注意：
- この記事は 2020/11/22 に記述された回避策です
- wasm-pack、もしくは Rust 本体の対応が進めば、この回避策は不要になります
- まずはリリースノートを確認してください
- Rust そのもののインストールについては、こちらの記事をご覧ください
TL;DR
- arch コマンドで x86_64 を指定して、インストールスクリプトを実行します
- インストール後は、Intel Mac と同様に開発を行えます
インストールスクリプトが動きません
Web サイト には、次のようにインストールスクリプトを実行してインストールするように案内されています。
$ curl https://rustwasm.github.io/wasm-pack/installer/init.sh -sSf | sh
そのまま実行すると、arm64 向けのバイナリは存在しないというエラーメッセージが出力され、インストールが進みません。
wasm-pack-init: no precompiled binaries available for CPU architecture: arm64
インストールスクリプトの 46 行目付近に次の記述があります。ここではインストールスクリプトの実行されたハードウェアのタイプから、インストールするバイナリを選んでいます。
46 local _tardir="wasm-pack-v0.9.1-${_arch}"
47 local _url="$UPDATE_ROOT/${_tardir}.tar.gz"
$UPDATE_ROOT には https://github.com/rustwasm/wasm-pack/releases/download/v0.9.1 が設定されていること、また 56 行目や 172 行目付近の内容から、このスクリプトは wasm-pack のリリースページからバイナリをダウンロードすることがわかります。
Rosetta2 のおかげで Apple Silicon では x86_64 のバイナリが実行できます。wasm-pack も x86_64 版をダウンロードしてインストールすればよさそうです。念のため、GitHub のリリースページ にアクセスし、v0.9.1 に x86_64 向けのバイナリがあることを確認します。
インストール方法
前節で、x86_64 のバイナリをインストールすればよさそうであることがわかりました。
インストールスクリプトはシェルスクリプトで記述されています。arch コマンドを使い、 x86_64 上で動いていることとして、このスクリプトを起動します。
$ curl https://rustwasm.github.io/wasm-pack/installer/init.sh -sSf | arch --x86_64 sh
しばらく待てばインストールが終わります。
動作確認
hello_wasm プロジェクトを作り、ビルドして、Wasm ファイルができていることを確認します。
$ wasm-pack new hello_wasm
[INFO]: ⬇️ Installing cargo-generate...
🐑 Generating a new rustwasm project with name 'hello_wasm'...
⚠️ Renaming project called `hello_wasm` to `hello-wasm`...
🔧 Creating project called `hello-wasm`...
✨ Done! New project created /Users/username/hello-wasm
[INFO]: 🐑 Generated new project at /hello_wasm
$ cd hello_wasm
$ wasm-pack build
[INFO]: 🎯 Checking for the Wasm target...
[INFO]: 🌀 Compiling to Wasm...
# 中略
[INFO]: ⬇️ Installing wasm-bindgen...
[INFO]: Optimizing wasm binaries with `wasm-opt`...
[INFO]: Optional fields missing from Cargo.toml: 'description', 'repository', and 'license'. These are not necessary, but recommended
[INFO]: ✨ Done in 9.54s
[INFO]: 📦 Your wasm pkg is ready to publish at /Users/username/hello-wasm/pkg.
以上でビルドが終わり、pkg フォルダに Wasm ファイルが作られていれば、動作確認終了です。
$ ls pkg
README.md hello_wasm_bg.js package.json
hello_wasm.d.ts hello_wasm_bg.wasm
hello_wasm.js hello_wasm_bg.wasm.d.ts