ロボトレーサーに10[m]の直線を走らせる問題について考えましょう!
さて、入力できるのは電圧だけです。しかも、−9[V]〜9[V]
最大加速度に保つための電圧の表を作りたい
加速度制御のフィードフォワード制御と言うことになるのでしょうか。。
ロボトレーサーの概要
m:0.1[kg]
モータ:Maxon DCX 10 4.5V
https://www.maxongroup.co.jp/medias/sys_master/root/8828861612062/069.pdf
タイヤ:外径:0.013[m]→半径:r=0.0063[m]
重さ:0.02[kg]
慣性モーメント:J=(モータの慣性モーメント)+$\frac{1}{2}mr^2$
$=0.151・10^{-7}+\frac{1}{2}・0.02・0.0063^2$
$=0.151・10^{-7}+3.969・10^{-7}=4.12・10^{-7}[kg・m^2]$
タイヤにかかる垂直抗力は2輪だとすると、半分になるので、
最大静止摩擦力:$F_0=μ\frac{m}{2}g=1・0.05・9.8=0.49[N]$
最大加速度: $a=\frac{F_0}{m}=\frac{0.49}{0.1}=4.9[m/s^2]$
垂直抗力が半分になっても、モータが2つあれば、力も半分になるので関係ないんだった。。
最大静止摩擦力:$F_0=μmg=1・0.1・9.8=0.98[N]$
最大加速度: $a=\frac{F_0}{m}=\frac{0.98}{0.1}=9.8[m/s^2]$
確認:
10[m/s]で走行する時、$\frac{10}{0.0063}=15157[rad/s]$
$9.8[m/s^2]$で走行する時、F=maより、F=0.1*9.8=0.98[N]が作用反作用の法則よりタイヤにかかる
トルクに変換すると、$τ=0.98・0.063=6.2・10^{-3}[N・m]$
シミュレータ:
電圧Vを入力すると、Δt秒後 $$V=V_{in}-E_0$$
$$i_{t+1}=\frac{V}{R}-(\frac{V}{R}-i_t)・e^{-\frac{R}{L}Δt}$$
$$τ_{t+1}=Ki$$
モータは2つあるので、$τ=τ・2$
$$α_{t+1}=\frac{τ}{m・r^2+J}$$
$$ω_{t+1}=α・Δt$$
$$E_0=Kω$$
なんで、慣性モーメントに$m・r^2$足したのか?
加速度aで、慣性力F=maで、$\frac{r}{r}F=\frac{r}{r}ma$で、$\frac{1}{r}T=rmα$で、$T=r^2mα$で、
τ=Jαで、角加速度αが一致するはずだ。角加速度α[$m/s^2$]で走行するために必要なトルク=$r^2mα+Jα$
後は、αについて解く。
つまりね、質量mの物体をタイヤの半径rで動かそうとする時、慣性モーメントは$m・r^2$
もっと言うとね、タイヤは同じトルクを入力しても、質量mの大きさに比例して回転しにくくなるし、$r^2$に比例して、回転しにくくなわけね。
つまり慣性モーメントは、$τ=(m・r^2+J)=0.1・0.0063^2+4.12・10^{-7}=4.381・10^{-6}[kg・m^2]$
分けて考えないといけない!
ここで、$V_R,V_L$に分けて考えた場合を考える。
まず、必要なトルクは半分になり、必要な電流も半分になる。
また、慣性力も半分である。
$V=V_R=V_L$の場合について考えると、半分の加速度を目標値とした場合の、半分の慣性力の運動と等価になる。
よって、等価な慣性モーメントは、$(m/2・r^2+J)=2.4・10^{-6}[kg・m^2]$
逆算
$$a_r = 9.8[m/s^2]$$
$$→α_r = \frac{9.8}{0.0063}=1555.8$$
この時、必要なトルクは、
$$τ=(m・r^2+J)・α=(0.1・0.0063^2+4.12・10^{-7})・1555.8=6.2・10^{-3}[N・m]$$
モータは2つあるので、必要なトルクは半分で、3.1・10^{-3}[N・m
この時、必要な電流は、T=K・iより、
$$i=\frac{T}{K}=\frac{3.41・10^{-3}}{3.52・10^{-3}}=0.97[A]$$
この時、必要な電圧は
$$V=R(\frac{i_{t+1}-e^{-\frac{R}{L}Δt}・i_0}{1-e^{-\frac{R}{L}Δt}}) $$
$$V_{in}=V+E_0$$
\begin{cases}
\displaystyle 9<V_{in}:V_{in}=9\\
\displaystyle V_{in}<-9:V_{in}=-9
\end{cases}
とりあえずこれで、直線においては、最強の表が作れる。
約2[s]で20[m]を初速0[m/s]から走れてしまう計算!
2019年度のロボトレース決勝は39[m]なので、ずっと、定常速度の16[m/s]で走ったら、約2.5[s]程で完走できる計算になる。
後、これは1次遅れ系に近似できるのでは?