はじめに
VRChatのアバターを改変する際、マテリアルの設定によってパーツごとに光の反射が異なり、不自然な見た目になることがあります。本記事では、この問題を解決するために lilToon のライティング設定を最適化 し、統一感のあるビジュアルを実現する方法を解説します。
また、一般的なVRChatユーザーがlilToonのような高度な技術を扱う際に、どのように情報を調べ、問題を解決していくべきかについても考察します。
環境
本検証は以下の環境で行いました。
- Unity:2022.3.22f1
- VRChat Creator Companion:2.3.4
- シェーダー:lilToon 1.8.5
- 使用したアバター:Platinum 1.2.4, Kipfel 1.1.0
VRChatのアバター改変における基本的な手順(パッケージのインポートやアップロードなど)は省略します。
また、本記事の内容は lilToon の設定を操作できる状態を前提 としています。
変更前後の比較
Before(設定前)
色や明るさに統一性がなく、不自然に見える部分がある。
After(設定後)
色や明暗のバランスが適切になり、全体的に自然な見た目になった。
問題の分析
■ 発生した問題
- アバターのパーツごとに光の反射が異なり、全体の統一感が損なわれている。
■ 原因の仮説
- ライティングの計算は マテリアルのシェーダー設定 に依存するため、lilToon のライティング関連のパラメータが影響している可能性が高い。
- 使用しているアバターの各パーツで、マテリアルごとに異なるライティング設定が適用されていると考えられる。
調査手順
① 一旦どこにライティング設定があるか見てみる。
あった。
② 調整すべきパラメータの特定
髪と服のマテリアルを比較してみました。
髪のマテリアル
服のマテリアル
なんとなく
- 明るさの下限
- 明るさの上限
- ライトのモノクロ化
あたりが気になるなーと思いつつ、公式ドキュメント(lilToon公式)を参照してパラメータを調べてみると、以下のパラメータを調節すると良さそうだと分かりました
※それぞれの解決したい課題によって関連項目は異なる可能性があります。各々でドキュメントを読んで判断してください。
パラメータ | 説明 | 設定方針 |
---|---|---|
明るさの下限 | マテリアルの最低輝度を設定 | 統一することで、暗部の差異をなくす |
明るさの上限 | マテリアルの最大輝度を設定 | 上限を統一し、過度なハイライトを防ぐ |
ライトのモノクロ化 | ライティングの彩度を調整する | 必要に応じて統一(カラーバランスを調整) |
影色への環境光影響度 | 影色への環境光の影響度合いを調整 | 環境光の影響を統一し、全体の明暗差を均一化 |
Unlit化 | マテリアルをライティングの影響を受けない状態にする | 一部のパーツのみ適用(例:目や装飾など) |
③ マテリアルの設定を統一
上記のパラメータを意識しつつ、基本的には服の値に統一する形で光の反射が一貫するように設定しました。
まとめ
lilToon のライティング設定を適切に調整することで、アバターの光の反射を統一し、違和感のないビジュアルを実現 できることがわかりました。
また、今回の検証を通じて、一般的なVRChatユーザーが技術的な問題を解決する際には 公式ドキュメントを活用することが重要 であることを確認しました。
適切に情報を調査しながら試行錯誤を行うことで、より高度なカスタマイズが可能になります。