5/28-31の4日間、TOGAFトレーニングコースに行ってきました。面白かったです。
TOGAFとは
オープン・グループ・ジャパン からの抜粋ですが、
TOGAFとは、The Open Group Architecture Frameworkの略称で、グローバルなIT標準団体であるオープン・グループのアーキテクチャ・フォーラム(アーキテクチャ技術部会)が永年にわたり開発してきた、エンタープライズの経営意思に立脚したITシステム体系(ITアーキテクチャ)を策定するための手法およびツールです。
とあります。
講義内では上記の「エンタープライズの経営意思に立脚したITシステム体系」をEA(エンタープライズ・アーキテクチャ)と表現していたと思います。
例として出て来たのが、社内システムからはじまって、CRMとかSFAとか、航空管制システムとか社会インフラへのICT活用とかそういうものだったので、ま、複数の組織の利害が存在する(エンタープライジーとか軽ーく言ったりする)様な状況で問題となることがらを体系的に整理した上で、アウトプットとプロセスについて定義したもんだと受け止めました。
特徴
個人的に印象深かったTOGAFの特徴をば。
ソフトウェアエンジニアリングの部分少なめ
簡単に言うと、そのコンポーネントは買うのか作るのかを決めるまで、がTOGAFにおけるアーキテクチャ設計です。どんなプロジェクト管理手法や開発手法を採用するのかも、定められていません。それよりも、そのコンポーネントが満たすべき要件や準拠すべき標準を定めることが主眼になります。
実際に開発する組織とは、「アーキテクチャ契約」と「要件の変更管理」で対話するイメージでした。
ゴール指向
アーキテクチャの実現を強力に推進するための組織づくりや動機、目標の明文化のためのテクニック・プロセスにかなりの分量が割かれています。
実現までに長い期間がかかり、その間にキープレイヤーがいなくなるなんてことも容易に想像できるわけで、長く使われるシステムを構築、運用して行くためには、組織の中にアーキテクチャを維持管理していく仕掛けが必要というアプローチには納得感ありました。
また、最終的にシステムを開発・利用・運用するために必要なスキルセットを定義して、段階的にトレーニングを積ませながらアーキテクチャを徐々に実現して行く点も、現実的だなと思いました。
エビデンス重視
多数のステークホルダーが関わる中で、アーキテクチャが各種の判断、例えば安全性やセキュリティ、ディペンダビリティにどう備え、合意を形成しているのか、についてしっかり記載しておくことが重視されていました。
これは、アーキテクチャの品質という側面以外に、インシデントやリコールといった事態が発生した時に、説明責任を果たすための大事な考え方だと説明を受けました。
良かったこと
経験豊富な講師陣
講師陣の方々がとても経験豊富な方々で、沢山の経験談を聞くことができました。
(最初入室した時、とても高齢の方に見えたので、だ、大丈夫かなと思ってしまいました。実際は私よりもバイタリティ溢れる方々で...本当に申し訳ございません)
大きなシステムを設計するという経験はなかなかできないので、自分が体験できないような事例に対して、実際どう考え、判断し、実行したか聞けるのはとても有意義でした。
もちろんその事例が、実際にTOGAFの概念ではどう説明できるのか、という形で講義が進みましたので、TOGAFトレーニングという意味でももちろん良かったです。
方向付けフェーズでのノウハウを知ることができた
組織を越えて長期間アーキテクチャを維持進化させて行く上で、経営陣やステークホルダーとどのような視点、運営方法で合意形成すべきか丁寧に述べられていたので、TOGAFと言わないまでも、小さなプロジェクトのスタート時に役に立ちそうでした。
特に開発リソースのAs-Is/To-Beについて認識をあわせた上で、どのようにリソースを調達、強化(エンジニアなら教育・訓練)していくかを、アーキテクチャの段階的な実装と同様に計画していく点が興味深かったです。
おまけ
トレーニング内容
最後に、トレーニングの流れについてさくっと書いておきます。雰囲気だけでも。
1〜3日目
最初の3日間はみっちりTOGAFの概念を詰め込みます。
- 概論
- プロセス
- 技法、成果物について個別に深掘り
ボリュームが結構あるのでかなり駆け足なのですが、Q&Aやテストで疑問点を解消する形でした。
初日には懇親会もあり、そこでも活発に質疑がなされていました。
組織をまたぐシステムを設計する仕事に関わる人同士のつながりをつくる機会でもありましたね。
4日目
最終日は、TOGAF以外の関連技術の紹介と、認証試験でした。
- ArchiMate
- D-Case
- 演習
- 認証試験
試験... 文章問題が難しかったです。選択式なのですが、選択肢の中で完全な間違いはひとつだけなので、時間いっぱいまで悩みました。