はじめに
Oracle Cloud(OCI)ではポリシー・ベースのバックアップがボリューム・グループでも利用可能になりました。
これまでボリューム・グループに対するバックアップ・ポリシーはOracle定義ポリシー(ブロンズ、シルバー、ゴールド)から選択する必要がありましたが、ブート・ボリュームやブロック・ボリュームをまとめて同時にバックアップしたいケースでも、ユーザー定義のスケジューリング実行が可能となってます。
バックアップ対象
リージョン:Japan Central (Osaka)
ボリューム・グループ:
WebLogic Server for Oracle Cloud Infrastructure をプロビジョニングしてみた
で作成した AP Server (WebLogic Server) 2台構成の 各ブートボリュームとブロックボリュームとします。(下図イメージ)
試すこと
上図 赤枠で囲んだボリューム・グループがユーザー定義したバックアップ・ポリシーに基づきスケジュールされた時刻に自動バックアップされるかを試します。
ユーザー定義のバックアップ・ポリシーの作成
左上のナビゲーション・メニューから [ブロック・ストレージ] – [バックアップ・ポリシー]を選択。
1. バックアップ・ポリシーの作成
バックアップ・ポリシーの作成をクリック。
bronze, silver, gold といったOracle 定義のポリシーに加えて、ユーザー定義のバックアップ・ポリシーを作成します。
[名前] 任意のバックアップ・ポリシーの名前を入力します。例)APserverGroup-BuckupPolicy
[コンパートメントに作成] 自身のコンパートメントを指摘
[Japan East(Tokyo)へのクロス・リージョン・コピーを有効にします] ここではノーチェックのまま進みます。
バックアップ・ポリシーの作成をクリックし、ユーザー定義のバックアップ・ポリシーを作成します。
2. スケジュールの追加
バックアップ・ポリシーが作成されたので、続いてスケジュールの追加をおこないます。
ここでは、毎日 日本時間の 23:00 に定義されたボリューム・グループの増分バックアップが取得できるようにスケジュールを追加します。
[スケジュール・タイプ] 毎日、毎週、毎月、毎年 のいずれかを選択
[該当日の時間] バックアップの開始時間を選択。下方のタイムゾーン をリージョナル・データ・センター時間とすることで、日本時間(例) 23:00)をそのまま入力します。
[日での保持時間] 保持時間 - タイプで毎日を選択した場合には日数を入力
[バックアップ・タイプ] 完全バックアップか、増分バックアップかを選択
[タイムゾーン] 大阪リージョンの日本時間で設定したいので、リージョン・データ・センター時間 を選択
スケジュールの追加 をクリックします。スケジュールが追加されました。
3. クロス・リージョン・コピーの有効化
ディザスタリカバリ(DR)などの要件があり、別のリージョンでのバックアップが必要な場合には、クロス・リージョン・コピーを有効化します。
有効化 をクリックすると、以下の画面が表示され料金とネットワークコストに関する注意が表示されます。よく読んで有効化の判断をしてください。本稿では有効化せずに、ソース・リージョン(大阪リージョン)にバックアップを取得することとします。
ボリューム・グループの作成
ユーザー定義のバックアップ対象となる、ボリューム・グループを作成します。
左上のナビゲーション・メニューから [ブロック・ストレージ] – [ボリューム・グループ]を選択。
続けて、ボリューム・グループの作成 をクリックします。
1. バックアップ・ポリシーとの紐づけ
[名前] バックアップの対象となるグループ名を入力 例)APServerGroup
[バックアップ・ポリシー] 先に作成したユーザー定義のバックアップ・ポリシーを選択します。 ここでボリューム・グループとバックアップ・ポリシーの紐づけがおこなわれます。
2. ボリュームの追加
続けて、グループのボリュームメンバーを選択していきます。ここでは、前述の構成図にあるように個々のAPサーバのブートボリュームとブロックボリュームをグループとして登録します。これによりグループ内すべてのボリュームがスケジュールされた時間にバックアップ対象となります。
ボリュームの選択 をクリックすると、グループの対象可能なボリュームがリストされるので、個々にバックアップ対象のボリュームを選択し追加していきます。
全てのボリュームを追加したら、作成 をクリックしボリューム・グループを作成します。
ブート・ボリュームも確認します。
以上で、バックアップの設定は完了です。問題なければスケジュールされた時間にボリューム・グループでの自動バックアップが実行されるはずです。
バックアップ実行結果の確認
日本時間の深夜23:00にバックアップをスケジュールしていたので、一晩経過してバックアップが実行されたかを確認します。ナビゲーション・メニューから [ブロック・ストレージ] – [ボリューム・グループ・バックアップ]を選択します。
バックアップのリストが表示されるので、今回作成したボリューム・グループ(APserverGroup)のバックアップをクリックします。
バックアップの作成日:がUTC表示で14:03:44 UTC と表示されていますが、リージョン・データ・センター時間(大阪リージョン)に置き換えると23:03:44 UTC(+9時間) となるため、バックアップ・ポリシーのスケジュール時間に準じてバックアップが実行されたことが伺えます。
ボリューム・グループで定義した2つのブロックボリュームと、2つのブートボリューム(画面は省略)が全てバックアップされていることが確認できました。
バックアップからのリストア
ブロックボリュームのリストアは既存のボリュームにデータをリストアするのではなく、バックアップから新しいボリューム作成します。
レストアが必要なボリュームを選択して、ブロックボリュームの作成をクリックします。
[名前] 任意の名前を入力
[コンパートメントに作成] ご自身のコンパートメントを選択
[可用性ドメイン] デフォルトのまま
[バックアップ・ポリシー] 無指定のまま
[暗号化] 無指定のまま
ブロック・ボリュームの作成 をクリック。新たにボリュームが作成されました。
この状態ではまだインスタンスにアタッチしていないため、
- 既存のインスタンスにアタッチしているブロック・ボリュームをデタッチした後に、
- 上記のインスタンスにアタッチ をクリックして、対象のインスタンスを指定してアタッチを完了してください。
以上で、バックアップとリストア操作を完了することができます。巻末の参考URLもご覧ください。
確認できたこと
- ブートボリューム、ブロックボリューム含めてボリュームのグルーピングができる
- ボリューム・グループで一括して、ユーザー定義のスケジュールに基づくバックアップが実行可能
- 例)毎日23:00(大阪リージョン時間)にボリューム・グループ(Webサーバー/APサーバのブートボリュームとブロックボリュームなど)の増分自動バックアップを実行 など..
- リージョン障害を考慮して**ディザスタリカバリ(DR)**する場合には、別リージョンへのスケジュールバックアップも可能