1. はじめに
株式会社ハウテレビジョンのMarketing Division User Attract Teamに所属する力善です。「外資就活ドットコム」という就活情報サイトのToCマーケティングを担当し、2024年4月の新卒入社以来約9カ月が経過しました。
この短い期間でも、日々の業務を通して「外資就活ドットコム」が持つ可能性と課題を強く感じており、今回はその中でも「ファンマーケティング」の視点から、サービスの更なる成長について考えを共有したいと思います。
2. ファンマーケティングに関心を持った理由
「ファンマーケティング」とは、単に製品やサービスを利用してもらうだけでなく、顧客がそのブランドやサービスに愛着を持ち、積極的に支持する「ファン」を増やすマーケティング手法です。このアプローチは、単なる売り上げや登録数の増加に留まらず、長期的なブランド価値の向上を目指すものです。
日常生活の中で、アイドルやキャラクターに熱狂する「推し活」が社会現象となっているのを目にし、サービスでも同じように「愛される存在」を目指せないかと考えるようになりました。その中で出会った「ファンマーケティング」の概念が、外資就活ドットコムの課題解決に活用できると感じました。
3. 外資就活ドットコムの特性とファンマーケティングの可能性
外資就活ドットコムとは、外資系や日系企業への就職を目指す人に支持されている就活サービスです。利用者の多くが高学歴の学生となっていて、大手企業への就職を目指す学生が登録しています。ユーザーに対し、企業情報、選考対策、就活体験談などの情報に加えて大手企業と出会える座談会や就活セミナーなどの機会を提供させていただくことで、理想のキャリアに向かって励む多くの学生の就活をサポートしています。
学生にとって、就活は人生の大きなターニングポイントです。そのため、心から役立つと感じられるサービスは、単なるツールにとどまらず「信頼の象徴」として記憶に残る可能性があります。また、利用者層の多くがSNSで情報発信することに慣れた世代である点も、「ファンマーケティング」の成功の鍵となりえます。
実際に消費者庁が掲載しているデータとしてもユーザーの対象となる10歳代後半から20歳代は、商品やサービスの購入を検討する際に「情報を得ているもののうち、重視しているもの」のうち、「SNSでの口コミ・評価」と回答した人の割合は、10歳代後半と20歳代の両方が約5割と最も高く、次いで「友人・知人(インターネット上でしか知らない人を除く。)」と「公式サイト」が約3割という結果になっており、他の年代と比較してもSNSでの口コミや評価を重視しているといえます。
消費者庁:「第1部 第2章 第2節 (1)若者の消費行動」https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2022/white_paper_131.html(2024.12.05)
現状においてもユーザーの2人に1人が友人や先輩からの紹介経由で「外資就活ドットコム」に登録いただいており、今後もファンによる口コミや紹介を通じて「外資就活ドットコム」はさらに拡大していく可能性があると考えています。
4. ファンマーケティングの視点で見る現状の課題とこれまでの取り組み
一方で、「外資就活ドットコム」やその関連イベントに関するポストがSNS上であまり見られない点が課題です。就活生が就活に関する情報収集をするために最も使用するSNSの1つであるXで、「外資就活」「外資就活ドットコム」というワードや外資就活ドットコムが主催しているイベント名を検索をしてもこれらに関するポストがユーザーからほとんど発信されていない状況です。(もちろんネガティブな内容のポストは0の状態がベストです。)
これには次のような背景があります:
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SNS拡散効果の活用不足
過去に開催したイベントではSNSキャンペーンを実施し、多くの学生が投稿してくれた結果、拡散の効果を実感した経験があります。しかし、その効果を持続的に高める仕組みはまだ十分ではないと考えます。-
具体的なエピソード
2024年1月に汐留で開催した対面合同説明会『外資就活Expo2024』では、#外資就活Expoのハッシュタグとともに当日の様子をポストされた方の中から抽選で1名様にAmazonギフトカードをプレゼントというSNSキャンペーンを実施していました。当日は多くの学生が『#外資就活Expo』とつけて発信してくれていたのですが、そのポストを見て会場に来てくれた人、関西圏在住で当日来場はできなかったものの外資就活Expoに行きたかったとポストしてくれた人、「外資就活Expoが盛り上がってるけどこのイベント一体何?!」と盛り上がりぶりに驚いている人など非常に大盛況で、SNSの拡散効果を実感した経験があります。
※ポストされている学生の方に掲載許可をとっていないので掲載ができませんが、ご興味ある方は#外資就活Expoと検索いただけると嬉しいです。
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ユーザーとのエンゲージメント強化の必要性
イベントやセミナーを通じて得られた直接的なユーザーとの交流は信頼構築の手応えを感じるものでしたが、長期的に関係を築くため・更に輪を広げるためにはこれを広範なオンラインコミュニティに拡張する必要があると感じます。
この経験や【過去に〇〇イベントに参加した○○様へ】という件名でDMを送ると開封率・クリック率が2~3倍上昇するというデータが出ているように、ファンマーケティングとは単なるマーケティング手法ではなく、サービスへの愛着・共感+信頼関係の構築であることを実感しました。
これらの経験を元に、ファンマーケティングとは単なるマーケティング手法ではなく、サービスへの愛着・共感+信頼関係の構築であることを実感しました。
5. 今後の取り組み
上記を踏まえて、今後は以下の取り組みを進めたいと考えています。
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SNSキャンペーンの強化
- SNS上で「外資就活ドットコムのおすすめ機能」を紹介してくれた方への特典提供などを行い、ユーザー主体で拡散が進む仕組みを構築。
- 特典内容を換金可能なギフトカードだけでなく、就活に役立つツールに拡大。
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学生とのインタラクティブな交流
- mondを活用した質問応答形式のSNSアカウント運用。
- インタラクションを通じて信頼関係を深めると同時に、外資就活ドットコムに関する情報発信への心理的障壁を低減。
- Xの就活系インフルエンサーと話をする機会が多くあるのですが外資就活ドットコムとmondの運営会社が同じだと知られていないことが多いと感じます。外資就活ドットコムでmondについて発信・mondで回答することでmondの回答者を増やすなどシナジー効果も高めたい。
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就活生同士の交流イベントの開催
- 学生同士のつながりを創出し、外資就活ドットコムへの愛着を醸成。
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ユーザーインタビューの定期実施
- ユーザーの声を元に、イベントやサービス内容を継続的に改善。
6. まとめ
「外資就活ドットコム」が就活生にとって単なる情報提供の場ではなく、「心強いパートナー」として選ばれる存在でありたいと願っています。私自身、まだ経験の浅いマーケターですが「初心者だからこそ見える視点」や「ユーザーとの年齢の近さ」を生かしながら、ユーザーの期待に応え、「外資就活ドットコム」をより多くの人々にとって信頼できる存在・愛される存在へと成長させることを目標にしています。