はじめに
現在、私は弁理士として特許出願等の業務を担当している。
特許出願を依頼された際に、発明者からどんなことを聞きたいかということを記載してみる。
ソフトウェアの特許出願をするプログラマの参考になれば幸いである。
聞きたいこと概要
- 従来技術とその問題点
- アルゴリズムのうち、従来と違う点
- 入力、出力(表示画面など)
- 効果(何がいいのか)
- アルゴリズムと効果との関係
- どういうことに使い、どういうことで収入を得る予定なのか
特に5と6が重要である。
従来技術とその問題点
もともとあった最も近いと思われる技術を教えてほしい。出来れば、その技術が記載された文献、基礎となる技術が記載された文献(URL等)を知りたい。また、従来技術の問題点があればそれも教えてもらいたい。
アルゴリズムのうち、従来と違う点
「新しい」と思えるところがあればそれを教えてほしい。
フローチャートなどの図面もあるとありがたい。例えば、ALPHA GOなら、囲碁のプロ棋士の棋譜をディープラーニングで模倣するように学習したのち、自己対戦で学習を繰り返すなど。
入力、出力
どういう入力でどういう出力がなされるのか。どこから入力され、どこに出力されるのか。
入力は予め保存しておくべきデータなどもあるといい。ALPHA GOなら、囲碁のプロ棋士の棋譜、局面が入力で、選択された一手、局面の評価値が出力であるなど。
図面があるとうれしい。
効果
何が便利になるのか。例えば、ALPHA GOなら、プロ棋士に勝てるくらい強いアルゴリズムが出来るなど。
アルゴリズムと効果との関係
アルゴリズムからなぜ効果が奏されるのか。これがいわば(日本では)特許になるかどうかを決めるところだと思う。
例えば、従来は、計算量が膨大になってしまうために、時間内に適切な手を選択することができるアルゴリズムを作れなかったが、ALPHA GOでは、囲碁のプロ棋士の棋譜をディープラーニングで学習しているので、有力でない手を計算対象から除外することが出来、計算量を大幅に削減することが出来た。これにより、時間内に適切な手を選択することができるようになった。
アルゴリズムから効果までが飛躍なく説明されていることが重要である。
どういうことに使い、どういうことで収入を得る予定なのか
どういうことに使い、どういうことで収入を得る予定なのかで、どのように出願書類を作成するかも変わってくる。
例えば、ALPHA GOならば、プロ棋士と公開対戦をすることで、その対戦の棋譜を販売するなどで収入を得るのか、それともALPHA GOによる碁の有力手に関する情報を提供する会員制のサイト等を運営することにより、収入を得る予定なのかなどが判るとうれしい。