はじめに
この記事では 「自社or外部キャラを“公式”にするまでのチェックリスト」 を実例を交えつつまとめます。
スタートアップでも実践できる“最低限これだけは”の観点なので、社内説明資料にもコピペ歓迎です 📝
1. そもそも“公認”って何を指す?
レイヤー | 典型的な対象 | ゴール |
---|---|---|
法的公認 | 商標・著作権・肖像権 | ライセンス契約を結び、 使用範囲を明文化 |
ブランド公認 | CI・VI・トーン&マナー | ブランドガイドライン改定・ 社内承認 |
経済的公認 | 予算・償却・ロイヤルティ支払 | 正しい勘定科目で計上し 監査対応 |
※CI:コーポレート・アイデンティティ(Corporate Identity)、企業の統一イメージ
※VI:ビジュアル・アイデンティティ(Visual Identity)、視覚的イメージ
「ロゴにキャラを添えるだけでOK?」と思いがちですが、法務・ブランド・会計の三位一体で初めて“公式”になります。
2. ハードル別チェックリスト
2-1. ブランドイメージとの整合性
-
CI / VI適合チェック
- 色味・フォント・世界観に問題や相違はないか(ガイドライン改訂が必要な場合も)
- すでに存在する権利に抵触しないか(似ているデザイン、コンセプト)
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ターゲット顧客との距離感
- B2Bなのにかわいすぎて信頼感を損なわないか?
- ふざけていると思われてイメージダウンにならないか?
- デザインが古い、荒いなど洗練さに不足がないか?
-
炎上リスク
- SNSで二次創作が拡散→意図しない使用法が拡大するケースに備え「二次利用ポリシー」を作成
- 不用意な発言や不適切な表現で問題になる→表現にポリシーやルールを定める
実例: 熊本県「くまモン」は“開放型ライセンス”で認知を拡大。ただし商用利用には申請が必須。社内でも同様に“OKライン / NGライン”を早期定義。
2-2. ロゴ・キャラ使用の法務
項目 | 抜けがちポイント | 予防策 |
---|---|---|
著作権 | 原画制作者の著作者人格権 (改変・氏名表示) |
ワーク・フォー・ハイヤー契約+ 人格権不行使特約 |
商標権 | キャラ名が製品名と被る → 出願タイミング競合 |
文字商標+図形商標をペアで 出願 / 国際出願(Madrid) |
パブリシティ権 | 実在人物をモチーフにする場合 | 本人・遺族からの許諾書を取得 |
景表法 | キャラが性能保証を暗示しないか | 広告審査フローに法務を組み込む |
判例Tip:「ひこにゃん事件(大津地裁2008)」では開発会社と行政の契約解釈が争点に。“誰が何に使えるか”を1行でも曖昧にすると訴訟コストが跳ね上がる。
2-3. 使用許諾・社内承認フロー
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DD(デューデリジェンス)
- 既存権利者・競合商標・過去炎上歴を調査
- 既存権利者・競合商標・過去炎上歴を調査
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基本契約(Master License Agreement)
- 期間・地域・媒体・派生物(NFT等)の範囲を列挙
- 期間・地域・媒体・派生物(NFT等)の範囲を列挙
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社内承認ワークフロー
- ブランド・ブランディング
⇒ 法務
⇒ 経理・資金
⇒ CxO の順がベター
- ブランド・ブランディング
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利用ログ管理
- ガバナンス目的で申請→許諾→実績をJiraやNotionに集約
2-4. 費用計上と精算
シーン | 勘定科目 | ポイント |
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デザイン 発注費 |
「広告宣伝費」 「ソフトウェア仮勘定」 |
将来価値がある場合は無形資産計上 (IFRSでは要減損テスト) |
ロイヤルティ | 「支払手数料」 「版権使用料」 |
源泉徴収・国外源泉課税に留意 (租税条約で軽減) |
グッズ制作 | 「棚卸資産」 →販売時「売上原価」 |
少量試作は広告扱いにして一括費用 処理も可 |
3. 「裁判を見越した」予防策5選
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契約書に準拠法と専属的合意管轄
- 国際展開を視野に東京地裁 or シンガポール国際仲裁センターなどを明記
- 国際展開を視野に東京地裁 or シンガポール国際仲裁センターなどを明記
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エスカレーション条項
- 紛争時の段階的解決(協議→ADR:裁判外紛争解決手続→訴訟)を規定
- 紛争時の段階的解決(協議→ADR:裁判外紛争解決手続→訴訟)を規定
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保険加入
- 知財侵害訴訟費用をカバーする「メディア・IP保険」を検討
- 知財侵害訴訟費用をカバーする「メディア・IP保険」を検討
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定期監査
- 1年ごとに使用状況を棚卸し、契約条件とズレがないか監査レポートを残す
- 1年ごとに使用状況を棚卸し、契約条件とズレがないか監査レポートを残す
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緊急対応プロトコル
- 炎上・侵害申立てを想定し、対応責任者と72h以内の一次報告フォーマットを整備
4. まとめ — 最低限やること3つ
- キャラクター+社名の商標を 同時出願
- ライセンス契約テンプレート を社内公開し改変禁止
- ブランド・法務・経理の合議体 を社内ルール化
FAQ よくある質問
質問 | ざっくり回答 |
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社内デザイナーが描いたら 著作権は自動で会社? |
× 要契約(職務著作規定 or 譲渡)。 雇用契約だけだと不十分 |
AI生成キャラは登録できる? | 2025年7月現在、日本では著作者不詳扱いで商標登録は 可でも著作権は不確実。 独自二次創作の領域を明確化すべき |
二次創作を黙認すると ブランド価値が落ちる? |
ガイドラインに“非営利無料・同人OK”など 線引き を 明文化すればプラス効果も |
おわりに
イメキャラは「可愛い」だけでなく “資産” です。
法務・ブランド・会計を横串で設計 すれば、後々の裁判・監査・炎上にも揺らぎません。この記事が、あなたのキャラ戦略を加速させる一助になれば幸いです!🎉
※本記事は一般的情報の共有を目的としており、個別の法律・税務アドバイスを行うものではありません。