この記事はNSSOL Advent Calendar 2024の22日めの記事です。
細かい管理が苦手でTODOリストを最新にするのもしんどいヒトが「ゆるゆる」と「きちんと」プロジェクトを進めていくための工夫を紹介します。具体的な例として、会社負担のパーティー企画を取り上げ、優先順位のつけ方やマイルストーンの設定方法、バッファの使い方などについてとりあげます。この記事を通じて、プロジェクト管理のヒントを得ていただければ幸いです。
はじめに
ITエンジニアとして働く人はプロジェクト管理と必ず縁があると思います。管理する人として、あるいは管理される人として。私は、細かいスケジュールを立てたりスケジュール通りモノゴトを進めるのが苦手でキライです。一方で、行き当たりばったりでモノゴトを進めていったり夏休みの宿題的に期日間際で一気にがんばるのも苦手です。ではどうするか。「ゆるゆる」と「きちんと」を両立させるしかありません。そのために工夫していることを紹介します。
ちょうど今「会社が費用負担してくれるパーティーっぽい何か」企画が走り始めているので、それを例にします。1
【1】ゆずれないことを軸に考える
ゆずれないことを明らかにする
プロジェクトとは、ゴールとなる目的と期限があるモノゴトのことです。が、大抵のプロジェクトは、案外ふんわりしたゴールしか決まっていない状態でスタートします。「〇〇規制対応」みたいなお堅い感じのやつでさえも、実現手段は、意外とバラエティに富んでいるものです。
なので、プロジェクトの最初の段階で、なにがなんでも実現する「ゆずれないこと」を明らかにすることがとても大切です。ゆずれないことは、外部条件として規定されるものと、プロジェクトとしての理想を追い求める「やりたいこと」に分かれます。外部条件は、変えられない、あるいは、変えるには相応の労力を必要とすることが多いので、自動的に「ゆずれない」ものになります。というか、ゆずってはいけないことがほとんどだと思います。
私が実行するプロジェクトでは、コストと期日は、外部から与えられ、スコープやスケジュールの細かいところは「やりたいこと」の中で調整することが多いです。
「パーティーっぽい何か」の場合
- 外部条件(ゆずれないこと)
- 予算の総額と執行期間が決まっている
- 大きなテーマは決まっている
- パーティーとか懇親会とか呼ばれるものを開催する
- やりたいこと(ゆずってもいいものも含まれる)
- テーマに関心がある人に参加してほしい
- テーマについてポジティブな印象を抱いてほしい
- 参加者が楽しめてちょっと前向きになれるような時間にしたい
- 今まで関心がなかった人にも興味を持つきっかけにしてほしい
- できるだけ多くの人に参加してほしい
- 気軽に参加してほしい
- 参加者同士が交流できるような場にしたい
- 参加者にちょっとしたプレゼントを渡したい
やりたいことを「ゆずれないこと」と「あきらめる」ものに分ける
やりたいことを全部実現できることが理想ですが、たいていは「ゆずってはいけない」コストやスケジュールが理由であきらめることが出てきます。しかたがありません。じっと胸に手をあて、時にミッション、ビジョン、バリューに立ち返り、やりたいことの優先順位をつけていきます。といっても、やりたいことを全部リストにして優先順位順に並び替えるなんてことをしません。ぼんやりと「なんとか合格点」の完成形を思い浮かべるのです。
「パーティーっぽい何か」の場合
こんなものでしょうか。
- 日時決め打ちでアナウンスして、たまたま予定が合う人に参加してもらう
- ふらっと参加しやすいようにオフィスのカフェスペースでやる
- テーマについて参加者に知ってもらうためにスライド投影つきプレゼンをする
- 楽しくおしゃべりできる余白のある会にする
上記以外は全部オプションです。できなかったらあきらめればいいのです。とにかく「ゆずれないこと」を実現するためには何をすればいいのかをまず考えることが大事です。
実現可能な「ゆずれないこと」にする
実現可能かどうかは早い段階で見極めることが大切です。細かいことはともかく、実現可否に注目するのがポイントです。「実現可能なゆずれないこと」を見つけ出すところまではできるだけ早期に到達しましょう。
「パーティーっぽい何か」の場合
まず見極めるべきは以下です。
- オフィスのカフェスペースを使うことができるのか
- カフェスペースでスライド投影付きのプレゼンができるのか
どちらかがNGだったら「ゆずれないこと」の調整が必要です。
- そもそもカフェスペースを使うことができなかったら
- 開催自体は「ゆずってはいけないこと」なので、開催をやめるという選択肢はありません
- 参加しやすさを犠牲にしてでも場所を変える必要があります
- スライド投影付きのプレゼンができなかったら
- 「参加しやすさを犠牲にしてスライド投影付きプレゼンができる場所に変える」か
- 「プレゼンはスライドなしにする」か
- 「参加しやすくスライド投影つきプレゼンもできる新たな場所を探し出す」か
- イロイロ考えないといけません
ゆずらない強いココロを持つ
ゆずれないことを決めたら、ゆずらないことが大切です。ことばにすると、ヘンな感じですが、大切です。ゆずらないのです。
【2】マイルストーンで管理する
マイルストーンは安心するためのもの
計画時には、まず「ゆずれないこと」を実現するためのマイルストーンを置いていきます。ここさえ守れば最低ラインには到達できるベースラインです。ここだけ死守すれば「きちんと」進んでいきます。こまかいことは、気にしなくてもよくなります。
「パーティーっぽい何か」の場合
- 場所の予約(とそのために必要なだいたいの参加人数決定)
- プレゼンなどに必要な機材の手配
- 料理や飲み物の予約(とそのために必要な参加人数の決定)
くらいでしょうか。
オプションを追加するマイルストーン
ゆずれないマイルストーンを「きちんと」進めるだけなら、細かいスケジュールを立てて進めるのとあまり変わりません。オプションの実現も果敢に狙っていきます。マイルストーンを置いてみたら明らかに多すぎると感じることがあります。そんなときは、あきらめます。ゆずるのです。
オプションのために必要なマイルストーンは「ここまでに、これができなかったらあきらめる」という期日を決めておくと、あきらめやすいです。
オプションを並べてみたとき、ゆずれない度はグラデーションになることがほとんどでしょう。あきらめたくないオプションがあれば、あきらめなくて済むようにがんばればいいのです。
【3】バッファは、バッファとして使う
バッファは、必要になったら使うもの
かつて、1日単位のWBSで管理していて1日でも遅れると説明を求められるというプロジェクトに参画していたことがあります。そうするとどうなるか。細かいタスクひとつひとつにバッファを積むようになります。バッファがあるとどうなるか。バッファがあるからまだやらなくて大丈夫だな。という気持ちになり、バッファは最初に消費されてしまいます。意味ないです。
とはいえ、どんなに小さいプロジェクトでもトラブルは起きます。何かあってもプランBを発動できるくらいにはバッファを用意しましょう。
チーム外にお願いすることのバッファは多めに積む
どんなプロジェクトでも、チーム内だけで完結することは極稀でしょう。他チームや他社にお願いすることについては、可能な限りバッファを積むようにするのが無難です。
ただ、その場合も締め切りは、バッファを除いた期日で伝え、バッファは、本来のバッファとしての役割を全うできるようにしましょう。
【4】「あとはやるだけ」の状態をつくる
初めて訪れた街で、地図をみながら目的地を目指す時「あとはこの道をまっすぐ行くだけだな」となったときの安心感はたまりません。あれと同じ状態を目指すのです。そのために必要なのは、スケジュール表ではなく、課題管理表です。
「パーティーっぽい何か」の場合
今現在「スライド投影しながらプレゼンするために必要なモノの準備」の方法にいくつか選択肢がある状態であり「課題管理」が必要な状態です。
【5】進める強い意志を持つ
あとはやるだけになったら、あとは粛々と実行するだけです。やるのです。
おわりに
「パーティっぽい何か」って例がライトすぎたな…と思いましたが、アプリ開発でも、同じ考え方でやっています。小さめのプロジェクトを「ゆるゆる」と「きちんと」進める一助になれば幸いです。
面白い仕事の進め方してるな。一緒に働いてみたいな。と思ってくださった方は、ぜひお声がけください!
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公開直後にこれを読んでいて何のことかわからない社内の人は、ぜひ直接お問い合わせください ↩