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BEAR.SundayでDIをレンタルサーバーで試してみる

Last updated at Posted at 2018-06-04

はじめに

前回は、クイックスタートを動かすことができたので、
今回はBEAR Serverの特徴の1つ、DIを試してみます。
DIにはたくさんの種類がありますが、今回は基本の「コンストラクタインジェクション」を試してみます。

ゴール

DIされたPersonManagerクラスにタロウさんとマイケルの二人の情報を登録し、
listメソッドで登録されている一覧をJSONで返すという単純な例です。

今回作る成果物をレンタルサーバーXServer上にアップロードし、

  http://{あなたのドメイン}/foo/

ターゲットURLにアクセスすると

JSONレスポンス

  {
    "list": [
        {
            "name": "Taro",
            "country": "JP"
        },
        {
            "name": "Michale",
            "country": "US"
        }
    ],
    "_links": {
        "self": {
            "href": "/index"
        }
    }
  }

が表示されることがゴールになります。

登場クラス

  • 人材データを保存するPersonクラス
  • 人材管理用クラスのPersonManagerクラス
  • DIで使用するためのPersonManagerIntarfaceインターフェース

公式 DIの説明

ローカル開発環境

前回と同様 Windowsにて開発

  • Windows7 CLI環境
  • PHP 7.2.5 (cli) (built: Apr 25 2018 02:20:05) ( ZTS MSVC15 (Visual C++ 2017) x64 )
  • Composer version 1.6.4 2018-04-13 12:04:24

サーバー環境の準備 (xserverの場合)

  • 必要なもの
  • SSHでの接続
  • FTPでの接続

:information_source: 参考: XServerの標準パス例

   * [ドメインルート]
  
   * URL 
      - http://{あなたのドメイン名}/
  
   * サーバードメインルートパス:(ウェブ非公開フォルダ)
      - /home/{ユーザー名}/{あなたのドメイン名}/
  
   * ウェブ公開パス
     - /home/{ユーザー名}/{あなたのドメイン名}/public_html/

BEAR.Sundayのプロジェクトの作成

   cd C:\bear_di (作業フォルダ。環境によって変えてください。)
   C:\bear_di>composer create-project -n bear/skeleton MyVendor.DiProject

 数分でインストール完了します。

CLI(コマンドプロンプト)で動作確認

  C:\bear_di\MyVendor.DiProject\> php bootstrap\web.php get /

以下のようなレスポンスが帰ってくればOKです


  200 OK
  content-type: application/hal+json

   {
       "greeting": "Hello BEAR.Sunday",
       "_links": {
           "self": {
               "href": "/index"
           }
       }
   }

作業の手順

  • Interfaceを作る

    • PersonManagerInterface
  • classを作る

    • PersonManager
    • Person
  • AppModuleにDIを書く

  • ページリソースの Index.phpに実装する
    + 二人の情報をPersonManngerに登録して、一覧を帰り値とする

  • ローカルでテストを行う

  • サーバーにアップロード

  • シンボリックリンクを貼る

  • ブラウザで表示

srcフォルダのファイルツリー

tree.png

Interfaceを作る

:information_source: ポイント

   srcフォルダへのnamespageはデフォルトでは、MyVendor\MyProject になる
<?php
namespace MyVendor\MyProject;

interface PersonManagerInterface {
	public function register(Person $p);
	public function list();
}

classを作る

src\PersonManager.php

<?php
namespace MyVendor\MyProject;

class PersonManager implements PersonManagerInterface {
	// 登録ユーザーの保存用
	private $personList = [];

	// ユーザーを登録する
	public function register(Person $p) {
		array_push($this->personList, $p);
	}

	// ユーザー一覧を返す
	public function list() {
		return $this->personList;
	}
}

src\Person.php

<?php
namespace MyVendor\MyProject;

class Person {
	public $name;
	public $country;
	
	static function create($name, $country) {
		$p = new Person();
		$p->name = $name;
		$p->country = $country;
		return $p;
	}
}

依存を受け取る箇所をPageリソースのIndex.phpに記述する

src\Resource\Page\Index.php

php
<?php
namespace MyVendor\MyProject\Resource\Page;

use	Ray\Di\Inject;	// 追加した
use Ray\Di\Named;	// 追加した
use BEAR\Resource\ResourceObject;

// 作成したPerson, PersonManagerを読み込む
use MyVendor\MyProject\Person;
use MyVendor\MyProject\PersonManager;
use MyVendor\MyProject\PersonManagerInterface;

class Index extends ResourceObject
{
	private $pm;	// PersonManagerInterface

	/**
	 * コンストラクタインジェクション
	 */
	function __construct(PersonManagerInterface $pm) {
		$this->pm = $pm;
	}

    public function onGet(string $name = 'BEAR.Sunday') : ResourceObject
    {
		if ($this->pm == null) {
			$this->body = [
				'error' => "error: pm is null. It is not DI inject."
			];
			return $this;
		}

		$taro = Person::create("Taro", "JP");
		$michale = Person::create("Michale", "US");

		// 二人追加する
		$this->pm->register($taro);
		$this->pm->register($michale);

		// 一覧を取得
		$list = $this->pm->list();

        $this->body = [
            'list' => $list
        ];

        return $this;
    }
}

AppModule.phpに束縛を追加する

今回は、リンク束縛 を使います。

書式は、

  $this->bind($interface)->to($class);

公式には「 最も基本の束縛 です」と書かれていますが、
この基本とは「インターフェイスとクラスを束縛するので”基本” by Koriymさん」とのことです。
(※ ただ例えば文字列の場合はインターフェイスがないので使えません。)

:information_source: 束縛とは?

   インジェクタの仕事はオブジェクトグラフを作成することです。
   型を指定してインスタンスを要求し、依存関係を解決し、すべてを結びつけます。
   依存関係の解決方法を指定するにはバインディングを設定します。
   
   公式HPより引用
   https://bearsunday.github.io/manuals/1.0/ja/di.html

それでは、AppModule.phpに束縛(bind部分)を追加します

src\Module\AppModule.php

php
<?php
namespace MyVendor\MyProject\Module;

use BEAR\Package\PackageModule;
use josegonzalez\Dotenv\Loader;
use Ray\Di\AbstractModule;
use Ray\Di\Di\Named;

use MyVendor\MyProject\PersonManagerInterface;
use MyVendor\MyProject\PersonManager;
class AppModule extends AbstractModule
{
    /**
     * {@inheritdoc}
     */
    protected function configure()
    {
    	// 追加した
        $pm = new PersonManager();

        // 追加した「リンク束縛」
        $this->bind(\MyVendor\MyProject\PersonManagerInterface::class)
             ->to(PersonManager::class);

		// 最初から記述されている部分
        $appDir = dirname(__DIR__, 2);
        (new Loader($appDir . '/.env'))->parse()->toEnv();
        $this->install(new PackageModule);
    }
}

AppModule.php内では、 リンク束縛

  $this->bind(\MyVendor\MyProject\PersonManagerInterface::class)
             ->to(PersonManager::class);

のように記述しています。

以上で準備が完了です。

PHPUnitによるテストを行う

BEAR.Sundayのスケルトンでは ローカル上 でも PHPUnit が使えるようになっているので、
以下のようにコマンドを入力することでテストが行えます。

  composer test

このままではエラーが出ますので、IndexTest.php に期待するテストコードを記述します。

tests\Resource\Page\IndexTest.php

php
<?php
namespace MyVendor\MyProject\Resource\Page;

use BEAR\Package\AppInjector;
use BEAR\Resource\ResourceInterface;
use BEAR\Resource\ResourceObject;
use PHPUnit\Framework\TestCase;

class IndexTest extends TestCase
{
    /**
     * @var ResourceInterface
     */
    private $resource;

    protected function setUp()
    {
        $this->resource = (new AppInjector('MyVendor\MyProject', 'app'))->getInstance(ResourceInterface::class);
    }

    public function testOnGet()
    {
        $ro = $this->resource->uri('page://self/index')(['name' => 'BEAR.Sunday']);
        /* @var ResourceObject $ro  */
        $this->assertSame(200, $ro->code);

        // リストを取り出す
        $list = $ro->body['list'];
        $person1 = $list[0];
        $person2 = $list[1];

        // テスト
        $this->assertSame('Taro', $person1->name);
        $this->assertSame('JP', $person1->country);
        $this->assertSame('Michale', $person2->name);
        $this->assertSame('US', $person2->country);
    }
}

上記のように期待するテストを追加したあと、再度composer testを実行します。

  composer test

test_ok.png

このように OK がでれば完了です。

これでサーバーへアップロードする準備ができました。

MyVendor.DiProjectをzipファイルにまとめる(ローカル側)

  好きなツールを使って、MyVendor.DiProjectフォルダごとzipに圧縮
  MyVendor.DiProject.zipができる

サーバー側のアップロード先フォルダ「app_bear」の作成

:warning: [注意ポイント]

  アップロードするコードなどは ウェブ非公開のフォルダ に保存すること

・ウェブ 非公開フォルダ のドメインルートパスに、「app_bear」フォルダを作成

  $cd /home/{ユーザー名}/{あなたのドメイン名}/
  $mkdir app_bear

作成したプロジェクトをサーバーのapp_bearフォルダへ転送

  転送先 /home/{ユーザー名}/{あなたのドメイン名}/app_bear/

SCPやGit、FTPなどを使ってapp_bearフォルダへ転送します。

:warning: 注意

   XServerの場合、 GitやSCPは正式にサポートされていない ので :warning: 自己責任 :warning: で行ってください。
   
   私自身はGITリポジトリの作成やSCP接続でのアップロードはネットを参考に使用することはできましたが、
   :warning: 何か問題が発生してホームページが表示されない等のトラブルがあってもXServerのサポートを受けることができません。:warning:

   XServerで利用する場合には、下記の「FTPで転送したい場合」を試すか、
   GitやSCPを使いたい方は、素直にGitやSCPサポートを受けられるサーバーを利用することをお勧めします。

:information_source: メモ

   FTPで転送したい場合
   
   FTPの場合、転送するファイル数が多いので、ローカル側でZIP圧縮したファイルを送り、サーバー側で展開すると効率的です。
  • サーバーへSSH接続後、
     cd /home/{ユーザー名}/{あなたのドメイン名}/app_bear
     unzip MyVendor.DiProject.zip

展開すると MyVendor.DiProjectフォルダが作成され
そのなかに展開されたファイルが

     /home/{ユーザー名}/{あなたのドメイン名}/app_bear/MyVendor.DiProject

にファイルが設置されます。

web公開フォルダに、「foo」ディレクトリを作る

  cd /home/{ユーザー名}/{あなたのドメイン名}/public_html/
  mkdir foo
  cd foo

XServer用のbootstrapを作成する

通常、web公開フォルダをドメインルートにした場合はこの作業は必要ありませんが、

  http://{あなたのドメイン名}/foo/

のように サブディレクトリ内 で動かす場合には、

サーバーごとのPHPのREQUEST_URIに合わせて、bootstrapファイルを作ると便利です。

BEAR.Sundayには、api用のbootstrapである「api.php」と、webページ用の「web.php」が用意されています。

今回はページリソースのIndex.phpに実装しているので、web.phpをベースにして、xserver.phpを作成します。

  cd /home/{ユーザー名}/{あなたのドメイン名}/app_bear/MyVendor.DiProject/bootstrap
  cp web.php xserver.php

次に、このファイルを修正します。

XServerの場合は、

  http://{あなたのドメイン名}/foo/

にアクセスすると
[REQUEST_URI] => /foo/
と設定されるので、xserver.php内で、以下のようにします。

php
<?php
$_SERVER["REQUEST_URI"] = "/";
$context = PHP_SAPI === 'cli' ? 'cli-hal-app' : 'hal-app';
require __DIR__ . '/bootstrap.php';

2行目のここがポイントです。
$_SERVER["REQUEST_URI"] = "/";

これを記述することによって、/fooディレクトリをサービスの起点に変更できます。

ユーザーによっては / ではいけない場合があるかもしれないので、その場合は調整してください。

BEAR.Sundayのpublicフォルダ内にある 「.htaccess」と「index.php」にシンボリックリンクを貼る

  ln -s /home/{ユーザー名}/{あなたのドメイン名}/app_bear/MyVendor.DiProject/public/.htaccess .
  ln -s /home/{ユーザー名}/{あなたのドメイン名}/app_bear/MyVendor.DiProject/bootstrap/xserver.php index.php

ブラウザでアクセス

  http://{あなたのドメイン名}/foo/hello

表示が下記のようになれば成功です。

JSONレスポンス

  {
    "list": [
        {
            "name": "Taro",
            "country": "JP"
        },
        {
            "name": "Michale",
            "country": "US"
        }
    ],
    "_links": {
        "self": {
            "href": "/index"
        }
    }
  }

おつかれさまでした。

以上で終了です。

これでBEAR.SundayのDIの基本的な リンク束縛を試すことが出来ました。
DIにはこのほかにもセッターインジェクションなどたくさんの例がありますので
公式ページを参考にしてみてください。

公式HP DI

なぜDIを使うの?

なぜDIを使うのかというと、サービスクラスの 疎結合 を目的にしています。
サービスの実装をコード内で new してしまうと(密結合と呼ばれる)、使用するサービスを変更したいときには、
使用しているソースコードの変更が必要になります。

  DIを使うことで、使用する実装を注入することができるので、結合度がゆるくなります。

これがDIの利点だと思います。

DIについては下記のリンクが参考になると思います。

「なぜDI(依存性注入)が必要なのか?」についてGoogleが解説しているページを翻訳した
 https://qiita.com/mizunowanko/items/53eed059fc044c5aa5dc

最後に

 BEAR.Sundayの開発者さまのみなさま、特に今回も直接サポートしていただいたKoriymさんに感謝を申し上げます。

 XServerなどのレンタルサーバーでも、BEAR.Sundayがどんどん使われること願って。

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