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3D Tiles の概念や雰囲気をざっくりと説明する

Last updated at Posted at 2024-10-23

3次元の地理情報データをストリーミングするための規格である 3D Tiles の概要を説明します。詳しい話はいくらでもありますが、ここでは雰囲気をつかむことを目的とします。

(これは、2023年9月末に社内用に書いたメモ書きをほぼそのまま転載したものです)

2Dタイルおさらい

2Dの地図タイルは既にご存知とします。

おなじみのXYZタイル (2D)

MapTiler 社のこのページが分かりやすいです:

技術的にいえば「四分木(Quad-tree)」というツリー構造です:

image.png

特徴

  • 地球全体を表現できる
  • ズームインして詳細を見れる
  • 必要な部分だけ随時ダウンロードすれば済む(ストリーミングできる)

これらの特徴は2Dのタイルでも3Dタイルでも同じです。

3Dもタイル化したい

Cesium が策定した仕様「3D Tiles」。今では OGC (Open Geospatial Consortium) のオープン標準になっています。

3D Tilesももちろんツリー構造ですが、かならずしもXYZタイル(四分木)のような規則的なツリーでなくていいのが特徴です。つまり空間をツリー構造に分割していく方法はかなり自由です。

3D Tiles 1.0 と 3D Tiles 1.1 があり、いずれもOGCのオープン標準になっています。仕様書: 3D Tiles Specification

3D Tilesで表現できるもの

Cesium のデモをみると、何がどこまでできるのかがわかりやすいです。色々なデモがあります。

  • 3Dメッシュ: 建物、地形、etc.
  • 点群
  • 3Dインスタンス: 同じ物体(例:電柱)を大量に配置 (GPU Instancing)

地物や頂点などにメタデータを付与することもできます。

Untitled.jpg

Google Photorealistic 3D Tiles

Google Photorealistic 3D Tiles も「3D Tiles 1.0」(2023年9月時点) として利用できます。

地上の人工物だけでなく地形もいっしょくたに表現されています。Cesium上に表示するときは、Cesiumが提供する地形は非表示にしましょう。

// Google Photorealistic 3D Tiles は地面もいっしょに含んでいるため、
// Cesiumが提供する地球は表示しなくてよい。
globe: false;

各タイルがどうなっているかを、デバッグ表示でみてみます。

Untitled2.jpg

ちなみに、どのタイルもファイルサイズは 10〜100 KB程度になっています。

3D Tiles (1.0) のタイル分割

2Dなタイルと似ている点

  • ツリー構造なのは同じ。
  • ツリーの子にいくほど詳細度が上がるのも同じ。HLOD = Hierarchical Level of Detail

2Dなタイルと異なる点

  • 空間を分割していく方法がまったく自由。 各自で自由に決める。
    • 直方体、球、リージョン(今回は触れない)で自由に分割していく。
    • もちろん単純な4分割や8分割を繰り返していってもいい。
    • 県 → 市 → 町字 みたいな分割でもいい。
    • なんでもいい。
    • 注)3D Tiles 1.1 には “implicit tiling” もある(あとでさらっと言及)。
  • タイルの境界が重なり合っていてもいい。
  • 詳細度を上げていく(ツリーの子をたどる)際の方法として refine: REPLACE と refine: ADD が選べる
    • REPLACE → 子タイルの内容で親タイルの内容を入れかえる方式 (→ Photorealistic 3D Tiles)
    • ADD → 子タイルの内容を親タイルの内容に追加していく方式 (→ OSM建物デモ)
    • これらはツリーの途中で切り替えることも可能

ツリーの組み方の主なルールは以下の2つ。あとは自由です:

  • 子のコンテンツが、親のバウンディングボリュームを超えないこと
  • 子にいくほどジオメトリの誤差 (geometricError) が小さくなること

少しだけ詳しいタイルツリーの構造

Google Photorealistic 3D Tiles の実際のタイルツリーをみてみると次のようになっています:

  • タイルのツリー構造(=タイルセット)は JSON で記述されている。
  • ツリーの途中で別のタイルセットファイルを参照できる(例えば地球規模のタイルセットの場合、1つの超巨大なJSONファイルで表現するのはまずい or 不可能)。
  • 各タイルにそのタイルのジオメトリ誤差 (geometricError) が記載されている。
    • 表示側は、その誤差では不十分と判断したら、さらに子をたどる

Tiling.jpg

3D Tiles 1.1 の新機能

3D Tiles 1.1(かつて 3D Tiles Next と言われていたもの)。

主には:

  • 3Dデータを すべてglTF で表すようになった(1.0 ではglTF の利用は拡張機能だった)
    • いままでのデータ形式 (.b3dm, .i3dm, .pnts, .cmpt) はすべて deprecated になった。
  • Implicit Tiling”(暗黙的タイリング)も使えるようになった
    • XYZタイルのような「4分木 (Quad-tree)」ないし「8分木 (Octree)」で、効率的に空間分割できる。具体的な実現については複雑なのでここでは触れない。

詳しく知りたい方は

仕様書・サンプルが充実しています。

3D Tiles 1.0 & 1.1

glTF 2.0

GISのための glTF 拡張

標準的な圧縮形式・技法

Cesiumがサポートしているもの:

  • Draco
  • Meshopt
  • KTX2
  • など

3D Tiles, 3D Tiles Next (1.1) の デモ色々

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