~ マイグレーションツールを使用したWASの構築方法 1 ~
※ 今回、現行環境WASをNDの「9.0.5.12」、新環境WASを「9.0.5.16」とする。
1 新環境:WASの新規インストール
新環境はWAS(9.0.5.16)インストール済みOSのクローンを作成することで対応する。
① プロファイルが未作成であることを確認する
/opt/IBM/WebSphere/AppServer/bin/manageprofiles.sh -listProfiles
[]と表示されればOK
2 新環境:移行ツールの作成
移行ツールの生成はcreateRemoteMigrJar コマンドで行う。
https://www.ibm.com/docs/ja/was-nd/9.0.5?topic=tools-createremotemigrjar-command
① 移行ツールの生成
cd /opt/IBM/WebSphere/AppServer/bin/migration/bin
./createRemoteMigrJar.sh -targetDir /work/WAS/migration -includeJava
includeJavaオプションを付けると新環境にインストール済みのJavaを移行ツールの中に含んでくれる。 オプションを付けなかった場合、現行環境でJavaの配置場所を「JAVA_HOME=」で指定しなくてはいけないため、付けたほうが良さそう。但し、新環境に導入済みのJavaのバージョンを現行環境がサポートしているか否かは確認が必要。
実行結果は以下の通り。
Total time: 2 minutes 6 seconds
The WebSphere Remote Migration Support jarfile has been created, it includes java from this WebSphere installation.
This jar is valid only on systems which support running the same level of java as what was collected.
1) Send the jarfile to the system where your source profile resides.
2) Unjar the file to a temp location.
3) cd to the bin directory in the temp location.
4) Run the WASPreUpgrade command against the source profile to be migrated using the -machineChange true parameter.
See the WASPreUpgrade command details in the infoCenter.
② 移行ツールが作成されていることを確認する
ls -l /work/WAS/migration
WAS_V90_linux.amd64_RemoteMigrSupport.jar
※ javaを含めなかった場合、移行ツールの名称は「WAS_V90_RemoteMigrSupport.jar」となる。
3 現行環境:移行ツールのコピー
① 移行ツールを新環境から現行環境へとSCPで送る
scp /work/WAS/migration/WAS_V90_linux.amd64_RemoteMigrSupport.jar root@IPアドレス:migration
② 移行ツールが転送されていることを確認する
ls -l migration 「WAS_V90_linux.amd64_RemoteMigrSupport.jar」が存在すること
4 現行環境:バックアップ作成
バックアップ取得はWASPreUpgrade コマンドで行う。
https://www.ibm.com/docs/ja/was-nd/9.0.5?topic=tools-waspreupgrade-command
今回のマイグレーション対象はDmgr01とNA01が所属するCustom01とする。方針としてはPreで全てのプロファイル情報を取得しPostでマイグレするプロファイルを選択する。
① 移行ツールの展開
java8が持つjarコマンドを使って移行ツール(jar)ファイルを解凍する。
/opt/IBM/WebSphere/AppServer/java/8.0/bin/jar xvf WAS_V90_linux.amd64_RemoteMigrSupport.jar
② バックアップファイルの取得
cd migration
mkdir V9_Backup_20231114_WASPreUpgrade
/root/migration/bin/WASPreUpgrade.sh /V9_Backup_20231114_WASPreUpgrade /opt/IBM/WebSphere/AppServer -machineChange true -requireEmbeddedDBMigration false -username wasadmin -password P@ssw0rd -allowSameRelease true
保存したいディレクトリー、ソースとなるWASのインストールルートディレクトリ、外部保管の項目もコピーに含む(別環境へのマイグレになる時に有用)、組み込みDBをマイグレーションする際にエラーを無視するか否か
その他、オプションコマンドを並べたプロパティファイルの挿入やログ収集の追加、取得するプロファイルを限定する、マイグレーション終了時にDMを起動させることなども可能。
※そのまま実行すると「許可がありません」と出てきてしまうので事前に権限を変更しておくこと。
-bash: /root/migration/bin/WASPreUpgrade.sh: 許可がありません
/root/migration/bin/WASPreUpgrade.sh: 行 120: /root/migration/java/8.0/bin/java: 許可がありません
補足:
MIGR0108E: /opt/IBM/WebSphere/AppServer ディレクトリーには、アップグレード可能な製品バージョンが含まれていません。 ディレクトリー名が正しいことを確認し、コマンドを再実行してください。
↑ どうやらWAS9.0.5同士でマイグレーションをかける際は、「-allowSameRelease true」のオプションを付与しなければいけないらしい。
https://community.ibm.com/community/user/wasdevops/blogs/ryan-golden1/2022/03/31/migrating-websphere-90-cells-to-a-new-machine
MIGR0458E: セキュリティーは以前の構成で使用可能です。 -username および -password は必須の引数です。
↑ DMをマイグレーション対象とする場合、ログイン時のユーザ名とパスワードが必要。
実行結果は以下の通り。
IBM WebSphere Application Server, Release 9.0
WebSphere Product Upgrade -- PreUpgrade tool
Copyright IBM Corp., 1997-2019
MIGR0593W: ファイル・ハンドル制限が、最適な制限 10,000 よりも低いです。 ファイル・ハンドル制限を 10,000 以上に変更しない場合、マイグレーションが失敗します。
MIGR0302I: 既存ファイルを保存しています。
MIGR0385I: プロファイル Custom02 の保存を開始しています
MIGR0385I: プロファイル Custom01 の保存を開始しています
MIGR0425I: デプロイメント・マネージャーのマイグレーションが検出されました。 WASPostUpgrade プロセスを続行する前に、フェデレーテッド・ノードで backupConfig コマンドを実行してください。
MIGR0552I: デプロイメント・マネージャーを停止しています。
MIGR0385I: プロファイル Dmgr01 の保存を開始しています
MIGR0303I: 既存のアプリケーション・サーバー環境が保存されました。
MIGR0421W: マイグレーションの最初のステップは警告を伴って完了しました。
② 取得できたことの確認
3つのプロファイル(Custom01/Custom02/Dmgr01)が保存できていること。
ls -la /V9_Backup_20231114_WASPreUpgrade/profiles
5 新環境:バックアップファイルのコピー
① 現行環境: 取得したバックアップファイル(ディレクトリ)をtarで固める
tar zcvf Backup.tar.gz /V9_Backup_20231114_WASPreUpgrade
↑ /V9_Backup_20231114_WASPreUpgrade以下をBackup.tar.gzにまとめる。
② 現行環境: 取得したバックアップファイル(ディレクトリ)をSCPで新環境に送る
scp Backup.tar.gz root@IPアドレス:/WAS
③ 新環境: バックアップファイルが転送されていることを確認し、転送されたバックアップファイルを解凍する
cd WAS
tar zxvf Backup.tar.gz
ls -l
「マイグレーションツールを使用したWASの構築方法 2 」へ続く...