターはただのタイムキーパーではありません。
7. 客観的に質問し情報を引き出す
適切な情報やキーワードがたくさんあるとアイデアが生まれ膨らみやすいものです。あなたは情報共有やディスカッションの時間に情報を引き出す質問をしたりメンバーが見落としている情報に気付かせるよう助けることができます。つい意見を言いたくなるかもしれませんが、議論に加わるのではなく質問を投げかけたり情報を提示するだけにとどめるよう気をつけてください。
8. 決断を促す
いくつかのフェーズで決断が必要になるかもしれません。ディスカッションで意見がまとまらない決められないことがあったら決定権者に決断してもらってください。無責任な多数決は避けましょう。決定権者に決めてもらう場合があることは本人には事前に伝えておきましょう。残り時間が数分になった時に突然「あなたが決めてください」と言われてパニックになるような人ではないとしても無用なストレスは回避してあげましょう。
9. アジャスト
フェーズを進めていく中で、前提条件が覆ったり何らかの重大な原因でプロトタイプやユーザーインタビューなどの内容変更を避けられない場合は決定権者の同意を得て最小限の変更をしましょう。しかし、あくまで最小限です。フェーズをさかのぼったりスケジュールの変更はするべきではありません。
10. ラグビーのレフリーのように
あなたがラグビーの試合を見たことがないのならぜひ一度見てみてください。彼らは毅然とした態度でルールに従って冷静に判断しますが、選手たちには試合中のその場でどのプレーがどんな危険があるのかどんな理由で反則なのか丁寧に説明します。時には笑顔を見せながら選手を落ち着かせ納得するまで語りかける場合もあるでしょう。あなたも彼らのように冷静で注意深く丁寧に接する姿勢を示しつづければスプリントのメンバーみんなからリスペクトされ良い関係性を保てることでしょう。