はじめに
さまざまなMATLABコミュニティについて、"MATLAB Homeユーザー" 目線でまとめてみたいと思います。
なお、雑誌 Interface 2022年9月号 「MATLABコミュニティとイベントのご紹介」では、"MATLAB 中の人" 観点でまとめられている記事もあります。
企業が主体のユーザーコミュニティ
ユーザー企業が中心となって活動するコミュニティの代表例として、国内では、MATLAB/Simulinkを使ったMBD(Model Based Development)コミュニティのJMAABがあります。
JMAAB(Japan MBD Automotive Advisory Board)
自動車業界のMBD(Model Based Development)推進のため、2001年に、TOYOTA、NISSAN、HONDAといった企業のコアメンバーで発足。企業の壁を越えて、開発環境では協調!競争は製品!をスローガンに活動。SimulinkのモデリングガイドラインやETSS-JMAABスキル標準などの成果物を公開しています。
YouTube動画コンテンツもあります。😀
個人が主体のユーザーコミュニティ
MATLAB Central
MATLABユーザー同士で、質問や回答をしたり、コードやモデルの共有ができる、MathWorks社公式のオープンなユーザーコミュニティサイトです。MATLAB Answers、File Exchange、Cody、Blogなどがあります。
下記ブログによると、JMAAB発足と同じ2001年に、MATLAB Centralのサイトが立ち上がったそうです。File Exchangeに最初登録されたファイルで、MATLABを使って描いたバイキング船のエピソードが書かれています。現在のMATLAB Centralにつながる、「遊び心」が表れているようにも感じます。
MATAB Answers
エラーメッセージなどは、Google検索から、このサイトにヒットしやすいです。
また、質問に回答することで、MATLAB Answersにコントリビュートすることができます。
採用された回答数に応じて、LEVELが上がっていきます
File Exchange
MATLABを使ったライブラリやサンプルなどが多く登録されていて、File Exchangeに登録することもできます。
GitHubと連携し、リリースに連動して自動アップデートすることもできます。
Cody
与えられたお題を、短いMATLABのコードで解く問題です。
やってみると、結構ハマルところがあります。
「ワタシハ MATLAB チョットデキル」を目指す方へ、オススメ!
バッジ
MATLAB Ansewers、File ExchangeでのコントリビュートやCodyの結果に応じて、バッジが増えていきます
Qiita
Qiitaには1000以上ものMATLAB関連のブログ記事があります。
MATLAB関連の投稿がはじまったのは、2011年末ごろのようです。
- 年度別MATLAB記事
2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 |
3 | 8 | 4 | 23 | 30 | 38 | 114 | 90 | 183 | 310 | 150 | 335 |
Qiitaでは異色ともいえる、数式や理論を多用している記事も多く、制御工学や信号処理、物理学が得意な(ホワイトボードなどに数式を書き始めると説明が止まらない)方の記事も多いようです。
大学内でのMATLAB利用を推進するMATLABアンバサダー(学生)の方も積極的に情報発信しています。
Twitterでは、MATLABについて、日々活発なツイートがされています。
新規のQiita記事や日本語でのMATLAB Answersは、より関係者に情報共有もされています。
特に年1度のユーザー会イベントMATLAB Expoでは、Twitter界隈が盛り上がります。
モータ制御マンさんのMATLAB Expo要約は、参加レポートの作成にも役立つかも
毎度おなじみ(?) MATLAB Expo2022の講演動画にコメントを付けていきます。 #matlabexpo
— モータ制御マン (@motorcontrolman) May 29, 2022
MATLABコミュニティの未来(予想)
ユーザーコミュニティに影響を与えているウェブの世界では、Web1(Read 1990-)からWeb2(Read+Write 2010-)、そして、Web3(Read+Write+Own/Join 2020-)へ進化してきています。
企業が主体のオンラインユーザーコミュニティでは、現状、ホームページなどによる一方向の情報発信である、Web1型のコミュニケーションが多いと思われます。
個人を主体としたMATLABコミュニティでは、SNSなど双方向のコミュニケーションである、Web2型へ発展しているように思われます。
その先のWeb3は、まだ全貌がよく見えてませんが、ブロックチェーン、NFT、独自トークン、仮想通貨、DAO(Decentralized Autonomous Organization:分散型自律組織)、メタバースといったキーワードが飛び交っています。
さいごに
Web3という新しいキーワードを持ち出して思いついたことを書いてみましたが、ご意見やご感想など、Twitterなどでご投稿いただけたら幸いです。