VMware代替としてのProxmox VEを検証してみた
VMwareのライセンス体系変更や価格高騰を受け、オープンソースの仮想化基盤として Proxmox Virtual Environment(PVE) が注目を集めています。そこで、実際にProxmoxをインストール・検証してみました。
Proxmoxとは?
Proxmox VEは DebianベースのKVM/QEMUを使用したオープンソースの仮想化プラットフォーム です。GUIベースの管理インターフェースを備え、仮想マシン(KVM)とコンテナ(LXC)の両方をサポートしています。コンテナは昔のOpenVZのコンテナに似ています。
検証環境
今回の検証は以下の環境で実施しました。
- サーバー: Dell PowerEdge R740
- CPU: Intel Xeon Silver 4214 (12コア/24スレッド) ×2
- メモリ: 128GB
- ストレージ: 1TB ×2(ZFS RAID1構成)
- ネットワーク: 10GbE ×2
インストールは公式のISOを使用し、数十分で完了しました。WebUIにアクセスするだけでセットアップが進められるため、非常に簡単でした。
感想
1. UI/UX
ProxmoxのWebUIはシンプルで直感的に操作でき、ます。仮想マシンの作成、スナップショットの取得、コンソールアクセスなどがブラウザ上で完結します。
2. HAとライブマイグレーション
クラスタ環境を構築し、仮想マシンのライブマイグレーションを試しました。VMware vMotionと同様に、VMを停止せずに別のノードへ移動可能でした。ただし、Cephなどの共有ストレージが必要になるため、インフラの設計は慎重に行う必要があります。
3. バックアップとリストア
Proxmoxには バックアップ機能(有料オプション)が搭載されており、スケジュール設定や圧縮オプションも利用可能です。VMのスナップショットを取得し、短時間でリストアできる点は優秀です。
Proxmoxのメリット・デメリット
メリット
✅ 無償で利用可能(商用サポートは有料)
✅ KVMベースの高性能な仮想環境
✅ WebUIで直感的に管理可能
✅ ZFSやCephと連携できるストレージ機能
✅ クラスタ管理機能
デメリット
⚠️ 日本語の情報が少ない(公式ドキュメントは英語)
⚠️ vSphere、OpenStack、Nutanixほどのエコシステムはない
⚠️ 大規模環境では設計の工夫が必要
⚠️ Cephを使うと面倒くさくなる、特にトラブルの切り分けが難しい
⚠️ コマンドラインに慣れていない方は厳しい
⚠️ Cephと組み合わせて使う場合のバージョンアップ若干面倒くさい
まとめ
個人的な感想ですが、ProxmoxはVMwareの代替としてある程度の機能とパフォーマンスを備えていると感じました。しかし、VMwareを完全に置き換えることは難しく、特にエンタープライズ環境での本番運用には慎重な検討が必要です。
特にvSphereほどのエコシステムやサポート体制が整っていないため、本番環境ではなく、検証機やテスト用途として活用するのが現実的でしょう。今後のアップデートやエコシステムの発展次第では、より幅広い用途に適用できる可能性があります。