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〇〇を無くす、減らすことで成功した製品・サービス

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無くす・減らすことで生まれる新しい価値

サービスや製品は、機能や部品を増やして進化していくことが多いと思います。
でも、機能や部品を減らすことで、新たな付加価値を生んだり、ブレークスルーのきっかけになることもあります。
そんな、「何かを無くす、減らすことで成功した」と、筆者が考える製品・サービスを挙げて見たいと思います。

ラベルレスボトル(アサヒ飲料)

ペットボトルのラベルを無くした商品です。
ネット通販の箱買い専用のラインナップにすることで、ラベルがなくても困らない、
むしろ、捨てるときにラベルを剥がさなくて便利という付加価値の商品になり、好評を博しているそうです。

ラベルレスボトル 商品ラインアップ・販路拡大

ラベルレスボトル商品(2019/2月現在)

  • 十六茶
  • 六条麦茶
  • 『守る働く乳酸菌』
  • おいしい水 天然水

商品が生まれた経緯の考察

ペットボトルが普及し始めた頃は、ラベルを剥がして捨てるというルール自体ありませんでした。しかし、今では多くの自治体でゴミ捨て時に、ラベルを剥がすことが求められるようになり、「ラベルが煩わしい」というペットボトルが誕生した頃には想像だにしなかった困りごとが生まれました。
また、以前は箱買いする一般消費者なんて極めて稀でしたが、ネット通販の普及により、飲料の箱買いをする一般消費者が急増しました。
この2つの市場変化を捉えて生まれたのが、「ラベルレスボトル」と言えるでしょう。

ウォークマン(SONY)

機能を減らして大成功した商品の中でも有名なものは、ウォークマンでしょう。
ラジカセ全盛時代の1979年に、当時としては付いているのが常識だった"録音機能"を無くして、再生専用機として小型化を実現し大ヒットしました。
発売前は、販売店も関係者も売れ行きに悲観的な意見ばかりだったが、発売開始してみると口コミで評判が広がり、6ヶ月間売り切れっぱなしという大ヒットだったそうです。

第6章 理屈をこねる前にやってみよう <ウォークマン>

商品が生まれた経緯の考察

テーププレーヤーではなく、テープレコーダーと言うくらいで、当時は「再生」「録音」で対になっているのが当たり前と考えられていた時代に、再生機能だけというコンセプトを考え出し、悲観的な周囲の意見に負けずに発売まで持ってきたのが、当時のSONYのすごいところと言えるでしょう。

BALMUDA The Gohan (バルミューダ)

斬新な家電を生み出すことで有名になったバルミューダが、2017年2月に発売したのが、このBALMUDA The Gohan です。
コンセプトは「蒸気のちからで炊き上げる炊飯器」で、とても美味しいご飯が炊けるとのこと。
そして、この商品が無くしたのは、安価な電気炊飯器でも当たり前に付いている”保温機能”です。

BALMUDA The Gohan電気炊飯器 - バルミューダ

なぜ保温機能がないのか

発売当時のニュースで、担当者が、保温機能が何故無いのかという質問に対し、回答していた内容(の筆者のうろ覚え)は、「いろいろ研究したが、どうやっても炊きたての美味しさを保温で保つことは出来なかった。最高のご飯を提供する製品に、そんな機能は付けるべきではないと判断した。」という趣旨でした。
炊きたてご飯の美味しさに、こだわりを持っているのが感じられるコメントでした。

更に考察

1万円程度払えば、十分ちゃんとした炊飯器が変える世の中で、直販価格4万1500円の炊飯器を買うような人は、それなりに”食”にこだわりを持っている人だと言えるでしょう。
従い、「この商品を買うユーザーが、せっかく炊きあがったご飯を1時間も2時間も放置するはずはない!炊きあがりにちゃんとご飯になるように考えて作るはず!だから、保温機能にリソースを使うより、本来の炊飯機能にリソースを集中させた方が良い。」とバルミューダの開発陣は考えたのではないでしょうか。

また、使用者の口コミとしては、「そもそも製品の保温性が高く、保温機能がなくても、1時間くらいは熱々のご飯が食べられる。」という意見もありました。
バルミューダ炊飯器 実食レポート 保温機能はなくても問題なし!

「商品の購買層を考えると使用頻度は低い」「実力的に無くてもほとんど困らない」というところから、「保温機能を無くす」という大胆な判断をした開発陣は凄いと思います。

ルンバ(iRobot)

ロボット掃除機という新しいジャンルの家電を生み出したiRobotのルンバ。
この商品の説明は、もはや不要でしょう。
ルンバが捨てたのは、"吸引力"です。
掃除機と言えば、ダイソンをはじめ、どんなメーカーの掃除機も「一回でゴミを吸い切ります。」「何度も同じ場所に掃除機をかける必要はありません。」と"吸引力"を売りにします。
それに対し、ルンバはバッテリー、サイズの制限上、吸引力は通常の掃除機に比べ、遥かに貧弱にならざるを得ませんでした。
それでも、ロボット掃除機ならではの「1回で吸い切れないなら、何回も同じ場所を掃除すればいいじゃないか。ユーザーの手間は増えないから、時間がかかってもいいじゃないか。そもそも、同じ場所を1回だけ通るように賢くルートを決められない。」といういい意味での割り切りが、ルンバの成功の一つの要因だと、筆者は考えています。
もし、iRobotの開発陣が、ルンバに普通の掃除機並の吸引力を持たせようとしていたら、ダイソンに吸引力で張り合おうとしていたら、こんなに早く世に製品を送り出すことは出来なかったでしょう。
あるいは、もっと大きな製品になってしまい、今のような大ヒットにはつながらなかったかもしれません。

最近は吸引力もUP!?

吸引力を捨てたと筆者は言い切っていまいましたが、iRobot社も吸引力は改良を繰り返しているようで、新しい製品になるほど吸引力はUPしているそうです。
高いルンバと安いルンバ、何がどう違うのか? 主要4モデルの価格の「差」をプロの解説で徹底比較!

スマートフォン・タブレット

今や、生活必需品となっているスマートフォンやタブレット。
スマートフォン、タブレットが無くしたのは、"物理キー"です。
スマートフォンが世に現れるまで、携帯電話もPCも、テンキー、もしくはキーボードが有るのが当たり前でした。というか、物理キーなしで操作するなんていう発想がありませんでした。

それを、「必要なときだけタッチパネルにキーを表示する」という発想で無くしてしまったのが、iPhoneを始めとするスマートフォンの新しいところだったと思います。

物理キーを無くすことで、小さなボディーに大面積ディスプレイ、そして薄型化が実現出来ました。

google

インターネットの世界のインフラと化しているgoogleですが、筆者が考えるgoogleが無くした、減らした機能は”「検索機能以外全部」"だっただと思います。

googleが普及する前の、ウェブブラウザのトップページといえば、Yahoo!やExite等のポータルサイトで、トップページには、ニュースや天気予報やいろんな情報が詰め込まれていました。

Yahoo!JAPANトップページの変遷(1996年~2014年)昔のYahoo!ってこんなんだったっけ?

それに対して、googleは従前のポータルサイトを目指すのではなく、ひたすら検索エンジンとしての性能・能力を磨き続け、2000年にYahoo!の検索エンジンに採用、2003年にsafariの標準検索ツールバーに採用されるなど、シェアを伸ばしていきます。

Google.com 1997-2011
現在のgoogle

また、磨いた検索能力を生かして、現在はニュースや画像も検索できるようになり、現在はgoogleをトップページにしている人も多いと思います。

ポータルサイト化するのではなく、情報収集、検索能力に集中し、結果、ニュースも何でも対応できるポータルサイトになるというのは、選択と集中が非常にうまく行った例ではないかと筆者は感じます。

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