この記事はNTTコムウェア Advent Calendar 2022 18日目の記事です。
今回は、私が実際にPWAでサービスをリリースして感じたメリットや課題をまとめていきます。
PWAとは
PWA(Progressive web apps)は、Webサイトをネイティブアプリのようにインストールして利用できるようにする技術。
アプリと同じようにホーム画面に追加できるため、ユーザからすればアプリと何が違うのか感じられない状態にでき、開発者からすればWebの世界の延長でネイティブアプリを開発したかのようにできるメリットがある。
実際の導入事例としては日本では日経電子版やSuumoがPWA対応していることで有名。
日経の事例紹介
Suumoの事例紹介
機能面での比較
PWAはあくまでもWebサイトであるため、ネイティブアプリでできることがすべてできるわけでは無い。
とはいえ機能的に最近はかなりネイティブアプリに近づきつつある
PWA | ネイティブアプリ | |
---|---|---|
ホーム画面へのインストール | 可※ | 可 |
インストール元 | Webサイトから直接 | アプリストア経由 |
カメラ/マイク | 可※ | 可 |
GPS | 可※ | 可 |
加速度センサー | 可※ | 可 |
プッシュ通知 | 可※ | 可 |
※ 可になっていてもブラウザによっては対応してない場合もあるため注意
PWAのメリット
実際に私が使ってみて感じたこととしては
- Webとの親和性が高い
例えばTwitterのリンクから直接飛んでそのまま利用することができる。 - アプリストアのような審査が無いためアップデートがしやすい
- GoogleやAppleへ手数料の支払いが不要
上手に使えばWebとアプリの良いとこどりができるのがPWA最大の強みかもしれない
PWAの課題
- ユーザへの導入フローが致命的に悪い
- 対応していないブラウザもあり利用者の環境を選ぶ
- マネタイズがアプリに比べて難しい(特にゲーム系の場合は)
導入フローの課題
- PWA対応のサイトをホーム画面に追加できることをユーザーはまず知らない
- ユーザーはアプリストアで検索するクセがついており、アプリストアに無いものは見つけることができない
- PWAをホームスクリーンに追加する方法がわかりにくい(特にiOS)
これ以外の方法でインストール(ホーム画面に追加)する方法が無いため、なんとかユーザーにこの画面下のアイコンを押させてインストールさせる必要があるが、ハードルが高いことは間違いない。
対応ブラウザの課題
導入フロー以外にもそもそもPWAのインストールが不能な環境が存在する
PWAのインストール可否
引用: https://caniuse.com/?search=PWA
Androidは比較的対応が広くほとんどの人が問題なく利用できるレベルになっているが、厄介なのはiOSである。
iOSではSafariしか対応していないため、Chrome等の別ブラウザを日常使いしている人はそもそもPWAをインストールすることができない。
また、TwitterやLINE等のアプリからURLリンクを踏むと、実はiOSではアプリ内ブラウザ(WebView)で開くことになるためPWAのインストールができない。
これは結構致命的で例えば、PWAサイトのリンクをLINEで友人に送ってもその友人はインストールできない事象に見舞われることになる。
マネタイズの課題
ビジネスとして考えるとマネタイズしにくいのというのは致命的であるが、
アプリと比べると、広告、アプリ内課金の2大マネタイズ要素共に劣っているのが現状。
広告
- Webサイトと同じ扱いになるため広告単価が低い
UIはアプリと同じようなのに単価だけが低いのを受け入れられるか
動画広告のような高単価の広告フォーマットはPWAに対応していない場合がほとんど。 - 一定の実績が求められる
アプリであればAdMob等でアプリリリースさえできれば誰でも広告を掲載できるが、PWAの場合はWebサイト扱いなので一定数以上アクセスがなければ審査を通ることができない。 - ゲーム等のテキスト情報の少ないジャンルと相性が悪い
Web広告の審査条件には、コンテンツ量=文字数が一定以上あるかどうかで判定されるため、PWAでゲームを作るとほとんど文字がないWebサイト扱いされてしまい審査を通すことが困難
アプリ内課金
- 通常のWebサイトと同じでクレジットカード登録したり、Paypal経由にしたりの対応が必要
- アプリで気軽に課金できるUXと比べると劣っていると言わざるをえない
- ただし手数料をAppleやGoogleに持って行かれないのは魅力的
まとめ
趣味で使うのであれば十分利用可能なレベルになっている
ビジネスで利用したい場合は次の条件を満たせばPWAにしてもよいと思う
・新規ユーザーの獲得をアプリストアに頼らず自前で用意できる場合
・アプリ内でのマネタイズを考えていない場合
・マネタイズするにしても広告以外の方法で考えている場合
・自前で広告プラットフォームを持っている場合
おわりに
まだまだ発展途上な部分は多いものの、条件を満たせばWebとの親和性からPWAのパワーを発揮できるサービスはたくさんあると思います。
皆さんもこれを機にPWAでサービスを考えてみてはいかがでしょうか。
本稿に記載されている情報は、2022年12月時点のもので、各製品やサービスは常に機能追加/変更が行われているため、ご留意ください
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