Langmuirの吸着等温式
温度一定条件下での固体表面への吸着物質の吸着量の圧力依存性に関する理論。
導出せずに紹介だけします。
Langumirの吸着等温式は以下のような条件が成り立つときのモデルである。
- 一つの吸着サイトには1分子のみ吸着する(単相吸着)
$ \theta = \frac{abp}{1 + ap}$
ここで$ \theta$, $ a$, $ b$, $ p$はそれぞれサイトの被覆率(0~1)、平衡定数、飽和吸着量、圧力[Pa]となります。
詳しい導出は下記を参照。特に二つ目はLangmuir先生ご本人の論文です。
・近藤清一、石川達雄、安部郁夫「吸着の科学」(丸善出版、2001)
・Langmuir, Irving. "The adsorption of gases on plane surfaces of glass, mica and platinum." Journal of the American Chemical society 40.9 (1918): 1361-1403.
吸着平衡
Langumirの吸着等温式の条件で温度、圧力が可変の場合でも成り立つ吸着式は以下のようになります。
これも導出大変そうなんでやりません。紹介です。英語ではabsorption-desorption equilibriumというので、検索するといい解説あるかもしれません。いい解説があれば僕が読みたいです。
$ \theta = \frac{b(T)p}{1 + b(T)p}$
$ b(T) = \frac{s_0 \exp(\frac{q}{RT})}{v \sigma \sqrt{2 \pi m RT}} $
ここで、$ s_0 $, $ q $, $ v $, $ \sigma $, $ m $ はそれぞれ、吸着剤に到達した吸着分子の吸着確率、吸着熱[J/mol]、周波数[Hz]、サイトの密度、吸着物質の分子量を表します。$ R = 8.3144$[J/K mol]は気体定数です。
こちらも詳細は以下を参照してください。
・Weiss, Werner, and Wolfgang Ranke. "Surface chemistry and catalysis on well-defined epitaxial iron-oxide layers." Progress in Surface Science 70.1-3 (2002): 1-151.
plotしてみよう
これをプロットしてみようっていうのが今回の本題です。
世の中に吸着等温線のプロットは山のようにあるのですが吸着等圧線のプロットはそんなにないので、吸着等圧線のプロットにしてみます。圧力を変化させたプロットも重ねましょう。
import matplotlib.pyplot as plt
import numpy as np
T = np.linspace(1,1000,1000)
R = 8.13
q = 58000
q2 = 5800
p = 1013.25*np.exp(np.linspace(1,20,10))
b0 = 10e-12
M = 1
b1 = (b0 * np.exp(q/(R * T)))/np.sqrt(2 * np.pi * M * R * T)
fig = plt.figure()
ax = fig.add_subplot(111)
for i in range(5):
theta = (b1*p[i])/(1 + b1*p[i])
plt.plot(T,theta)
ax.set_xlabel('Temperature[K]', fontsize=20, color='black')
ax.set_ylabel('Coverage', fontsize=20, color='black')
定数は適当な値を入れています。以下実行結果です。
いい感じですね。
低温においてはほぼ全てのサイトに吸着が行われていて、高温にいくにつれて脱着が行われていく挙動が確認できます。低温では吸着によって得られる相互作用エネルギーにより安定化した方がよくて、高温になるとバラバラになった方がエントロピー的に有利になるということだと思います。固体が液体や気体に変化する相転移と似ていますね。