概要(1分でわかる要点)
36協定がない残業はすべて違法です。
新人が絶対に押さえるべき4つの閾値は①月45 h / 年360 h、②超過は年6回まで、③時間外+休日労働は月100 h未満&2-6か月平均80 h以内、④月60 h超の残業は割増50 %。さらに法定休日に働いたら35 %増し、事前に振り替えれば割増ゼロ、事後の代休では割増が必要──ここさえ覚えれば“ブラック行き”を回避できます。
(働き方改革推進支援センター, チェック労働用サイト)
1. 閾値チートシート(保存版)
チェック 項目 |
原則値 | 超過OK? | 罰則付き上限・例外 |
---|---|---|---|
時間外労働 | 月45 h / 年360 h | ✕ | 年6回までは特別条項で 超過可 |
特別条項下 の総量 |
― | ○ | 年720 h以内、月100 h未満、 2-6か月平均80 h以内 (休日労働含む) (働き方改革推進支援センター, 厚生労働省) |
60 h超の 残業賃金 |
25 %→ | 50 %に引上げ (2023.4~全企業) |
|
休日労働 割増 |
法定休日35 % / 法定外25 % |
― | 法定休日労働は上限規制の 「100 h」判定に含まれる (都道府県労働局所在地一覧, 働き方改革推進支援センター) |
覚え方
「45-360-6-100-80-60-35」
月45/年360、超過6回、月100・平均80、60 hで50 %、休日35 %。
2. なぜ?で深掘り ― なぜこの数字なの?
No | なぜ | 説明 |
---|---|---|
1 | 月45 h? | 健康被害リスクが急増し始めるラインとされる 月残業45 hを境に、法律が“赤信号”を点灯させるため。 |
2 | 年360 h? | 月45 h×12か月の総量を超えさせないことで慢性的 長時間労働を防ぐため。(TIS amanogroup) |
3 | 超過は6回まで? | “繁忙期”を想定しつつ、年の半分は安全運転させる トレードオフ設計。(厚生労働省) |
4 | 月100 h未満+ 平均80 h? |
100 hは過労死認定ライン、複数月平均80 hで慢性化を 防止。(働き方改革推進支援センター) |
5 | 60 hで割増 50 %? |
コストで抑制圧力を掛けつつ、超勤集中者の健康確保の 財源に充てるため。 |
3. 休日出勤・振替・代休を図解的に整理
3-1 振替休日(事前スイッチ)
-
いつ決める?
就業前に「今週の日曜を働き、代わりに水曜を休みにする」と宣言。 -
効果
働いた日が“平日”扱いになるため35 %割増は不要(週40 h超えたら25 %は発生)。
(Randstad)
3-2 代休(事後払い)
-
いつ決める?
休日出勤後に「来週どこかで休んでいいよ」と手当て。 -
効果
出勤日は法定休日労働として35 %割増を必ず支払い、代わりに休暇を付与。
(厚生労働省)
3-3 迷いがちなグレーゾーン
ケース | 割増 | 36協定上のカウント |
---|---|---|
振替前に振替日が 決まっていない |
35 %発生(代休扱い) | 休日労働時間に計上 |
法定外休日(土曜)出勤 | 25 %(40 h超部分は25 %) | 時間外労働時間に計上 |
深夜×60 h超残業 | 25 %+50 %=75 % | 時間外労働60 h超として算定 |
4. 新人向けセルフチェックリスト
- 今月の残業は45 hを超えていないか?
- 年間累計が360 hを突破しそうか?
- 月100 h未満・2-6か月平均80 h以内か?
- 60 hの壁を超えたら賃金50 %UPを確認したか?
- 休日出勤時は振替か代休か、割増の要否を確かめたか?
- 45 h超の月が6回目になっていないか?
これを毎月の勤怠締め前に点検すれば、法律違反も“うっかり未払い”も防げます。
(kingoftime.jp)
5. 次のアクション(新人でもできる)
-
勤怠アラートの活用
自分の残業累計をリアルタイムで確認
(例:KING OF TIMEの自動アラート)
(kingoftime.jp) -
特別条項の有無を確認
年6回が近づいたら上司にエスカレーション
(厚生労働省) -
休日出勤前に申請書を出す
振替日を事前確定し、35 %コストを節約 -
60 h超え予測で工数リバランス
チーム内でタスク再配分し割増回避
まとめ
法律用語は難しい、説明を読んでもわかりにくい、そんな声も多く聞こえます。
しかし、せっかく働いても超過勤務で法に触れるようでは問題になってしまいます。
まずは簡単なところから知ることが、あなたと周りの人たちの好環境を構築するきっかけになるでしょう。
自分でコントロールできない状態になる前に、上司や職場の人たちとコミュニケーションを取っていきましょう。
迷ったら “45-360-6-100-80-60-35” を唱えて、勤怠システムと照合しましょう。